第23回 シン・IoTの教室:ビジネスに活きる つながるモノの世界

機器メンテナンスだけでなく、新機能の拡張、サブスクオプション追加にも使える

IoTの「OTAアップデート」をビジネスに生かすアイデア

大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 IoTデバイスには「OTA(Over-The-Air)」と呼ばれる仕組みを備えたものがあります。OTAとは、無線通信を介してデバイスのソフトウェアやファームウェアをアップデート(更新)する仕組みのことです。“スマートフォンのOS/アプリアップデート”をイメージするとよいでしょう。

 OTAの仕組みがないと、IoTデバイスに組み込まれたソフトウェアは、出荷時のまま何年間も使い続けられることになります。そこに不具合(バグ)やセキュリティの脆弱性が見つかっても、リモート(遠隔地)からは修正ができず、デバイスを修理センターなどに持ち込んだり、エンジニアが現地まで出張したりする必要があります。そのままの状態で使い続けられると、障害や事故、サイバー攻撃の発生につながる危険性もあります。

 一方、OTAの仕組みが備わっていれば、出荷後のデバイスに対しても、メーカー側からアップデートを実行することができます。更新作業に人手を介さないので、数十万台、数百万台のデバイスをまとめてアップデートできるメリットもあります。

 こうしたOTAの仕組みは、IoTデバイスの不具合修正やメンテナンスにだけ有効なわけではありません。実際に、自動車の車載システムなどでは、OTAを活用してIoTビジネスを拡大しているケースもあります。

 たとえば、デバイスの高度なオプション機能をサブスクリプション販売するビジネスです。デバイスが搭載する特定の機能を、OTAを使ってリモートから有効化/無効化できるようにしておけば、サブスクリプションを購入したユーザーだけにオプション機能が提供できます。同じ仕組みで“一定期間の無料トライアル”なども実現できます。

 継続的なサービスモデルのビジネスでは、提供するサービスを持続的に進化させていくこともできるでしょう。たとえば、デバイスから取得するデータの種類をOTAで切り替えることにより、AI学習やデータ分析の幅が広がり、ユーザーに新たな機能が提供できる可能性が生まれます。

 このように、OTAはIoTビジネスの可能性を広げる仕組みですが、リモートからソフトウェアやファームウェアが書き換え可能であるという特徴はセキュリティリスクも生みます。デジタル署名による正当性の検証、通信の暗号化、物理的アクセスによるソフトウェア改竄の防止などの対策が必要です。

 さらに、通信途中のネットワーク切断、ファームウェア更新中の電源断など、IoTデバイスの置かれる不安定な環境下でも、アップデートに失敗することのない仕組みも求められます。そのため、デバイスの設計段階からOTAを取り入れることを念頭に置いておく必要があります。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この記事の編集者は以下の記事もオススメしています

過去記事アーカイブ

2026年
01月
02月
03月
04月
05月
2025年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2024年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月