高音質を支える「電流出力型DAC」と「HDAM-SA2」
音質の核となるのが、全チャンネル同一クオリティで構成されたDAC部だ。AV 30では、高音質オーディオ機器で採用例の多い「電流出力型DAC」を11.4ch分(8ch DACチップ×2基使用)搭載している。
電流出力型は微細な信号の再現性に優れる反面、I/V(電流/電圧)変換回路を外付けで構成する必要があり、部品点数とコストが増大する。しかし、マランツはあえてこの方式を採用し、オペアンプや周辺パーツの選定、回路設計における自由度を確保、独自の音作りを徹底している。DAC基板上のアナログ信号ラインには、電流ノイズが発生しにくい薄膜抵抗などの高品位パーツが投入されている。
DAC基板。音質評価に基づいて選定された電流出力型DACチップ(8ch対応×2基)を採用。DACの直近にジッター除去回路を配置し、HDMIを含むあらゆるデジタル入力ソースにおいて、微細な信号まで忠実に変換する。
アナログプリアンプ基板の構成は、チャンネルごとに独立した基板を持つAV 10とは異なり、L/Rチャンネル系で基板を2枚に分割する構成(L側基板+R側基板)を採用した。これにより左右チャンネル間のクロストークを排除し、広大な空間表現力を実現している。
この回路ではマランツ伝統の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を全チャンネルに搭載。使用されるトランジスターはAV 10と同じ小型のコンプリメンタリー低ノイズトランジスターが選定されている。
ディスクリートの部品を、海合わせたHDAM回路。11.4ch全てのプリアンプ回路に搭載。基板を左右チャンネル(L/R)で分割して配置することで、チャンネル間のセパレーションを向上させ、立体的な空間表現を実現した。
デジタルオーディオの要となるクロック回路にも妥協はない。HDMIなどのデジタル入力信号に含まれるジッター(時間軸の揺らぎ)を低減するため、DACの直近にジッターリデューサー(除去回路)を配置。クリーニングされたクロックでD/A変換を行うことで、HDMI入力時でも高精度な定位と空間描写を可能にしている。
電源部は、ノイズに敏感な電流出力型DACやプリアンプの性能を引き出すため、フルディスクリート構成のアナログ電源回路を採用した。アナログオーディオ回路専用の電源トランスを用意し、さらにDAC部、プリアンプ部など回路ブロックごとにトランスの巻線を独立させることで相互干渉を排除している。ブロックコンデンサーにはAV 30専用に開発された6,800μFのカスタムコンデンサーを2基搭載する。
シャーシ構造も強固だ。メインシャーシには、トランスの重量を支え、その振動を逃がすためにボトムプレートを追加した複層構造を採用。外装の固定には銅メッキビスを使用するなど、音質に関わる細部までマランツのこだわりが貫かれている。背面パネルには、近年のAVアンプでは省略されがちなコンポーネントビデオ入力端子が装備されており、レガシー機器との接続性も確保されている点がAV 10との違いの一つである。


















