“AIで進化するBox”に続き“AIのために進化するBox”を目指す、新年度の事業戦略を発表
“SaaS is Dead”説を覆す AIエージェントはむしろBoxを成長させる ― Box Japan 佐藤社長
2026年03月31日 08時00分更新
「最近では『SaaS is Dead』、つまりSaaSはもうAIエージェントに駆逐されていくのではないかという記事も目にする。たしかに駆逐されるSaaSベンダーもあるだろうが、その反対に、AIを武器に加速していくSaaSベンダーもある。もちろん、われわれは後者だと考えている」(Box Japan 佐藤範之氏)
Box Japanは、2026年3月27日、新年度(FY2027、2026年2月~2027年1月期)の事業戦略説明会を開催した。企業において「AIエージェントのビジネス活用」への注目が高まるなか、Boxは、AIエージェントに企業の保有コンテンツを安全に連携するプラットフォームという位置づけを狙う。新年度は、これまでの“AIで進化するBox”と同時に“AIのために進化するBox”を目指す方向性を明確にした。
AIエージェント時代に「むしろ成長が加速する」理由
Box Japan 社長執行役員の佐藤範之氏はまず、昨年度(FY2026)の業績を報告した。「ひと言で申し上げると、非常に大きく成長した1年だった」と振り返るとおり、新規顧客ライセンス数(ARR)は前年度比で34%の増加。既存顧客の契約更新率も98%と高い水準を維持した。その結果、Boxのグローバル売上に占める日本の売上比率は25%と、円安が進む市場環境にもかかわらず、外資系SaaSベンダーとしては非常に高い水準となっている。
ビジネスが好調だった要因として、佐藤氏は、顧客規模別の全セグメント(エンタープライズ、ミッドマーケット、SMB)で売上を増やしたほか、注力する金融サービスと公共セクターではおよそ2.5倍のビジネス成長を達成したこと、首都圏や近畿圏以外の地域でもパートナー販売網を強化できたことなどを挙げる。
「日本における市場トレンドは大きく2つあったと考えている。1つは『セキュリティ対策への意識の高まり』。昨年度はランサムウェア被害が多く発生し、大企業だけでなく中小のお客さまも、ファイルサーバーから(Boxへ)移行するケースが本当に増えた。もうひとつが『AIを使って自社のファイルをどう管理し、活用していくのか』ということ。AI活用のための新しいテクノロジープラットフォームとして、Boxを選んでいただけた」(佐藤氏)
本記事冒頭のコメントのとおり、佐藤氏は“SaaS is Dead”という単純な議論は誤りであり、むしろAIエージェント時代に成長を加速させていくSaaSのひとつがBoxであるという認識を示す。
「(AIエージェント時代に)成長が加速するSaaSベンダーとは、Systems of Record(SoR)、つまりお客さまのビジネスデータを保有しており、そのプラットフォーム上でAIエージェントが安心安全に業務を回すことができる、そんなSaaSベンダーだと考えている。MCPサーバーやAPIを通じて外部エージェントとも連携できる、データのコンテキストもしっかり扱える、それらを担保することで、われわれは今後も成長していく予定だ」(佐藤氏)
2026年は「AIエージェント実装の年」、販売モデルやセールス方針にも変化
昨年度は“AIエージェント元年”を掲げたBoxだが、今年度(FY27)はさらに前進して“AIエージェント実装の年”を目標とする。
佐藤氏は、顧客企業側ではAIの業務活用が「PoCから業務実装へ」「個人活用から組織での活用へ」とシフトしつつあり、それに対応してBoxも「実業務へのAIエージェント実装を進めて、具体的な価値を得る元年にしていく」と説明する。
その具体的施策としてはまず、顧客企業がより短期間で成果を得られるように、Boxを使ったAIエージェントの実装を、半パッケージ化して提供する「Solutions」を立ち上げる。業界を問わず導入できるもの、金融サービス、ライフサイエンス、公共(政府/自治体)と、各インダストリー特有の業務におけるエージェント活用をうながすものと、幅広くラインアップを展開する予定だ。
また、AIエージェントが“ユーザー”としてBoxにアクセスするこれからの時代に合わせて、ユーザー人数に応じた従来型ライセンス(シートライセンス)に加えて、APIコール数やAI処理のトークン数に基づくプラットフォーム利用ライセンスも販売し、収益源としていく計画だと明かした。
さらに、AIエージェントが活用される現場や活用目的の変化をふまえ、顧客への提案方法、Go To Marketの方法も変化させる。具体的には、業務部門へのセールス機会も増やし、製品が備える機能ではなく「業務課題をどう解決できるか」「どんな業務成果が出せるか」を訴えていく方針だという。
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