様々な計算に使われるスパコン
2020年6月、日本のスーパーコンピューター(以下、スパコン)「富岳」(富士通製)が計算速度世界一を奪還したとニュースになりました。非常に嬉しかったですねぇ。有名な“2位じゃダメなんですか”発言の後、同じく富士通製のスパコン「京」が世界一となりましたが、その後しばらくの間は他国のスパコンにその一位の座を取られてしまっていました。しかし、ここでまた世界一を奪還したんですね!
少し前に、この富岳でウイルスの飛散シミュレーションが行なわれ、その結果が公表されていました。咳の強さや湿度の違い、防御方法(マスクやフェイスシールドなど)の違いによって、ウイルス飛散の様子がどのように想定されるのかをシミュレーションしていたのです。なんでも、同じシミュレーションを京で行なうと1年以上かかるそうですが、それよりも短い期間でシミュレーションが行なえた、というところにこの計算速度の恩恵があります。
そもそも、スパコンって、普通のパソコンと何が違うのでしょうか? 実のところ、スパコンもパソコンもやっていることは同じで、「計算」です。この計算で様々なプログラムを処理したり、その結果を表示したりすることで、私達はそれを活用してゲームや事務処理、クリエイティブなどいろいろなことができているのです。では、一体何が違うのか。ざっくり言うと、用途と処理能力です。
まず用途ですが、私達が普段使うパソコンは、いろいろなことができます。それこそ、ゲームやったり、事務処理したり、SNS見たり……。
しかし、スパコンは計算一択です。何の計算やっているのかって、それが「科学技術計算」です。先ほどのような、いろいろな状況下(環境数値や距離、量など)においてシミュレーションするのは膨大な計算が必要になります。膨大な計算と言うとかなりざっくりしていますが、たくさんの方程式にたくさんの値を入れて、その結果をさらに別の方程式に入れてその結果を画像や動画にするといったところでしょうか? 膨大な計算をするには、私達が使っているパソコンでは性能に限界があります。
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