MODEとソフトバンクがタッグを組み、挑む。フィジカルAI時代も見据えたIoTデータ活用
建設・製造・重要インフラ… あらゆる「現場」にBizStackでAIとデータの力を届けたい!
提供: ソフトバンク
MODE, Inc. セールスディレクターの廣川修一氏(左)、同社 事業開発シニアマネージャーの道間健太郎氏(右)、ソフトバンク株式会社 法人事業統括 IoT&プラットフォーム本部 サービスデザイン統括部 プロダクトビジネス企画部 2課 課長の畑山景介氏(中央)
ソフトバンクは2026年4月、ソリューション型IoTプラットフォーム「BizStack(ビズスタック)」を展開するMODEとの資本・業務提携を発表した。MODEのBizStackは、建設/土木や製造などの“現場IoTデータ”を、独自のデータモデルを活用して統合、可視化する。これを用いて、データに基づく高度な意思決定をあらゆる現場で実現していく狙いだという。
今回は、MODEでセールス全体の責任者を務める廣川修一氏、BizStackの事業開発や市場開拓、パートナーアライアンスの推進を手がける道間健太郎氏、ソフトバンクで法人向けIoTサービス企画を担当する畑山景介氏にインタビューを行い、BizStackの提供を通じてどんな世界を目指しているのか、詳しく話をうかがった。
BizStackは「現場の課題解決」を起点に考えたIoTプラットフォーム
今回の両社提携の中心にあるのが、SaaSとして提供されているソリューション型IoTプラットフォームのBizStackである。BizStackは、センサーやカメラから現場のデータを取得し、管理者やAIが扱いやすい業務基盤を提供する。それらの組み合わせは数万通りにもおよび、さまざまな現場業務を可視化している。
市場にはさまざまなIoTプラットフォームが存在するが、BizStackが“ソリューション型”を強調しているのは、データや技術そのものではなく、「現場課題の解決」を最も重視しているからだ。実際、顧客企業の現場にもよく足を運ぶという。
「MODEでは、現場のお客さまから生の声をうかがい、そこで出た現場の課題を解決していくことを一番大事にしています。実際、僕も廣川も毎週のように建設現場や製造現場にお邪魔しています。ヘルメットや安全靴、安全ベストまで常備しているスタートアップ企業は、少ないんじゃないかと思います」(MODE 道間氏)
2022年に発売されたBizStackは、まず建設業界で高いシェアを得ることになった。その背景には、深刻な人手不足が続く一方で、時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」があった。
「建設現場では、特に施工管理者を務めるゼネコン社員の方の長時間労働が問題でした。残業時間を減らすためには、業務を効率化しなければなりません。そこで、時間がかかる現場の点検業務を、カメラやセンサーを使ってできるだけ効率化したいというニーズが生まれたのです。これまでは毎回、時間をかけて作業現場を巡回し、確認を行っていたのが、事務所から確認できるようになりますから」(MODE 廣川氏)
現場監督者が足りない現状は、社員の残業時間にとどまらず、建設会社のビジネス成長そのものに関わる課題にすらなっていると、道間氏は付け加える。
「あるゼネコンのお客さまから『現場監督の人員が足りないので、本来は受注できる案件だが断ることもある』とうかがったことがあります。そこでBizStackを活用し、1人の監督者で複数の現場を管理できるようになれば、売上をさらに2割、3割と伸ばせる可能性がある。そんな期待も持っていただいています」(道間氏)
このような、現場課題に対応したソリューションを具体的に示すことで、BizStackは多数の建設現場を抱える大手ゼネコンでの採用が進んだ。
今回のソフトバンクとMODEの提携発表においても、スーパーゼネコンにおける建設現場での業務効率化の事例が紹介されている。BizStackを使ってIoTデータとAIアシスタント「BizStack Assistant」を組み合わせ、スマートフォンから必要な現場データをすぐ確認できる環境を構築したことで、ある現場では「1現場あたり月間50時間」もの工数削減につながったという。
人、そしてAIがIoTデータを活用するためには「意味づけ」が重要
今回、ソフトバンクはなぜMODEと手を組むことにしたのか。ソフトバンク側から見たMODE、BizStackの魅力について、畑山氏は次のように振り返る。
「最初はIoTとスマートフォン、生成AIを掛け合わせた、BizStackのユーザー体験がすごく良いなと感じました。ただし、実際に資本・業務提携の話が進む中で、MODEさん独自の『Entity(エンティティ)処理』の技術が、他社との本質的な差別化ポイントだと理解しました」(ソフトバンク 畑山氏)
BizStackでは、収集した多様なIoTデータを管理するうえで、MODE独自の「Entityモデル」を用いている。具体的には、それぞれのIoTデータがどんな意味を持つものなのか、データに「意味づけ」をする仕組みだという。
「さまざまなデータに対して、たとえば『どこで取得したデータか』『どんな場所のデータか』『何のためのデータか』といったタグ付けを自動で行う機能を、BizStackでは標準機能として提供しています。これを利用することで、データのコンテキスト(文脈)まで理解できる『意味づけ』が実現し、データを活用しやすくなります」(道間氏)
さらにこのEntityは、組織構造に沿って整理できる。たとえば建設会社であれば、「○○支店」が手がける「△△建設現場」の「□□エリア」にある「地下水排出ポンプ」の「稼働状況」――といった具合に、ツリー状に分かりやすく整理できる。
こうして意味づけをすれば、人間だけでなくAIもそのデータを扱いやすくなる。BizStackでは、AIアシスタントのBizStack Assistantに質問する形でデータを確認できるが、その際も個々のカメラやセンサーを指定することなく、「△△現場で異常は起きていないか」「今日、△△現場にコンクリートミキサー車が何台入場したか」といった具合に、人間に分かりやすい場所や設備の名前で質問ができる。
「生成AIとチャットする形でデータが引き出せることはもちろん魅力的ですが、それを実現している根幹の技術はEntity処理だった。MODEさんがこの10年間、現場で培ってこられた技術が、AIの登場によって一段と価値を増していると言えます」(畑山氏)
ソフトバンクのソブリンクラウド活用で、重要インフラ企業への利用拡大も
それでは反対に、MODE側から見たソフトバンクとの提携の魅力とは何か。廣川氏はいくつかを挙げた。
まずは、顧客がBizStackを現場で活用するための、さまざまなITインフラを提供できる点だ。ソフトバンクはスマートフォン端末も、通信ネットワークも、クラウドサービスも提供することができ、BizStackの価値を現場に届けるインフラをすべて持つパートナーと言える。
また、ソフトバンクが持つ広い法人顧客基盤も魅力である。スタートアップであるMODE単体ではビジネスの拡大スピードにも限界があるが、ソフトバンクを通じてならばソリューションを一気に全国へ拡大することが期待できる。
そして最後に、ソフトバンクのソブリン性を備えたクラウドサービスや、国産生成AI「Sarashina」などのAI技術を活用すれば、顧客企業のデータを海外に持ち出すことなく、データ主権を担保した形で運用できる点も魅力だという。特に、データの取り扱いに慎重な製造業、エネルギーや通信といった重要インフラ系の企業、政府機関、公共団体などでも、安心して使えるサービスになる。
最後の「データ主権」というポイントについて、廣川氏は、BizStackの利用を高度化させていくうえでも重要なポイントだと指摘した。
「最近では、BizStackを基幹システムと接続したいというお話もあります。そうなると、データのセキュリティはますます重要になりますから、基盤が海外のクラウドだと使われない。ソフトバンクさんと組んで、国内に閉じたクラウドサービスとしてBizStackを提供できれば、基幹システムのデータも活用した、より高度な世界が作れると思っています」(廣川氏)
あらゆる現場にAIエージェント、フィジカルAIがやってくる未来に向けて
こうした補完関係を持ちつつ、両社には一致するビジョンがある。それは「フィールド(現場)で働く人々を、デジタル技術で支援する」というものだ。共に目指すのは、現場のデータを現場の人がすぐに活用できて業務を改革できる、そんな世界である。
「ソフトバンクとして、オフィスワーカー向けの生成AIサービスなどは手がけていますが、『フィールドワーカー向け』となると、それとは異なるユニークな特長が必要となります。MODEさんと連携することで、現場データと生成AIをスマホで引き出せるような、分かりやすいサービスが展開できる。それをエッセンシャルワーカーの皆さんに提供していくことは、社会的な意義も高いものと考えています」(畑山氏)
さらにその先には、AIエージェントが現場に入ってくる時代、そしてフィジカルAIが現場に溶け込む時代がやってくる。
「異常が起きたときに、フィジカルなアクションにつなげたいというニーズはすでにあります。たとえば、現場で機械の電源が落ちた、誰かが電源を入れに行かないといけないときに、人の代わりにロボットが行ってほしいのです。しかし、そのためには現場データをフィジカルAIに適切に渡す必要がある。BizStackは、フィジカルAIと現場データを繋ぐ役割を担っていくと考えています」(廣川氏)
IoTデータを人間向けに可視化するだけにとどまらず、そのデータに基づいてAIが次のアクションを立案し、ロボットがそれを実行する――。そんな未来も、そう遠いものではない。そんな未来の世界において、MODEとソフトバンク、そしてBizStackの果たす役割は、ますます重要なものになるだろう。
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