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ASCII Power Review 第308回

体積50%削減でも1000Wh容量を確保=スマホで完全コントロールができるポタ電「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

2026年03月04日 00時01分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 アウトドアレジャーの普及や防災意識の高まりを受け、ポータブル電源への注目が高まっている。特にスマホやタブレットといったモバイル機器にとって、電力はまさに生命線。屋外でいかに電源を確保するかということは、趣味を楽しむうえでも、非常事態に備えるうえでも、極めて重要な意味を持つ。

 しかしいざ導入しようとしたとき、製品の多さに頭を悩ませる人も多いことだろう。特にモバイルバッテリーによる発火事故が報じられている昨今、ユーザーが求めるのは機能や容量以上に「安全性」と「信頼性」だ。

 そこで今回レビューするのが、ドローンやアクションカメラでおなじみのDJIの最新ポータブル電源「DJI Power 1000 Mini」だ。同社のラインナップにおいて最も携帯性に優れていると謳われる本製品は、1008Whという大容量を確保しながら、片手で持ち運べるサイズと約11.5kgという重量を実現している。

 さらに、最大400Wのソーラー充電(MPPT)やカーチャージ機能を本体に内蔵しており、追加のアダプターを用意することなく、家庭用電源、ソーラーパネル、シガーソケットから直接充電でき、USB-C経由の給電にも対応している。

 DJIから試用機を借りたので、基本スペックや使い勝手の検証に加え、実際に屋外へ持ち出してソーラー充電テストも実施した。ポータブル電源選びに頭を悩ませている方の参考になれば幸いだ。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

「DJI Power 1000 Mini」直販価格5万3460円

先代比で体積を約50%削減
静荷重1トンに耐える堅牢性を実現
 

 「DJI Power 1000 Mini」は、1008Whという大容量を確保しながら、大幅な小型化を実現したポータブル電源。本体サイズは約314×212×216mm、重量は約11.5kg。前モデルと比較して体積を約50%削減している。

 コンパクトな筐体には、エネルギー密度の高い「リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)」が採用されており、4000サイクルの充放電を繰り返しても80%以上の容量を維持する長寿命設計と謳われている。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

パッケージにはDJI Power 1000 Mini本体、AC電源ケーブル、MC4ソーラー充電ケーブル、説明書(クイックスタートガイド、安全ガイドライン)が同梱

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

実測重量は11.3kg

 出力性能については、定格800W(最大AC出力1000W)のパワーを実現。AC出力ポートは4ポート搭載されており、複数のガジェット、家電を同時に動かすことが可能だ。

 また、前面には最大100Wの給電に対応する巻き取り式USB-Cケーブルが内蔵されているほか、別途USB-CポートとふたつのUSB-Aポートも装備する。身の回りの、スマホ、タブレット、ノートPC、カメラ機材などへの給電に幅広く利用できる。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

ボタン、端子は前面に集中している。左上から、ディスプレー、巻き取り式USB-Cケーブル、USB Type-A×2、USB Type-C、ACボタン、AC出力ポート×4、SDCポート、AC入力ポート、LEDライト、LEDボタンを備える

 充電機能については、家庭用コンセントからのAC入力に加え、カーチャージャー機能やソーラー充電(MPPT)機能を本体に内蔵している点が特徴。ACコンセントからの急速充電モードを使用すれば、0%から100%まで最短約75分でフル充電を完了すると謳われている。

 さらに、独自のSDCポートを活用することで、最大400Wの入力や300Wの出力が可能。DJI製ドローンのバッテリーを急速充電するという独自機能も本製品のアドバンテージだ。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

左がAC電源ケーブル、右がMC4ソーラー充電ケーブル

 安全性にも特に配慮されており、筐体は1トンの静荷重に耐える堅牢な構造を採用。内部基板には樹脂コーティングが施されており、埃や湿気といった過酷なアウトドア環境下での利用を想定した仕様だ。

 また、動作音は標準充電時で約24dBと低く抑えられているので、夜間の室内や静かなキャンプ場でも周囲を気にすることなく使用できる。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

急速充電モードと標準充電モードの2種類を用意。急速充電モードでは実測58.5dBの動作音が発生した

小型化、ケーブル内蔵、オールインワンと
三拍子そろった進化
 

 製品名に「Mini」を冠する「DJI Power 1000 Mini」だが、単なる「小型版」ではない。最新モデルにふさわしく、主に3つのアップデートが施されている。

 まずは、小型化のための新設計だ。内部のバッテリーセルを長方形にすき間なく配置する高密度設計を採用しており、1kWhの大容量を片手で運べるサイズに凝縮している。身近なものと比較したサイズ感としては、2リットルペットボトル4本ぶんぐらいだ。

 そして、ただ単に小型化するだけでなく、前述のとおり基板には樹脂コーティングが施されており、衝撃や環境変化への対策も強化されている。

 実際に持ってみると、小さいぶんずっしりと重さは感じるが、従来モデル「DJI Power 1000」から体積を約50%削減しているだけに、設置する際や、車で持ち運ぶ際にスペースを取らないというのは明確なメリットだ。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

小さいぶん、11.5kgはずっしりとした重さを感じる

 ポータブル電源だけでなく、モバイルバッテリー使用時に大きなストレスになるのが、ケーブルの管理だ。「DJI Power 1000 Mini」は、本体前面に最大100W出力に対応した「巻き取り式USB-Cケーブル」を標準装備。使いたい時にスルッと引き出し、軽く引っ張れば自動的に収納される。

 またこの端子は給電にも対応しているので、USB Power Delivery 3.0以上に対応したUSB AC充電器で本体を充電可能だ。

 ただし「DJI Power 1000 Mini」が完全に放電されると、低電圧保護状態に入る場合があり、その際はUSB-CとSDC経由での充電はできない。またACコンセントからの充電より速度は遅い。USB-C経由での本製品への充電は、あくまでも手軽に継ぎ足し充電するための補助機能と捉えたほうがいいだろう。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

巻き取り式なので、ケーブルの出し入れは容易だ

 3つ目の進化点が充電・給電システムのオールインワン化。これまでのモデルでは「ソーラー充電(MPPT)」や「カーチャージャー」を利用するためには別売りアダプターが必要だったが、「DJI Power 1000 Mini」は本体に内蔵している。つまり、付属の専用ケーブルを接続するだけで、太陽光や車のシガーソケットから直接、高効率な充電が可能なのだ。充電するためのセットアップがシンプルなのは、使い勝手という点で大きな進化と言えるだろう。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

「DJI Power 車内バッテリー充電ケーブル」(直販価格4950円)。車のバッテリーに直接接続して充電可能。安全性確保のため「ブレードヒューズ」(80A)を備えている

専用アプリ「DJI Home」で
入出力をワイヤレス監視
 

 実機を試用してまず気に入ったのが、専用アプリ「DJI Home」の使い勝手のよさだ。「DJI Power 1000 Mini」はWi-FiおよびBluetooth接続に対応しており、スマホから入出力電力のリアルタイム確認や、ファームウェアのアップデート、バッテリー残量の監視がワイヤレスで行なえる。

 たとえば屋外でのソーラー充電時、強風によるパネルの転倒や、あとから来た車両が太陽光を遮ってしまうといったトラブルは付きものだ。Bluetoothの届く範囲内という制限はあるものの、離れた場所から発電状況を監視できるのは、安心感が高い。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

専用アプリ「DJI Home」はiOS、Androidに対応。最新ファームウェアの適用に必須だ

実使用環境で検証
公表値を上回るスタミナを確認
 

 メーカー公表の利用目安は多岐に渡るが、各機器の具体的な消費電力が不明なため、筆者のメインデスクトップPCを用いたテストを実施した。100%から1%に低下するまでの駆動時間を計測する。ただし、仕事用マシンを突発的に落とすのは精神衛生上よろしくない。0%ではなく1%を終了ラインとした。
【検証マシンの主な構成】
CPU:Ryzen 9 5950X、メモリー:64GB、GPU:GeForce RTX 3090、電源:1000W

 結果は、残量1%に達するまで「5時間7分7秒」となった。DJIの公表値ではゲーミングデスクトップPCは約2時間とされていたが、同等のスペックを持つ筆者のマシンでも、日常業務程度の負荷であれば大きく上回る駆動時間を叩き出したわけだ。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

筆者のデスクトップPCを「DJI Power 1000 Mini」へ直結してテスト

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

5時間を超える連続駆動を確認した

最短約75分の急速充電と
運用時の表面温度を確認
 

 充電性能についても検証した。ACコンセントからの急速充電モードは、最短約75分でフル充電が可能とされている。実測では1%から開始して「75分57秒」で完了。ほぼスペックどおりの急速充電性能と言っていいだろう。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

1%からのフル充電。終盤の速度低下もわずかで、安定した急速充電を確認できた

 気になる発熱については、充電開始10分後にサーモグラフィーカメラで計測したところ、上面40.1℃、排気口付近で48.1℃を記録した(室温24.4℃で測定)。表面温度は許容範囲内だが、排気口周辺のスペース確保には注意を払いたい。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

排気口付近は50℃近くに達するため、設置場所には配慮が必要

冬のサバゲーフィールドでソーラー充電テスト
放置したのに予想以上の発電力
 

 最後に、100Wの折りたたみ式ソーラーパネル2枚を用いた充電テストを実施した。太陽の動きに合わせた微調整はあえて行なわず、8時から16時まで放置してどの程度稼働するかという、より現実に即した「放置スタイル」で検証している。

【テスト条件】
場所:埼玉県上尾市「Hill's サバイバルゲームフィールド」
日時:2月22日(晴れ、最高気温約22℃)

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

冬場の低い太陽高度に合わせ、パネルを垂直に近い角度で設置。

 結果は、約8時間8分で「0%から72%」まで回復した。日照時間が短く、太陽高度も低い2月下旬としては予想以上の効率だ。正直、これまで簡易型ソーラーパネルには幾度となく期待を裏切られてきたが、本機の充電性能にはいい意味で驚かされた。

 なお計測中、11時台に出力が一時低下する場面があった。サバイバルゲームに熱中していたため現場の詳細は不明だが、薄雲の影響かもしれない。それでもピーク時には167W超を記録しており、夏場であれば5〜6時間でのフル充電も現実性が高いと思う。

 ただし、今回のような100Wパネルを2枚並べる運用は、設置・撤収の手間も2倍になる。機動力重視なら、200Wパネル1枚での運用がスマートであろう。「IBCPOWER 200W折りたたみ式ソーラーパネル」は2万4200円だ。

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

折りたたみ式のソーラーパネルだが、約8時間8分で72%まで充電できた

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

ピーク電力は167Wをマーク

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

16時過ぎに5Wまで低下した時点で計測終了

「DJI Power 1000 Mini」実機レビュー

車両の影に隠れると、一定の距離でBluetooth接続が切れる場面もあった

DJIのバッテリー技術が結実した
信頼の1台である
 

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