スマホやタブレットを軽んじすぎた……
前々回の27回で、恥ずかしいデータを気づかれないようにする際、「森に木を隠す作戦ならパソコンがベスト」とお伝えしました。結論はいまも間違っていないと思うのですが、それにしてもスマホやタブレットを過小評価していました。
該当箇所を引用します。
“私はデジタル遺品研究会ルクシーの研究一環で、しばしばパスワードがわからない情報端末のアクセス方法を探ったり、自分以外の人が使い込んだ情報端末から重要なデータを見つけたりしています。そうした作業を通して、スマホやタブレットは一覧性が高く、鬱蒼とした森が作りにくいと感じるようになりました”
はい。したり顔で一覧性が高いと言っているわけですが、この発言のときはスマホやタブレットの非表示機能のことが頭にありませんでした。
27回の記事を読んだ方がTwitterで、Androidの隠しフォルダーを引き合いにだしてスマホのブラインド力の高さに言及しているのを拝見し、初めて冷や汗をかいた次第です。
Android端末はフォルダー名の頭に「.」を付けると隠しフォルダーにできますし、ファイルマネージャー系アプリでも非表示設定が可能です。iOS端末も静止画と動画に限られますが、「写真」アプリで非表示にしたいファイルを1個単位で選んでブラインドできます。
これらの機能を採りあげずにスマホやタブレットは一覧性が高いというのは、「お前はかくれんぼが下手だ(※ただし、物陰に隠れているときは除く)」などと言っているのと同じです。申し訳ありませんでした。
通常表示をむしろ特別な舞台に仕立てる
この機能をうまく使えば、スマホやタブレットでもある程度効果的に森に木を隠す作戦が実行できるのではと思います。
サードパーティーのアプリならさらに高度な隠し方もできますが、そこまでいくと紛れ込ませるというより光学迷彩の領域に入ってしまうので範疇外としましょう。森に木を紛れ込ませる作戦ではさりげなさ、しれっと感が重要ですから。
しれっと感を生み出すために、標準の非表示設定もピンポイントで適用するのはうまくありません。むしろ、「非表示設定にしていないほうが特別」という状況をつくることが大事です
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