食事の配達サービスを提供するUber Eatsの運営会社が、不法滞在の外国人の在留資格を確認せずに、配達員として就労させたとして、出入国管理法違反の疑いで書類送検された。
2021年6月22日付のNHKによれば、警視庁が、Uber Japan(ウーバージャパン、以下ウーバー)と、事件当時の代表ら2人を書類送検したという。
Uber Eatsをめぐっては、2020年1年間で、外国人の配達員184人が不法就労などの疑いで警視庁に検挙されている。
ウーバーのビジネスモデルと、日本で暮らす外国人の在留制度が絡む複雑な事件だ。多くの論点があり、問題の根は深い。
ウーバーは、この事件にどう対応するのだろうか。
「いつでもどこでも」働ける外国人は多くない
Uber Eatsの配達員の働き方は新しい。
配達員の募集ページを確認すると、「いつでもどこでも」好きなときに働けると書いてある。
時間があるときに、自転車などで街に出て食事を配達する。募集ページには「個人事業主として、働く時間や仕事量を選べます」との記載がある。
しかし出入国管理法上、日本で暮らす外国人で自ら働く時間や仕事量を選べる人は限られている。
たとえば、日本語学校、専門学校や大学では多くの留学生が学んでいる。
原則として留学生の就労は認められていないが、出入国在留管理局から「資格外活動」の許可を得れば、週28時間までの就労が認められる。
この制度は、基本的に働いた時間がタイムカードなどで客観的に確認できる仕事が想定されている。
しかし、いつでもどこでも働けるウーバーの仕事にタイムカードは存在しない。実際、留学生が授業の隙間時間に食事の宅配で稼ぐのはかなりハードルが高いのだ。
外国人2万2000人が配達員に登録
22日付のNHKは、昨年検挙された184人の中に「資格外活動」の疑いで検挙された配達員が含まれると報じている。この中には、留学生もいるのではないだろうか。
働く時間や仕事量を自分で決めることができるのは、たとえば永住者、日本人の妻や夫として在留している外国人たちだ。
こうした外国人には就労に制限がないため、とくに入管の許可を得なくても配達員として働くことができる。
共同通信は、全国で約2万2000人の外国人がUber Eatsの配達員として登録していると報じている。
資格外活動の要件の厳しさを考えると、本来は配達員として働くことのできない外国人が、検挙された人たちのほかにいるとしても不思議ではない。
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