倶楽部のAV特集 第33回
マイクロフォーサーズのフラッグシップ機の実力
パナソニック「LUMIX G9 PRO」レビュー AF速度と連写性能が魅力 (1/4)
2018年03月23日 17時00分更新
パナソニックが1月25日に発売した「LUMIX G9 PRO」(ボディーのみの実売価格は21万円前後)は、その名前が示すとおり、プロカメラマンが使うことを前提にした正真正銘のフラッグシップモデルとして誕生した。
しかし、そもそもプロ向けとは何なのだろうか? 画質なのか、連写速度なのか、AFの速さなのだろうか……G9 PROのどこがプロ仕様なのか解説する。
目次
- 【プロ向けといえる理由その1】画質へのこだわり
- 【プロ向けといえる理由その2】約0.04秒という高速で的確なAF
- 【プロ向けといえる理由その3】決定的瞬間を逃さない秒間最大60コマの連写
- 【プロ向けといえる理由その4】手持ち撮影でも失敗しない強力な手ブレ補正
- 【プロ向けといえる理由その5】他社のものも含めて豊富に選べるレンズ
- 画質をチェック! フルサイズ機やAPS-C機に比べるとボケにくいが……
- ほかのメーカーのフラッグシップ一眼を見てみよう
正統派静止画フラッグシップが復活
「LUMIX G9 PRO」
LUMIXシリーズには、EVFを搭載し一眼レフスタイルを採用するシリーズと、背面液晶で撮ることに重点を置いたコンデジスタイルを採用する2つのラインがあり、一眼レフスタイルの中にはハイエンド向けの「GH」シリーズとミドルクラス向けの「G」シリーズがある。
同社のフラッグシップモデルと言えば「GH」シリーズを思い浮かべる人も多く、2017年に登場した「GH5」や、そのバリエーションモデルで高感度での特性を強化した「GH5S」も発売されている。
GHシリーズはどちらかといえば動画撮影に特化したフラッグシップモデルで、プロ向けの設定も多い。一方のG9 PROは正当なデジカメとしてのフラッグシップといえる。
今でこそデジカメの市場で大きなシェアを占めるミラーレス一眼だが、その源流ともいえるのは2008年に発売された「LUMIX G1」。その後モデルチェンジを繰り返しながらも最初の1台の直系であるGシリーズの最新モデルがG9 PROとなる。
ラインナップ的に考えればGシリーズの最新モデルではあるが、従来のGシリーズはGHシリーズというハイエンドモデルがあったため、ミドルクラス的な立ち位置だった。
今回フラッグシップ2本立てという構成になり、G8の後継機というよりは新規で静止画特化のフラッグシップモデルが登場したと考えたほうがいいだろう。
GH5では動画利用者が多く、静止画メインのユーザーから動画機能を削って低価を下げてほしいと要望が多くあり、静止画メインのフラッグシップモデルと作ったのだろう。
実際このクラスのデジカメは激戦区で、一眼レフスタイルを採用するミラーレス一眼の人気は高い。
LUMIXシリーズと同じマイクロフォーサーズ規格を採用し、レンズも共用することができるオリンパスの「OM-D」シリーズや、マイクロフォーサーズよりも大きなAPS-Cサイズの撮像素子を採用している富士フイルムの「X-T」シリーズなど、個性的なデジカメが揃っている。
それらの古くから写真に関わって来ているメーカーを相手に、デジカメから本格的にカメラメーカーとして参入したパナソニックとしては、ここで一気に認知度を上げて動画だけではなく、静止画もイケるというイメージを強め、他社のライバル機からシェアを奪いたいというのが本音じゃないだろうか。
プロ仕様っぽいしっかりした作りと最新の基本スペック
まずはG9 PROの基本スペックを確認しよう。本体サイズは幅72×奥行き113×高さ114mm、重量はバッテリーとメディア込で約435g。
撮像素子は総画素数約2177万画素、有効画素数約2033万画素、4/3型Live MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンには「ヴィーナスエンジン」を採用している。
この組み合わせは「GH5」と一緒で、輝度信号を生成する際の参照領域を約9倍までに拡大する「マルチピクセル輝度生成」や、被写体を1画素ごとに分析して最適な処理を行なう「インテリジェントディテール処理」、細かい模様などで発生する色モアレを除去する「色モアレ抑圧処理」といった、GH5で新規に採用された高画質機能をほぼ網羅している。
感度設定はISO 100からISO 25600まで可能。動画時の最大感度はISO 12800になる。
連写性能は電子シャッター利用時にAF追従で秒間約20コマ、AF固定でなら秒間約60コマの連写が可能になっている。
なお、静止画のフラッグシップモデルといってもしっかり動画機能は備わっており、4K/60Pでの撮影も可能だ。
背面モニターは3型で約104万画素。横開きタイプの可変タイプでタッチ対応だ。ハイアングルからローアングルまで対応可能。EVF左脇にあるFn3ボタンで背面モニターとEVFを任意に切り替えられる。
なお、デフォルトでは自動切り替えになっている。モニターを横に開いてウエストレベルで構えて安定させようとするとEVFに切り替わって困る、という人は自動切り替えをオフにしよう。
そして、一眼レフでは光学ファインダーの見え具合はかなり重要な要素であり、もちろんミラーレスのEVFも重要だ。
EVFは約368万画素で、高精細で見やすい。視野率は100%でファインダー倍率は35mm判換算で約0.83倍とかなり大きく見える。GH5の0.76倍も大きく見えるがG9ではそれ以上の大きさだ。
倍率を変更することが可能で0.83倍以外に0.77倍と0.7倍を選べる。メガネの種類にもよるが最大倍率では周辺がケラれてしまう場合もある。
以降のページ(アスキー倶楽部専用ページ)では、具体的にG9 PROがプロ向けといえる突出した性能や、逆にちょっと物足りない部分などについて、実写撮影サンプルを見ながら解説する。
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