AV機器の2016年を振り返りつつ、2017年の製品を占う!
有機ELテレビの年になる!? オーディオ&ビジュアル機器の2017年予想!! (1/4)
2017年01月12日 20時00分更新
2016年のオーディオ&ビジュアル界もさまざまな話題があり、数々の製品が登場してきた。4Kテレビの普及や海外音楽配信サービスの日本進出、iPhone 7におけるイヤフォン端子の廃止、それに伴うワイヤレスオーディオ機器の拡充など……。 そんな出来事や印象的な製品を振り返りつつ、来年の動向を予想していきたい。
4Kテレビの普及が本格化!? 決め手はHDRと有機EL
地上アナログ放送から地上デジタルへの移行に伴う買い替え需要の反動は今も続いており、テレビ市場は決して元気とは言いにくい。
それでも、地デジ化のタイミングで薄型テレビを導入した人の買い換え需要もはじまっており、販売台数もわずかながら増えてきている。
それにともない、4Kテレビは徐々に普及が拡大しており、特に50V型以上の大画面サイズでは4Kテレビを選ぶ比率がかなり高くなっている。
しかし、2017年はより本格的な4Kテレビの普及が加速するのではないかと予想している。その理由は「HDR」と「有機EL」だ。
HDRは、4K解像度の映像メディアであるUHD BDでも採用されている技術で、映像の輝度を大幅に向上するもの。
一般的な例としては、今までの薄型テレビが100nits(輝度の単位)までを表現できるのに比べ、HDRでは規格上は10000nitsもの高輝度表示ができるようになる。
現状は表示するディスプレーの能力などもあって、1000~4000nitsほどの高輝度化になっているが、それでも今までよりも表現できる明暗の幅の広さが大きく拡大される。
HDRの一番の魅力は、誰が見ても違いがはっきりと分かること。特に今まで表現できなかった強い輝きは、自分の眼で見ている世界の印象にかなり近いため、今までにないリアリティーのある映像と感じる。
真夏の太陽のギラギラとしたまぶしさと冬の太陽の優しい光りの違いが映像においてもはっきりと描き分けられる。これに合わせて、色域も「BT.2020」という新しい規格が採用されているので、明るさと色という映像を構成する大きな要素の表現力が大幅に変わっているのだ。
こうしたHDR映像は、今年の夏から発売がスタートしたUHD BD(4K解像度のBlu-ray)のほか、動画配信サービス「Netflix」でもHDR映像のコンテンツの配信を予定しているし、4K動画配信を行なっている多くのサービスも追従していくだろう。
もちろん、将来BSで予定されている4K/8K放送でもHDRは採用される。UHD BDは海外の映画作品が主体だが、年末にはアニメ作品も発売され、バラエティーがますます増えてくる。ここに4K+HDRの動画配信が加われば、より多くの人がHDRの映像に触れる機会が増えてくるだろう。
これに加えて、来年は「WBC2017」(ワールド・ベースボール・クラシック)があり、2018年の本戦に向けたワールドカップサッカーの最終予選もある。
あくまでも筆者の予想だが、こうしたスポーツイベントの中継映像では4K+HDRでの収録が行なわれるはず。
個人的に期待したいのは、デーゲームでの日差しとナイトゲームでの照明とで、スタジアムの見え方がどのくらい変化するか。スタジアムに足を運んでいる人でしか感じられないその違いがテレビでも楽しめるとしたら、臨場感は格段に高まると思う。
こうしたスポーツのような、映画以外の4K+HDRコンテンツが増えてくることで、ますます注目度は高まり、HDRに対応した4Kテレビへの買い換えも進むはずだと思っている。
ちなみに、すでに現行の4KテレビはほとんどがHDRに対応しているので、購入時の心配はあまりない。ただし、各社のエントリー4Kテレビや格安の4KテレビではHDR非対応のモデルもあるので、念のため確認するようにしよう。
4K+HDRという技術で映像コンテンツの表現力が大幅に高まった以上、4Kテレビの高画質化もさらに加速するだろう。現状では、各社の最上位モデルとなると同じHDRでもさすがの映像を楽しめるが、こうした高画質はきっと多くの人の購入対象になる価格のモデルにも継承されていくはずだ。
次ページ以降(アスキー倶楽部会員向け)では、有機ELテレビやオーディオ機器、ホームシアター機器などについて、2016年を振り返りつつ、2017年を予想してみたいと思う。