このページの本文へ

【調査報告】Apple WWDC2020 × CES高成長企業キーノートで「届け方の2系統」が判明

コグニティ
2026年02月02日

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

コグニティ
- 即興ライブか、徹底編集か?大量情報時代のプレゼン設計が分岐する -

 知識表現AIを用い、会話・文章情報から組織課題を可視化するコグニティ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:河野理愛、以下「コグニティ」)は、CES(シー・イー・エス)における高成長企業キーノートのトレンドと、Appleの開発者会議 WWDC(Worldwide Developers Conference)の2010年と2020年のキーノートの構造差を比較した分析レポートのサマリーを公開しました。
 近年、テック企業のキーノートは「伝える情報量」が増え続け、話量やスピードを上げても“理解が追いつかない”という課題が顕在化しています。コグニティはこの状況に対し、各種分析により2系統のプレゼン設計が浮かび上がることを確認しました。
 本分析では、CES2024~2026での高成長企業のキーノートと、Apple WWDC2010/2020のキーノートを同一指標で横断比較し、話量増大の中でも「納得と理解を成立させる構造の違い」を独自の特許技術CogStructureで可視化しました。高成長企業群では話量が増える傾向が見られる一方で、WWDCはそのトレンドを先取りしつつ、収録化によって別の解を提示している点が特徴です。多くの情報を伝えるプレゼン設計として、ライブの魅力を“即興対話”に寄せて臨場感を作る方法と、収録・編集で“徹底的にコンテンツ化”し理解を担保する方法という、本分析からは2系統の手法が見て取れました。

※高成長企業・・・10年時価総額成長率200%以上=時価総額が10年前の2倍以上

■ 分析の概要
 本分析では評価指標として「10年時価総額成長率」【(当年時価総額÷10年前時価総額)×100】を採用し、200%以上を高成長群として抽出しました。指標は、話量(文字数)、話すスピード(1分あたり文字量)、フィラー(不必要語句・クセ)、ストーリー展開(流れ/枝分かれ)など、CogStructureによる発話の構造分析結果を中心に比較しています。
 CESキーノートについてはCES2024~2026を分析しており、既に発表している調査「CESのキーノートを分析すると10年で200%以上成長する企業の共通点が見えてくる」と「CES Keynote 予測分析で分かった“高成長企業の分岐点”」にて報告しています。
 本稿は、その既報の枠組みを踏襲しつつ、Apple WWDC2010/2020を同じ評価軸(10年時価総額成長率)で追加して、CES2024~2026とWWDC2010とWWDC2020を横断して比較するものです。WWDC2010と2020が行われた年を基準にしたAppleの10年時価総額成長率はそれぞれ1688%、688%であり、既報で“勝ち組”として扱っている200%以上の条件を満たします。したがって、WWDCを追加しても「200%以上企業平均」という母集団定義は変わりません。
■ 主な発見1.:高成長企業のキーノートでは「話量の増大」と「プレゼン構造制御」が同時に進行している
 以前報告したCESキーノートの分析において、10年時価総額成長率200%以上の企業群に共通して、話量(文字数)が年々増大していることを確認しています。
 そこで、CES2024~2026の分析にWWDC2010/2020でのキーノートを加えて横断的に比較分析をすると、Appleは既に2010年の段階でCES2024~2026高成長企業群の平均の約1.37倍、2020年には約1.60倍の話量を実現していたことが分かります。

【読み取れること】WWDC2010/2020では、CES2024~2026より話量が増大している。

 WWDC2020において重要なのは、話量の増加そのものだけではなく、CES2024~2026でもみられたストーリー性を重視した「直線的展開」の強化はもとより、説明を十分に施す「枝分かれ展開」をCES2024~2026の倍以上に充実し、「複数オプション提示(選択肢を並べて比較させる構造)」を導入してストーリーに柔軟性を持たせる、などの構造制御が同時に高度化している点です。このように、CogStructureによる分析では、CES高成長企業群とWWDC2010/2020はともに、単に「情報量が多い」だけではなく「情報量が多い状態を前提に、破綻しない構造を先に設計している」という共通点を持っていることが示されています。

【読み取れること】WWDC2020『枝分かれ』が相対的に大きく流れを保ったまま説明の分岐を多用している

■ 主な発見2.:話すスピードの上昇は“説明を減らした結果”ではなく、“説明を視覚に委譲した結果”である
 CESキーノート分析では、10年時価総額成長率の高い企業ほど話すスピードが上昇する傾向が確認されていますが、WWDCキーノートを加えた比較では、この傾向はさらに顕著になります。
 特にWWDC2020では、CES高成長企業平均と比べても約1.4倍の話すスピードとなっており、単純に見ると「速すぎる」プレゼンに見えます。しかし、YouTube動画の「いいね率」(いいね数÷視聴回数)は3.54%と、CES2025キーノートのいいね率(最大2.05%)を上回っており、視聴者に受け入れられていると推測されます。
 その理由は、発話と画面要素を突き合わせると見えてくる、この高速化が単に「説明を詰め込んだ結果」では無いことに起因していると推測されます。口頭で説明される情報量は増えていますが、製品/サービス仕様・構造・比較・利用シーンの多くが、より多くの情報が提供可能となる映像・UI・アニメーションなどの形で提供されて伝達性が強化されているのです。音声で伝える情報と画面で伝える情報の主従関係を、従来の音声主から画面主に切り替え、情報を受け取る側の負荷を増やすことなく提供する情報量を増大させています。つまりWWDC2020では、「話すことで理解させる」から「見せることで理解を維持したまま情報量を上げる」というプレゼン設計が行われています。
 これは、パンデミック下で初めて全編が事前収録・編集された配信になったという形式変更と強く結びついています。ステージ上のディスプレイまでの距離が座席によって大きく異なるライブ会場ではなく、一人一人が持つ環境での配信視聴を前提とすることで、映像情報の均一性と制御性が飛躍的に高まった結果だと考えられます。
 下の図では、高成長企業が行ったCES2024~2026キーノートでの話すスピードと、WWDC2010/2020キーノートでの話すスピードを比較しています。赤線で示すアナウンサーの平均スピードと比べると、WWDC2020はスピードが速い事が分かります。

【読み取れること】WWDC2020での話すスピードは約1.4倍速い。

■ 主な発見3.:フィラーの多寡は「完成度」ではなく「ライブ性の置き所」を示している
 CES2024~2026キーノートの分析では、AMDにおいて他の高成長企業と比べてフィラーが数倍多く検出されていました。しかし詳細にセクション別分析を行うと、その増加は全体に均等ではなく、一般的なプレゼンパートでは抑制され、CEOとゲストによる即興的な対話セッションで集中的に増加していることが確認されています。これは、AMDがライブならではの偶発性・対話性を「価値」として明示的に配置していることを示唆します。すなわちフィラーの増加は、準備不足ではなく、「どこにライブ感を残すか」という設計上の選択と解釈できます。
 また、WWDC2010では多くのフィラーが検出されましたが、ライブの舞台上で実機デモを行うなどのライブ感が強調された構成によるものであると推測されます。一方、同じWWDCでも2020ではフィラーはほぼ検出されていません。これは話者の熟練度の差ではなく、即興性を排除し映像を主軸に据えて、情報伝達方法を完全にコンテンツ化する方向へ舵を切った可能性があります。
 この比較から浮かび上がるのは、CES2024~2026キーノートに登壇する高成長企業(例:AMD)は、ライブ性・対話性を「魅力」として一部に残す設計としている一方、同じ高成長企業でも、AppleはWWDC2020においてライブ性を捨て、編集された体験として完成度を最大化する設計としていることです。これらはいずれも、大量情報時代における2つの合理的なプレゼン設計戦略であり、フィラーは品質劣化ではなく、“ライブ性をどこに置くか”という設計変数になり得るという事でもあります。
 下の図では、高成長企業が行ったCES2024~2026キーノートでの話すフィラーの頻度と、WWDC2010/2020キーノートでのフィラーの頻度を比較しています。

【読み取れること】より強いライブ性を提供する構成ではフィラーは多くなる傾向。

■ コグニティの示唆<大量情報時代の勝ち筋は「ライブの即興」か「収録のコンテンツ化」か>
 情報の高密度化が進む技術キーノートにおいて、情報を“届け切る”設計は一つではありません。会場型・ライブ型では、ゲストとの即興対話や間合いが体験価値となり得る一方、その代償としてフィラーが増える局面が生まれます。これは失敗ではなく、ライブ性を選ぶ構成上のコストとして理解できます。
 一方で、WWDC2020は実会場でのライブ性を捨て、収録・編集の前提で徹底的にコンテンツ化したことで、フィラーを抑えつつ高速で大量情報を展開しやすい構造へ進んだ可能性があります。収録・編集を選ぶ場合の鍵は、音声で背負う情報と画面で背負う情報の“分担設計”です。どのセクションで、何を視覚側に寄せ、何を言葉で確定させるかが、速度と理解の両立を決めます。
 CogStructureは、こうした違いを「全体平均」だけで判断せず、セクションごとの構造差(即興対話がどこに置かれたか、視覚情報がどこで理解を支えたか)として分解し、比較可能な形に整えることで、企業が自社の発信環境に合った“届け方”を設計するための示唆を抽出します。コグニティは今後も、こうしたキーノートや発信コンテンツなどの定性情報を構造的に分析し、再現可能な設計知として提供していきます。
■ 分析レポートについて(限定公開)
 本分析の詳細版(構造図、比較観点の定義、抽出ルール、参考図表を含む)は限定公開です。技術プレゼンに関係する皆様には、高成長企業の事例から得られる「伝える技術」に関する情報を共有します。取材・内容確認・レポート閲覧をご希望の方は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。
*お問い合わせ先:https://cognitee.com/contact
*本分析は、「経営者/CxO」「技術広報・IR担当者」「事業戦略・研究開発部門」を主な読者として想定しています。
*本リリース中で言及している会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。
*文中の各種数字はコグニティの調査によるものです。
 (YouTubeの数字は2026年2月1日時点のものです。)
■ トライアルのご案内:Baseline Review機能
 コグニティは、会話・文章などの定性データを、独自の構造化技術により「改善に使える指標」と「行動に落ちる示唆」に変換する分析サービスを提供しています。商談・会議・社内共有・研修・顧客対応・IRなど、目的に応じてコミュニケーションの“伝わり方”と“成果につながる要因”を可視化し、改善の優先順位と打ち手を提示します。
 その入口として、短期間で現状の課題と改善の方向性を把握できる「Baseline Review(お試し)」を5万円(税別)で2026年1月27日にリリースいたしました。パフォーマンスが良いトーク/悪いトークの違い(構成・論点の置き方・説得の流れ等)や最終版の再レビュー(Before/After比較)として、録画・音声・書類等を2本ご提出いただき、分析結果とブリーフィング1時間でフィードバックします。



申込ページ:https://cognitee.com/baseline-review-cog-evidence
【コグニティ株式会社 会社概要】
◯ 社 名:コグニティ株式会社
◯ パーパス :技術の力で、思考バイアスなき社会を。
◯ 事業内容 :定性情報の定量化技術を使った組織分析サービス
◯ 本 社:〒140-0015 東京都品川区西大井一丁目1番2−208号
◯ 設 立:2013年3月28日
◯ Web:https://cognitee.com/
◯ 資本金:6億円(準備金含む)
◯ 従業員:71名(リモートワーカー含む)
◯ 代表者:代表取締役 河野 理愛
◯ 受賞歴他 :
■EY Innovative Startup エンタープライズ部門受賞(2019)
■第11回 HRアワード 人材開発・育成部門 最優秀賞(2022)
■第22回 一般社団法人日本テレワーク協会 テレワーク推進賞 優秀賞受賞(2022)
■第3回TOKYOテレワークアワード 推進賞(2023)
■一般社団法人生成AI活用普及協会協議員(2023~)
本件に関するお問合せ
コグニティ株式会社 広報担当:奥井
Email: okuinagisa@cognitee.com TEL: 03-4212-8445

カテゴリートップへ

ASCII倶楽部

注目ニュース

  • 角川アスキー総合研究所

プレミアム実機レビュー

ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン