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業務を変えるkintoneユーザー事例 第332回

年間2500時間を時短するも、DX人材育成プロジェクトでその先へ

本当のkintoneらしさとは? 紙文化、属人化、システムの進化に真正面から取り組んだキーコーヒー

2026年09月24日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水 写真提供●サイボウズ

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テーブルに触らせない見積もりアプリで年間2500時間を削減

 こうして息を吹き返した見積もりアプリで、一番こだわったのは商品入力の部分だ。テーブルの外にボタンを配置し、商品の追加も価格やコメントの入力も、テーブルに触らずに誰でも直感的に行えるようにした。商品追加ボタンを押すと、メンバーみんなで考えた追加方法を選べる。課題だった検索はカナ検索を可能にし、商品はまとめて選んで一気に追加できる。金額もダイアログからまとめて入力できる。

テーブルの外に並べたボタンから商品も金額もまとめて入力できるようにした

 使いやすさにこだわった結果、営業現場がアプリを活用してくれるようになった。年間1万5000件の見積もりがkintone上で作られ、2500時間の削減につながったのだ。

「作った見積もりは、みんなで共有可能な会社の資産として蓄積できるようになりました」(白坂さん)

担当者のパソコンに眠っていた見積もりを全社で参照できるようになった

 kintoneが軌道に乗ってきた頃、社内では30年以上使ってきた基幹システムのリプレース計画が進んでいた。ここで最初に問題になったのがマスターの連携方法だ。旧システムにはAPIがなくCSV出力しか手段がなかったため、RPAでCSVをクラウドストレージへ運び、kintoneのデータ加工や集計を自動化するプラグイン「krewData」(メシウス)の外部ファイル入力機能で、夜中のうちに日次で最新のマスターをkintoneへ取り込んでいた。

 新システムではAPI連携という選択肢も加わるため、連携方法を一から考え直すことになった。白坂さんが選んだのは、従来と同じCSVを介したフローの踏襲だった。基幹システム以外のデータソースもほとんどがCSVを出力できるため、連携先が増えても手法を考え直さずに済む。API連携にはデータ連携ツールのオプションや上位プランといった余計なコストもかかる。一部のCSVには加工が必要になったものの、その先のフローは変えずにスムーズな移行を実現したのだ。

 もう1つの問題が、導入したERPの融通の利かなさだった。ERPは標準化された業務プロセスに合わせて使うことで力を発揮する半面、これまで現場が積み上げてきたやり方をそのまま持ち込めない。標準化のメリットを受け取る代わりに、システムの型に収まらない業務がいくつも取り残されてしまった。

「まさに、パズルにピースがはまらなくなる感覚です。業務というパズルにシステムというピースがはまらず、隙間が生じてしまいました」(白坂さん)

 その代表的な業務が単価登録だ。商談で採用の決まったアイテムは、申請と承認を経て基幹システムに登録する。申請から承認まではすでにkintone化していたが、残った最大の課題は基幹システムへの手入力だった。新しい基幹システムはERP特有の不要な項目が多く、入力に手間取るようになる。チェーン店の本部と単独店では登録先のマスターも違うため毎回確認が必要で、担当者は非常に苦労するようになってしまった。

 一方で、新システムにはExcel取り込みによる一括登録という道があった。融通の利かないシステムと柔軟なkintoneの相性は抜群にいい。白坂さんはkintone上で、基幹システムに取り込み可能なExcelファイルをワンクリックで出力できるようにして、単価登録の半自動化を実現した。

「kintoneで作ったアプリというピースが、パズルの隙間を塞いだ瞬間です」(白坂さん)

 アプリでは見積もりと同様にテーブルへの入力をすべてボタンから行い、入力の省力化と表記揺れの防止を図った。変更してはいけない箇所は無効化し、間違いがあればシステム側でエラーとして弾く。シンプルに見えてカスタマイズ量は見積もりアプリより多く、これもカスタマインで対応した。テーブル行から必要な行だけをいったん別アプリのレコードとして登録してExcel出力することで、加工なしでそのまま基幹システムへ取り込める。登録件数が多いと残業や休日出勤につながっていた作業が、たった1つのファイルを取り込むだけで完結する。

一覧画面からワンクリックで基幹システムに取り込めるExcelを出力する

 最後に白坂さんが紹介したのは、今後の展望と現在の取り組みだ。キーコーヒーではkintoneの全社展開に向けて、DX人材育成プロジェクトを4月からスタートしている。これまでは情シス主導で進めてきたが、本当のkintoneらしさとは、現場が自分たちの業務に使うアプリを自分たちで作れること。市民開発による活用推進こそがkintoneらしさだという考えから始まったプロジェクトで、11名もの社員が自ら手を挙げ、管理本部長もkintoneの勉強から業務の選定、アプリ作成まで手がけている。登壇の翌週にあたる7月15日には、参加メンバーが自分の作ったアプリを初めてお披露目する成果発表会を控えているという。

「成果発表会は単なるプレゼンの場ではなく、業務改善のサイクルを初めて1周回らせる場になります。ここからキーコーヒーのkintone活用は、さらなる次のステージへ進んでいくと考えています」と白坂さんは語った。

質疑応答

セッション後、サイボウズの蒲原大輔さんから白坂さんに質問が投げかけられた

サイボウズ蒲原さん:この機能を足したいと思うたびにプラグインを探して適用し、気づいたらどんどん増えているという方も多いと思います。kintoneらしさを見失いかけている方に、どんなことをお伝えしたいですか。

白坂さん:kintoneは使ってもらうこともすごく大切で難しいのですが、作る側にも労力がかかります。その人が少しでも楽にできる方法を選ぶことだと思います。私の場合は、カスタマインを入れたんですが、kintoneエコシステムには本当にいろいろなものがあるので、開発する側が楽になれるものを探していただけるといいんじゃないかなと思います。

サイボウズ蒲原さん:CSVやExcelを挟んだ連携は汎用性が高いので、試してみたいと思った方もいらっしゃると思います。kintoneと他のシステムを連携する上でのポイントや注意点、コツはありますでしょうか。

白坂さん:やはりシステムなので、少し形式が違うだけで結構エラーが起きたりすると思います。なので、そこをkintoneを使ってすべて制御します。やっぱり人が入力すると、どうしてもミスをしてしまうと思います。システム側でミスをしない仕組みを作ってあげることで、連携部分がうまくいくのかなと思います。私も実際、そこを意識してやりました。

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