業務を変えるkintoneユーザー事例 第321回
三杉の悲願は変革の仕組みを全国に届け「ふたたび業界を花開かせる」こと
街の制服屋さんだってまだまだ戦える kintone×ECで「地獄の繁忙期」の残業ゼロ、売上も倍に
2026年07月24日 09時00分更新
たどり着いた“kintoneとECの統合” パートナー・現場と二人三脚ですべてをデジタル化
この“受注の入口”をいかにしてデジタル化するか ―― 杉浦さんたちは頭を悩ませ続けたという。そして行き着いた答えが「ECサイト」の構築だった
ただ、IT経験ゼロの自分たちだけでECサイトが作れるとは思えない。そこで出会ったのが、サイボウズのパートナー企業「ちらし屋ドットコム」である。同社と共に、kintoneとECを統合して業務フローを設計。その結果、ECサイトを活用した会員登録・受注、店舗受注、店舗別予約までのデジタル化を見事成功させた。
新規購入の際には、まずはECサイト上で、家族アカウントの作成と採寸の来店予約を行う。カレンダープラグイン「KOYOMI」と連動して全店舗のスケジュールはkintoneで一元管理され、店舗側もユーザー側もリアルタイムで予約状況も確認できる仕組みだ。そして、予約時や来店時に登録された、家族情報や注文詳細、採寸データといったあらゆるデータが、自動でkintoneに取り込まれる。
一方で大きく業務の仕組みも変わるため、その設計にはかなりの苦労が伴ったという。現場スタッフと業務フローや操作方法について何度も話し合い、使いやすさだけではなく、ムダやミスもなくせるよう改善を繰り返した。
この全面的なデジタル化によって現場の景色は一変。「ボールペンのインク交換や電卓の使用量が激減した」「歩いてすぐの家族もECで注文してくれた」など、思わず笑顔になるようなエピソードも生まれているという。
残業ゼロ・売上倍の成果を広げ「制服業界をもう一度花開かせたい」
定量的な成果も劇的だった。あれほど現場を苦しめていた繁忙期にも、従業員はもちろん、杉浦さん親子も残業はゼロに。5年前と比較して同じ人員のまま、売上も倍増した。20名のスタッフで1か月を費やしていた幼稚園の受注対応は、わずか2名のスタッフでたった1週間で完結できるようになっている。
数字以上に変わったこともある。「紙がなくなり、ミスも激減。そして、何より現場スタッフに余裕が生まれました。心のゆとりを持って顧客に寄り添えるようになったことが最大の成果です。その結果、会社や店の空気までも変わりました」(杉浦力さん)
今後目指すのは、自動化と業界連携だ。
足元では、在庫がゼロになったら自動発注するシステムを構築し、さらなる業務効率化を推進。加えて、メーカーとのAPI連携によって、発注書をメーカーの受注システムに自動で取り込める仕組みを確立していく。これが実現すれば、商品入荷までのスピードは劇的に速くなるという。
もうひとつの野望は、kintone×ECによる仕組みと成果を全国の同業者に広げていくことだ。実際に県内で使用し始めた会社もあるといい、ECのBtoB卸機能を利用した受発注連携にも挑戦する予定だ。「街の制服屋が笑顔を取り戻し、かつてのような明るい業界に変えていきたい」(杉浦力さん)
最後に杉浦力さんは、「制服業界はまだまだ成長する産業」だと強調する。 そして杉浦成さんは、「少子化という逆風の中、残業ゼロ・売上倍を達成した我々の経験をもとに、制服業界をもう一度花開かせたいです。親子、スタッフと共に、これからも笑顔でご家族に寄り添っていきたい」と締めくくった。
セッション終了後には、サイボウズ中部営業所の柴田知佳さんとのアフタートークが繰り広げられた。
柴田さん: 「自分たちにITは無理」という状態からkintoneを定着させていったとのことですが、社員にはどう教育されたのでしょうか。
杉浦成さん:半ば強制的に使ってもらう形になってしまいましたが、やり方を変えた理由と共に、慣れてもらうまで丁寧に寄り添いながら進めました。
柴田さん:その結果、残業時間が減っただけではなく、店舗の空気も変わったとのことですが、離職率の低下にもつながりましたか。
杉浦力さん:おかげさまで離職する社員はいなくなりましたが、社員が増えないのが悩みです。だからこそ、kintoneとECの自動化・省力化をさらに進めていきます。
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