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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第128回

アップル、中国政府に個人情報を明け渡す?

2021年05月24日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 アップルが中国に屈したというニュースが飛び交った。

 出どころをたどると、2021年5月17日付の米ニューヨーク・タイムズの報道のようだ。

 アップルは、中国国営企業が運営するサーバーに中国国内のユーザーの個人データを保存する準備を進めているという。

 アップルはこれまで、個人情報の保護を重視する姿勢を前面に出してきた。他の巨大IT企業と比べると、少しは信頼感があると感じていた人もいるのではないか。

 報道は、慄然とさせられる内容だ。

中国政府系企業がデータセンターを管理

 中国の南西部に、貴陽市という都市がある。アップルは6月までに、この都市にあるデータセンターに、中国のユーザーの個人データを移管し、その管理の多くを国営企業に委ねるという。

 そのデータセンターでは、国営企業の社員がコンピューターを操作し、個人データの暗号化を解除するキーもデータセンターで保存すると、ニューヨーク・タイムズは報じている。

 習近平国家主席率いる中国政府は近年、米国などの大手IT企業に対する圧力を強めている。

 アップルは、たびたび中国政府からのさまざまな要求をはねつけてきたとされる。

 しかし、同時に、アップルにとって中国は売上の5分の1を占める巨大市場で、製品の大部分をつくる製造拠点でもある。

 アップルが中国政府に対して大幅に譲歩したことで、中国のアップルユーザーは、いままで以上に政府の検閲にさらされることになる。

中国版AppStoreでの検閲

 アップルのこうした姿勢は、じつは今回に始まったことではないようだ。

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