滋慶学園×フォーティネットが開拓する“セキュリティ人材育成”の新たなモデル
ホワイトハッカーの卵たちが“OTセキュリティ”を通して育む、これからのセキュリティ意識
“現場の慣れ”がOTの脆弱性に ―― 1位の評価を受けた攻撃シナリオ
Passionチームが披露した攻撃シナリオは、「退職者が残した引継ぎ資料」を発端として、製品の品質を劣化させるというユニークなものだ。
舞台となるABC化学薬品は、家具メーカー向けの接着剤を手掛けており、攻撃者は外部のハッカーではなく、悪意を持った「元・製造技術担当のAさん」という設定。彼は、接着剤の製造工程や設備保守端末の使い方に加え、社内の「USB利用ルールの抜け穴」も熟知していた。工場ではUSB使用時のマニュアルを策定していたものの、いつしかチェック手順が形骸化していたのだ。
Aさんは出勤最終日、「引継ぎ資料を入れておいた」とマルウェア入りのUSBを後輩に手渡す。後輩はいつも通りチェック手順をスキップし、そのUSBを保守端末上で利用する。その結果、悪意のある処理が実行され、保守の通信経路から制御系へと波及、接着剤の配合条件がわずかに改ざんされてしまう。Aさんの狙いは、工場のラインを止めることではなく「気づきにくい範囲で品質を落とす」ことだった。製品は出荷時の検査をすり抜け、納品先の家具メーカーからのクレームによって問題が表面化することになる。
それでは防御側の観点から、この攻撃はどうしたら止められたのだろうか。攻撃のステップは「①USBを受領 → ②使用前の確認 → ③OT端末への接続 → ④制御系への波及 → ⑤配合条件の変更」に分けられ、Passionチームは「②から③で止められた可能性が高い」と説明する。マニュアルの形骸化という問題に対して提示されたのが、人に依存しない、運用・技術によって安全性を担保するアプローチだ。
②の使用前の確認では、OT端末の手前に“関所”を設ける。工場外の窓口での「媒体登録の確認」「マルウェア検査」「持ち込み記録」を経て、USBの持ち込みを許可する運用だ。しかし、これだけでリスクを排除することはできないため、その後の対策につなげていく。
③のOT端末への接続以降では、各攻撃プロセスにフォーティネット製品を適用した多層防御が有効だという。OTネットワークへの接続は「FortiNAC」で管理し、「FortiGate」と「FortiSwitch」によるネットワーク分離で、制御ネットワークへの波及を阻止。不審な通信・挙動は「FortiNDR」で検知し、OT端末上の脅威には「FortiEDR」が対処する。
特に今回の攻撃シナリオでは、窓口でどこまで持ち込みリスクを減らすか、FortiEDRをどの端末に導入するか、脅威検知後にどこまでを隔離するかを、安全や操業への影響を鑑みて判断することが重要だとまとめた。
最後にPassionチームは、「人を疑うのではなく、人を信じても事故にならない仕組みづくり。つまり、“確認して使う”ではなく“確認しなければ使えない”への転換がポイントになる」と締めくくった。
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