調査会社IMARC Groupの最新レポート(2026年1月発表)によると、製造業を中心とする日本の産業IoT(IIoT)市場は2025年、76億米ドル(約1.2兆円)規模に到達しました。その後、年平均成長率(CAGR、2026~2034年)が9.12%で拡大し、2034年には現在の2倍以上となる166億米ドル(約2.6兆円)に達する見通しです。
また、IDC Japanによる国内IoT市場レポート(2025年3月発表)では、市場規模の大きい製造分野において、「製造オペレーション」「製造アセット管理」の支出額が高い水準になると予測されています。
AI/エッジAIや5G/6Gの波に乗り、製造分野のIoTが「見える化」から「予知保全」「自律制御」「自律最適化」へと進化していく動きは、製造業の現場責任者にとって見過ごせないものと言えます。
製造分野を中心とする産業IoT市場が拡大を続ける背景には、上述のとおり、IoTの役割が単純な「見える化」から、「予知保全」「自律制御」「自律最適化」へと進化している実態があります。AIやデジタルツインといった技術の高度化により実現し、やがてはスマートファクトリー、スマートマニュファクチャリングの実現へとつながります。
工場の生産設備へのIoT導入を例に、その進化を具体的に考えてみましょう。
IoT導入の初期段階は、IoT導入によって「リモートからデータが取得できる/監視できる」「障害発生をすぐに検知ができる」といったレベルです。ここから、取得したIoTデータを高度分析することで「障害の発生を事前に予測し、不測のダウンタイムを防げる」へと進化し、さらにはリアルタイムのデータ分析を通じて「AIが自律的に稼働を制御できる」、そして「自律的に運用を最適化できる」世界へと進みます。
こうした変化を通じて、生産現場の効率化や省人化、コスト削減、品質管理の高度化などが期待できることになります。
変化の背景にあるのは、5G/6GやIOWN APNといった低遅延/大容量のネットワーク、エッジコンピューティング、そしてAIといった技術の実用化/低廉化です。初期投資が必要となっても、高い投資対効果が期待できるという判断のもとで投資が進み、市場規模の拡大へとつながっています。
■本連載の過去記事より
・製造業からヘルスケアまで、IoTだからこそ実現できる「予知・予兆型ビジネス」
・「エッジAI」がIoTシステムの適用範囲/ユースケースを拡大する
・1ミリ秒の壁を越えたら、IoTには何ができるようになるのか?(5G/6G、IOWN)
もっとも、産業IoT市場が成長する一方で、その動きに取り残される企業も出てくるでしょう。初期投資、既存設備へのIoT実装の可否、システム間のデータ連携、セキュリティ対策、AI/データ/ITスキル人材の確保など、IoT導入のハードルは数多くあります。特に中小企業にとっては“難題”であることも多く、楽観的ではいられません。
もっとも、難題だからといって傍観しているわけにもいきません。将来的な“攻めの産業IoT活用”につなげるためにどうすればよいのか、次回以降、中小製造業にフォーカスして、その課題と解決策を整理していきたいと思います。
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