キヤノン株式会社
キヤノンは、公益社団法人発明協会が主催する令和8年度関東地方発明表彰において、「高い重ね合わせ精度を実現する露光装置」(特許第6308749号)で「文部科学大臣賞」を受賞しました。他にも「栃木県知事賞」「山梨県知事賞」など、キヤノングループ全体では計10件を受賞しました。

文部科学大臣賞受賞の発明を適用したFPD露光装置(MPAsp-E1003H)
地方発明表彰は、各地域における発明の奨励・育成を図り、科学技術の向上と地域産業の振興に寄与することを目的に、公益社団法人発明協会が1921年(大正10年)から実施している表彰制度です。全国を8地方に分け、優れた発明、考案または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰しています。
このたび「文部科学大臣賞」を受賞した発明は、FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置の非線形補正ユニットに関するものです。本発明を適用した露光装置は、多層化・複雑化した構造を有する高機能ディスプレイの製造を可能にし、小型から大型まで、幅広い画面サイズ・解像度のディスプレイ製造に活用されています。
【「高い重ね合わせ精度を実現する露光装置」の概要】
FPD露光装置は、マスクに描かれた回路パターンをガラス基板上に転写する装置です。この工程を繰り返し、回路パターンを何層も重ねることでディスプレイを製造します。近年、ディスプレイの高機能化に伴って回路の微細化・多層化が進み、FPD露光装置には、より高い重ね合わせ精度が求められています。一方、ガラス基板上に形成した回路パターンには、前工程で受ける熱負荷や各種処理の影響によって複雑な非線形の歪みが生じます。そのため、新たに転写する回路パターン像を、この歪みに応じて補正する必要がありました。
本発明の非線形補正ユニットは、円弧状の平行平板ガラスと、その縁に配置した32個のアクチュエータ(駆動装置)で構成されています。形成済みの回路パターンの歪みを計測し、その形状に応じて各アクチュエータを独立して制御することで、平行平板ガラスを局所的に変形させ、ナノメートルオーダーの精密なうねりを生成します。露光光をこの平行平板ガラスに通過させることで、新たに転写する回路パターン像を形成済みの回路パターンの形状に合わせて補正します。本発明により、重ね合わせ精度を、従来の±0.5µmから±0.3µmまで向上させることに成功しました。

露光装置内部の構成

非線形補正ユニット(イメージ図)
【キヤノングループ受賞一覧】


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