Claudeを開発するAnthropicが、AIの対話空間に広告を入れない方針をあらためて打ち出した。同社はスーパーボウル中継で、AIの会話に露骨な広告が割り込む未来像を揶揄するCMを放映し、大きな注目を集めた。この演出に対し、ChatGPTを開発するOpenAIのサム・アルトマンCEOが長文の反論をXに投稿し、AIをめぐる価値観とビジネスモデルの対立が鮮明になっている。
Anthropicは2月5日、Claudeを「考えるための空間」と位置づけ、広告を表示しない理由を公式に説明した。AIは検索エンジンやSNSよりも、ユーザーが個人的で繊細な情報を共有しやすい。匿名化された分析では、Claudeとの対話には深刻な悩みや専門的な作業が多く含まれているという。こうした場に広告が入り込めば、不自然で不適切になりやすく、AIが本当に利用者の利益のために振る舞っているのか疑念を生むと同社は指摘する。
この姿勢を象徴する形で、AnthropicはスーパーボウルのCMに、AIが相談に答える最中に突如スポンサー商品を勧めはじめるという演出を使った。広告モデルの危うさを笑いに変えて伝える狙いだったが、これに強く反応したのがアルトマン氏だ。
アルトマン氏は投稿で、CMは「面白くて笑った」と前置きしつつも、「明らかに不誠実だ」と批判した。OpenAIとして最も重要な広告原則は、Anthropicが描いたような形で広告を出さないことだとし、ユーザーが拒否するような手法を取るほど愚かではないと述べた。理論上の「欺瞞的な広告」を批判するために、欺瞞的な広告表現を使うのはダブルスタンダードだとも指摘している。
First, the good part of the Anthropic ads: they are funny, and I laughed.
— Sam Altman (@sama) February 4, 2026
But I wonder why Anthropic would go for something so clearly dishonest. Our most important principle for ads says that we won’t do exactly this; we would obviously never run ads in the way Anthropic…
さらにアルトマン氏は、両社の立場の違いを「アクセス」の問題として強調した。OpenAIは、誰もが無料でAIを使えることが人々の主体性を生むと考えており、テキサス州だけでも無料のChatGPT利用者は、米国全体のClaude利用者数を上回るという。広告なしの有料体験を選びたいユーザー向けには、ChatGPT PlusやProも用意していると説明した。
一方でAnthropicについては、「裕福な人々に高価な製品を提供している」と表現し、そのモデル自体は否定しないものの、支払いができない数十億人にもAIを届ける必要があると主張した。また、Anthropicが特定の企業を自社のコーディング製品から排除している点や、AIの使い道や他社のビジネスモデルにまで介入しようとしている姿勢を「管理したがる」と批判し、“権威主義的”とまで踏み込んでいる。
Anthropicは広告を排し、集中と信頼を重視する空間を守る道を選んだ。一方で、OpenAIは無料アクセスと規模拡大を優先する立場を取る。スーパーボウルという最大級の舞台でのCMをきっかけとして、2社の対立が広く知られる形となった。






