自転車に青切符! カスハラ防止策義務付け! 取引先契約見直し! 法律改正の要点を共有して社内コンプライアンスを整える方法
2026年04月10日 15時30分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第54回は法改正の要点をわかりやすくまとめ、社内で共有する情報をAIで作成する方法について解説する。
2026年は法改正が目白押しだ。道路交通法の改正で自転車に反則金制度が新設され、カスタマーハラスメント防止措置が企業の義務になり、下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」へと通称まで変わった。まだまだ多数の法律が施行予定となっており、法務部や総務部でなくても「うちの会社に関係あるのはどれ?」と気になるところだろう。
とはいえ、法改正の原文は長くて読みにくいし、解説記事を探して読み込む時間もない。そこで、生成AIの出番だ。ChatGPTやGemini、Claudeなどに法改正の要点を要約させ、社内チャットやメールで共有すれば、チーム全体のキャッチアップが一瞬で終わる。
今回は、ビジネスパーソンなら押さえておきたい2026年の法改正を3つピックアップして、社内共有テクニックを3つ紹介する。
自転車に青切符が切られる、道路交通法改正
1つ目は「道路交通法改正」を例に解説しよう。2026年の道路交通法関連の見直しでは、4月1日から自転車にも交通反則通告制度が適用され、9月1日からは生活道路における自動車の法定速度が30km/hに引き下げられる。通勤や営業で車や自転車を使う社員にとって、見逃せない改正だ。
「社内共有用として、2026年4月1日に施行された道路交通法改正について要約して」だけでも、必要な情報は手に入る。出力された内容をそのまま社内チャットに貼り付けてもいいし、メールで送ってもいい。AIに「社内共有用」と指定するのがコツ。法律の原文をかみ砕いた、誰でも読める粒度の文章が出てくるからだ。もちろん、法的な正確性の最終チェックは人間が行うべきだが、「何が変わるのか」のざっくりとした把握には十分だ。
さらに、視覚的にわかりやすくしたいなら、グラレコ風の解説画像をAIに作らせるという手もある。Geminiを使えば、法改正の全体像を1枚の画像にまとめられる。テキスト出力した要約に1枚のビジュアルを添えるだけで、社内の反応は変わるはず。テキストは読み飛ばされがちだが、画像は目に留まるからだ。
○プロンプト
あなたは企業の法務・総務担当者向けの社内報を作成するアシスタントです。2026年4月1日に施行された道路交通法改正に関して調査し、社内共有用のわかりやすいグラレコ風解説画像を生成してください。添付のマスコットを動きを付けて小さく使ってください。
共有しやすいようにプレゼンスライドにまとめてもらうこともできる。ChatGPTとClaudeならそのまま指示でき、Geminiであれば「Canvas」機能をオンにしてプロンプトを入力すればいい。
○プロンプト
あなたは企業の法務・総務担当者向けの社内報を作成するアシスタントです。2026年4月1日に施行された道路交通法改正に関して調査し、社内共有用のわかりやすいスライド資料を作成してください。スライドは5~6枚でまとめてください。
カスハラ防止措置が義務付けられる、労働施策総合推進法
2つ目は「カスタマーハラスメント防止の義務化」を社内浸透させてみよう。労働施策総合推進法の改正により、2026年10月1日から企業にカスハラ防止措置が義務づけられる。接客業はもちろん、コールセンターや営業部門にも影響が大きい。
要約と画像で社内に周知するだけでなく、もう一歩踏み込みたいなら、Deep Research機能を使った調査レポートの共有がおすすめだ。主要な生成AIにはウェブを横断的に調査して長文レポートを生成する機能が搭載されており、通常の検索とは段違いの深堀調査をしてくれる。
たとえば「2026年10月施行のカスタマーハラスメント防止義務化について、飲食業が準備すべきことを調査してください」とDeep Researchに投げれば、関連する厚労省のガイドライン、必要な社内体制と就業規則の改定項目や、従業員教育と相談窓口設置の具体的手順などを横断的に調べ上げ、参考URLのリスト付きでレポートを出力してくれる。
今回はChatGPTを利用し、1万5000文字以上のレポートが完成した。「↓」メニューからテキストをコピーしたり、WordやPDFファイルでダウンロードできる。「共有する」をクリックして発行されるリンクを社内で共有しておけば、法務担当者も現場のマネージャーも必要なときにアクセスできる。参考URLが付いているので、一次情報に当たりたい人はそこから深掘りもできる。
Deep Research機能はChatGPT/Gemini/Claudeに搭載されているが、有料アカウントでしか使えなかったり、無料アカウントで利用できても回数制限が厳しかったりする。有料アカウントを持っている上司などが準備し、社内共有するといいだろう。
取引先との契約に影響する、取適法の改正
そして、最後に紹介したいのがGoogleのNotebookLMの活用だ。ここでは「下請法の改正(取適法)」をチェックしてみよう。2026年1月1日にすでに施行されており、手形払いの禁止や適用対象の拡大など、取引先との契約を見直す必要がある企業は多いはずだ。
NotebookLMはウェブページのURLやPDFなどをソースとして登録すると、その内容に基づいてAIが質問に答えてくれるツールだ。前述のDeep Researchのレポートを登録することもできる。一度準備しておけば、「この法改正はパート社員にも適用される?」「罰則規定はある?」といった個別の質問に、登録したソースの内容をもとに回答してもらえるのが便利。
NotebookLMの活用ステップは簡単だ。まず、Deep Researchで作成したレポートをGoogleドキュメントに保存する。次に、調査時に参考にしたURLを5~10本ほどピックアップする。NotebookLMで新しいノートブックを作成し、それらをソースとして追加する。あとは、チャット欄に聞きたいことを入力するだけだ。
回答は登録したソースから生成されるので、ハルシネーションが発生しにくいのが特徴。ソースへのリンクも付いているのでファクトチェックも楽だ。
応答が問題なさそうなら、右上の共有ボタンから共有リンクを発行し、社内で共有しよう。ちなみに、個人アカウントであれば「公開リンク共有」で誰とでもノートブックを共有できるが、Google Workspaceアカウントの場合は社内もしくはあらかじめ設定したグループ単位でしか共有できないので覚えておこう。
法改正は「知らなかった」では済まされない。だが、原文を読み込み、要点を整理し、社内に展開するという作業の負担は大きい。生成AIを活用すれば、要約、ビジュアル化、深掘り調査、質問対応などから解放され、浮いた時間を「自社への影響の見極め」や「具体的な対応策の検討」にあてられるようになる。次の法改正が発表されたら、まずはAIに聞いてみてほしい。
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