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大阪市とテックタッチ、“見過ごされがちな市民ニーズ”をAIで可視化、ソーシャルリスニングを活用したEBPM推進の実証結果を発表

テックタッチ株式会社
2026年03月25日

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テックタッチ株式会社
~SNS上の声をAIエージェントが分析。DX担当部局職員の60%超が分析結果を根拠資料として活用可能と評価~

テックタッチ株式会社は、大阪市(デジタル統括室)と共同で、データに基づく政策や施策の立案(EBPM:Evidence Based Policy Making)の推進の一環として、生成AI(AIエージェント)を活用した市民ニーズの可視化の有効性を検証し、その結果(職員アンケート調査等を含む)をまとめた共同調査研究報告書を公開いたしました。
本実証では、SNS上の膨大な投稿から特定の施策テーマ(産前産後ケア等)に関する市民の「本音」をAIが抽出。その分析結果について、本実証の推進部署であるデジタル統括室職員の多くが、従来のアンケートや意見集約を補う手段として活用可能性があると評価したことをお知らせいたします。

調査研究報告書のダウンロードはこちら URL:https://techtouch.jp/resources/ebook_ebpm-osaka/



■実証の背景
大阪市とテックタッチは2025年9月に連携協定を締結し、バックオフィスDXの推進や、EBPMの推進に向けた各種実証を進めてきました。本実証は、その一環として、市民の生活に根差した声をより丁寧に把握し、既存施策の振り返りや新たな示唆を得ることを目的に実施しました。
従来、行政機関が市民ニーズを得る手法は年に一度のアンケートやお問い合せフォームに寄せられる意見等に頼っており、日常的な困りごとなど“見過ごされがちなニーズ”の継続的把握には限界がありました。人口減少や行政リソースの制約が進む中で、本取り組みはテクノロジーの導入自体を目的とするのではなく、行政機関が有効にデータを活用することで、従来の手法では気づかなかった市民のニーズを把握するための一助とすることを目指しました。

※連携協定について https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000348.000048939.html


■本実証実験における取り組み内容
今回の実証ではSNS(X)における、全国の妊娠・子育て当事者と推定される方の投稿1,000件を対象に、意思決定支援AI「AI Central Voice」を用いて市民の声を構造化し、以下の検証を行いました。

1. AIエージェントによる多角的な市民ニーズの抽出
SNS上の膨大なデータから、従来のアンケート等には現れにくい日常生活における「困りごと」や「期待」をAIが自動抽出。特定のバイアスに偏らない、潜在的な市民ニーズの可視化を試みました。

2. 施策立案の「素案(たたき台)」作成支援
抽出されたニーズに基づき、AIが施策の方向性や具体的な施策案を提示。AIが作成した「たたき台」を起点に検討を深めることで、思考の質の向上と工数削減の可能性を検証しました。

3. デジタル統括室職員による実用性評価(アンケート調査)
AIによる分析結果および生成された施策案について、DX推進を担うデジタル統括室職員が評価を実施。企画・意思決定における根拠資料としての有用性やAIへの信頼性、活用に適した業務分野の特定を行いました。

■本実証から見えてきた論点
分析の結果、SNS(X)上の投稿を親カテゴリ/子カテゴリおよび感情等の軸で構造化・集約し、妊娠・子育て領域における課題感を場面ごとに整理。さらに「課題感」「すぐにやれる施策」「抜本的に変えるための施策」の3点のサマリーをAIによって示しました。以下は、施策評価や改善を検討する際の視点として参照できる出力結果の一例です。

1. 日常生活行動(食事準備・調理行動)
・課題感:産後の体力・時間不足の中で食事準備・後片付けが重く、惣菜・宅食に頼らざるを得ない/偏食・アレルギー等の個別対応で負担が増幅する。
・すぐにやれる施策:地域の飲食店・NPO等と連携した「安価な宅食・惣菜」の情報提供(Web等)+利用補助のパイロット、作り置き・下処理支援の試行。
・抜本的に変えるための施策:産前産後の食事支援を条例・助成等で制度化し、デジタル申請・情報提供プラットフォーム整備と周知・継続改善まで一体設計する。

2. 夫婦・家族関係場面(例:パートナー育児場面/家族サポート場面)
・課題感:家庭内の役割分担や支援の有無が、ワンオペ化(例:配偶者の帰宅が遅い)や心理的負担(寄り添い不足等)と結びつきやすい。
・すぐにやれる施策:食事支援等の施策とセットで、家庭内分担を後押しする情報発信と、親族・地域支援につなぐ導線(“使える支援”の接続)を整える。
・抜本的に変えるための施策:共働き世帯等を対象に、食育・調理スキル講座等を継続実施し、家事シェアリングを中長期で定着させる。

3. 妊娠・出産場面(例:産後回復場面)
・課題感:産後回復期の体調不良等が日常の負担や支援ニーズに連動し得るため、投稿の文脈・感情の整理から“見過ごされがちな傾向”を論点化できる。
・すぐにやれる施策:助産師・保健師による訪問/オンライン相談を拡充し(夜間・週末も含め)、父親向けの具体的ケア情報提供も強化する。
・抜本的に変えるための施策:産後ケア施設・アウトリーチ等の利用料助成を拡充し、休養と回復を“必要な人が継続利用できる体制”として整備する。

※各施策案は実証を目的としてAI Central Voiceが生成した分析素案の例示です。大阪市の施策方針や公式見解を示すものではありません。

■報告書にみる主要な成果(デジタル統括室職員向けアンケート調査結果より)
本実証の推進部署であるデジタル統括室内の職員を対象に、本分析結果の実用性や施策検討に向けた材料としての有用性を評価するアンケートを実施しました(実施期間:2026年2月24日~3月3日 回答数:26名)。アンケートで得られた結果の一部は以下の通りです。

・ソーシャルリスニングの行政判断への活用可能性:当該部門職員の85%がSNS/Webデータを「市民の意見」として扱えると回答しました。






・施策評価・改善への気づき:63.3%の職員が、AIが提示した分析結果を「少しの手直しで根拠資料として使える」と回答。AIで整理し、職員が最終的な解釈と活用を担う、行政実務における協働のかたちが浮かび上がってきました。






・活用範囲について:54%の職員が、分析結果について、「幅広く活用できる」と回答。






〈フリーコメント(一部抜粋)〉
・生の声を拾える。人がやるより効率的で工数を削減できる
・潜在的ニーズを抽出できている。担当者の経験に頼らない示唆が得られる
・幅広いニーズ調査やたたき案作成に活用できる
・AIの処理の不透明さから、「AIによるバイアスがあるのではないか」との不安がある
・SNSで発信する人は限定的なため、バイアスフリーとは言えない
・統計的なデータを正しく読み解くための知識や、AI処理に頼りすぎない(盲信しない)スキルが必要

■ 導入・運用における留意事項
本実証を通じて、生成AIを行政実務で活用するための課題も明らかになりました。

1.情報の不正確性への対策:AIの誤情報を前提とし、最終判断は必ず人間が行う体制の徹底。
2.データの代表性の確保:SNSデータは「一部の声」であることを認識し、統計データや既存アンケート結果等と組み合わせた多角的な分析。
3. 職員のリテラシー向上:出力結果の妥当性を検証するためのデータリテラシー習得

本実証を通じて、SNS/Web上の「市民の声」を可視化・整理することで、従来の調査だけでは気付くことができなかった示唆を得られる可能性が確認されました。AIによる大幅な工数削減に加え、業務の企画・意思決定において経験やこれまでの実績を重視する職員ほど今回の結果を“意思決定の裏付けとして活用できる”と評価する傾向も見られ、AIで整理し、人が最終的な精度と解釈を担保するという行政実務での協働モデルの一つが示されました。


■AI Central Voiceについて
「AI Central Voice」は、テックタッチ株式会社が提供するAI分析プラットフォームです。企業や組織に蓄積された顧客・利用者の声を整理・構造化し、分析可能な形で可視化します。
本取り組みでは、市民の声を整理・把握するための分析基盤として活用し、行政内部での検討を支える材料の整理に用いました。
AI Central Voice:https://aicentralapp.com

■デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「テックタッチ」について
テックタッチ株式会社は、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「テックタッチ」を提供し、国内シェアNo.1を誇ります。1,000万人(2026年1月時点)を超えるユーザーに利用され、大手企業や官公庁などに導入されています。グッドデザイン賞、経済産業省が選ぶJ-Startup認定など、受賞多数。近年では、AI活用機能「Techtouch AI Hub」を追加し、信頼性の高い技術開発を通じて、あらゆる業界のDXやAI活用を支援しています。

<テックタッチで設定したナビゲーションの例>