「もっと充実した1日を過ごしたい」を時間術で叶える。本来の自分を取り戻すタイムコーディネート

文●源詩帆  編集/山野井春絵

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 前回の記事(シリーズ1/3)では、時間術の専門家(タイムコーディネーター)の吉武麻子さんに、タイムコーディネートの考え方や「時間がない」と感じる原因についてお話を伺いました。

 では、実際にタイムコーディネートの考えを取り入れると、何が見えてくるのでしょうか。今回は、時間に余裕ができることで得られる可能性、時間の質を上げるための人間関係の整理、そしてダラダラしてしまう本当の原因と対策などを伺いました。(シリーズ2/3)

余裕が生まれると、自分の本音が見えてくる

 やりたいことが明確な方にとっても、まだ漠然としている方にとっても、タイムコーディネートがどう機能するのかを吉武さんに伺いました。

 「やりたいことが明確な方にとって、タイムコーディネートは実現への土台作りです。時間の過ごし方に主導権を持てていると感じられるようになり、達成感を感じながらやりたいことを少しずつ実現していくことで、人生の土台が整っていきます。また、やりたいことが明確であるにもかかわらず『やることをやってから』と後回しにし続け、進まないイライラを家族や周りにぶつけてしまうといった状況を抱えている方にとっては、動き出すこと自体がその状況を変える一手になります。

 一方、具体的にやりたいことはまだないけれど、このままでは嫌だと感じている方も多い。そういう方にとっても、タイムコーディネートで見えてくることがあります。

 自分だけの時間が持てた時、ふとアイデアが浮かぶことはありませんか。それは頭の中が少し自由になった瞬間だからこそ起きることです。時間に余裕が生まれると、そういう瞬間が日常の中にも増えていきます。

 タイムコーディネートは、自分本来の声に気づくための手段でもあります。本当はどんな時間の使い方がしたいのかが見えてくることで、ストレスが減り、24時間心地よく過ごせるようになる。そうすることで、この先やりたいことが自然とどんどん出てきて、思いがけないアイデアや選択肢に出合えるようになります」

自分の時間を差し出し続けてしまう「ありがとうの魔法」

 タイムコーディネートを通じて起きた変化と、時間の質を上げるための考え方について、実際のクライアントの事例を交えて教えてもらいました。

 「私のクライアントに、『ありがとうの魔法にかかっていた』とおっしゃっていた方がいました。PTAの役割も、友人の愚痴を何時間も聞くことも、頼まれたら断れない。感謝されることで時間を使った意味があると思い、自分の時間をどんどん差し出していたんです。

 タイムコーディネートの中で気づいたのは、『大切な人以外からのありがとうにも、時間を使い続けていた』ということ。その場限りの感謝のために苦しくなるほど時間を使う必要はありません。もちろん、『一律に断る』ということではなく、大切なのは、自分が心地よいと感じられるかどうかを判断基準にして、線引きができるようになることです。

 その方は断ると嫌われるのではと恐れていましたが、実際に手放してみると、人間関係は悪くならず、何も起きなかったんです。

 24時間は増やせません。だからこそ時間の質を上げる視点が大切です。抱えすぎていたものがなくなると心も体も軽くなる。その軽さが、新しいことへ踏み出すエネルギーになっていきます」

不要なダラダラ時間は、意志力ではなく「仕組み」で変える

 「もっと充実した1日を過ごしたい」にもかかわらず、ダラダラしてしまう原因と、その考え方を日常に応用する方法を伺いました。

 「ダラダラしてしまうことを、多くの方は『意志が弱いから』と自分を責めがちです。でも実はそうではありません。毎日『緊急なこと』に追われ続けている疲れが原因です。

 時間の使い方は以下の4種類に分けられます。

 1番目:『緊急かつ重要なこと』

 2番目:『緊急ではないが重要なこと』

 3番目:『緊急だが重要ではないこと』

 4番目:『緊急でも重要でもないこと』

 このうち、流されてダラダラしてしまう時間が増えているのは、毎日1番目に追われ続けているサインです。根本的な解決策は、『緊急になる前に重要なこと』を前倒しで進める意識です。ストックが切れる前に注文する、締め切りが迫る前に少しずつ進める。そういった積み重ねが日々の焦りをなくしていきます。

 この考え方は、仕事や家事だけでなく、家族とのコミュニケーションにも応用できます。私の場合、締め切りが重なる時期には『この一週間は仕事に集中させてほしい』と事前に家族へ伝えておきます。自分の状況や見通しを先に言葉にして共有するだけで、家庭内の摩擦を減らし、時間の使い方の見通しが共有できるようになります。

 女性であれば生理の周期や更年期による体調の変化もあります。こういったことも日頃から家族と共有しておくと、いざイライラしてしまった時も子どもが『自分は嫌われている』と受け取らずに済みます。

 『察してほしい』という気持ちがある方もいますよね。でも察してもらえなかった時のイライラは、ぶつかり合いになってしまいます。だからこそ、イライラしやすい状況も先に言葉にしておくことが重要です。まずは、自分の状況を言葉にすることから始めてみてください」

「いつも最低限の育児と家事に追われている」40代女性の悩みに回答

 【40代女性Sさんのお悩み】

 独身時代はタスクをこなすのが得意でしたが、結婚、出産を機に思うように時間が使えず、いつも最低限の家事と育児に追われている感覚です。『自分の時間』がほとんどなく、気づけば40代。家族との時間もあまり作れていません。時間に追われたまま子育てが終わってしまうのではないかと不安です」

 【麻子さんの回答】

 「以前はできていたことなのに今はうまくいかないと感じているなら、それは当然のことです。一人でタスクをこなしていた頃と、家族ができてからでは生活が全く違いますよね。パートナーとの共同生活だけでもルールが増え、そこに言葉も話せない命を守る育児が加わる。どんなに仕事ができる人でも、戸惑いや挫折を感じるのは当たり前のことなんです。

 もし今とても焦りを感じているのなら、心を落ち着かせ状況を客観的に整理してみましょう。例えば、子どもは少しずつ成長します。自分の時間がないと感じている今の状況は、ずっと続くわけではありません。その見通しを持つだけでも、気持ちに少し余裕が生まれます。

 子どもが少し成長して会話ができるようになってきたら、おすすめしたいのが、今日楽しかったことのベスト3を家族で話す習慣です。ベスト3を共有するだけでも、子どもの考えがより深く理解できるようになり、家族で過ごしているという実感が得られます。また子どもに聞くだけでなく、ご自身も答えることが大切です。『ママは今日何が楽しかった?』と問われることで、自分の心地よさのアンテナを磨くことができますし、子どもに『大人になるって楽しそうだな』という印象も伝えられます。こういった小さな会話が習慣化されていることで、思春期を迎えた時にも役立ちます。

 また、時短・効率化で解決できることと、できないことがあると理解するだけでも、焦りは和らぎます。家族との関係や子育ては、効率化だけでは対応できない部分が多い。その違いを理解した上で、今の自分に何ができるか、今は何を優先したいかを考えてみてください。完璧にこなそうとするのではなく、今この時にできる形で、少しずつ自分と家族の時間を取り戻していきましょう」

 次回は、まず始めるべきこと、朝・日中・夜の時間帯別の見直し方、無理なく続けるためのコツなど、具体的な手法をお届けします。

著書『「時間がない!」から「余裕のある毎日」へ 24時間が変わる朝の30分』(大和書房)。朝時間をテーマに、5タイプに合わせた実例がわかりやすく紹介された一冊。

 

Profile:吉武麻子

よしたけ・あさこ/TIME COORDINATE株式会社代表取締役、作家、タイムコーディネーター

神奈川県生まれ。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ4000名以上に指南。著書に『1年・1カ月・1週間・1日の時間術』『時間デトックス』『24時間が変わる朝の30分』など。その他『時短・効率化の前に今さら聞けない時間の超基本』などの監修や、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。プライベートでは小学生2児の母。


吉武さんのInstagramはこちら。

 

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