住宅用PPAの課題に取り組む、エナジー・ソリューションズ×あすかソリューション×ソフトバンク
「太陽光のゼロ円設置」を加速 住宅用PPAの普及を支える遠隔監視・運用の仕組みとは
2026年03月30日 11時00分更新
他の国内MVNO SIMから1NCEのIoT SIMに乗り換え、その理由は
このMAスマートメーターに内蔵されているのが、1NCE IoTフラットレートのIoT向けチップ型SIM(eSIM)である。
1NCEはIoT向けの通信機能を含むプラットフォームサービスであり、プリペイド(一括払い)方式でSIMを購入すれば、月々の基本料や通信料は発生せず、最大10年間、500MBまでのIoTデータ通信ができる。しかも、価格は1枚あたり2000円+SIMカード代(税抜)と安価だ。
実は、エナジー・ソリューションズでは従来、他の国内MVNOが提供するIoT向けSIMを利用してきた。それがなぜ、今回は1NCEを選択したのか。森上氏は、大きく2つの理由を挙げた。
一つは「通信コスト」だ。住宅用PPAビジネスでは、運用コストをできる限り抑えなければならない。1軒あたり毎月数百円でも、10年、20年の運用期間全体で、なおかつ数万軒の規模になれば、トータルでは非常に大きな額になる。エナジー・ソリューションズのEMSサービスには通信料金も含まれているため、通信コストを抑えられれば優位性につながる。
「従来のSIMは毎月一定額の契約でしたが、サービス運用費全体の中で、その通信費がかなり高い割合を占めていました。これを1NCEに変えたことで、通信費は大幅に安くなりました」(森上氏)
もう一つの問題は「シングルキャリア」である。従来利用してきたSIMでは、1つのキャリアしか使えなかった。一方で、1NCEは日本を含む多くのエリアでマルチキャリアに対応している。
「そもそも住宅に設置するものですから、つながらないケースはまれです。それでも、万が一電波が届かずつながらない場合、シングルキャリアだとほかのキャリアに切り替えられず“お手上げ”になってしまいます」(森上氏)
チップ型SIM(eSIM)、追加コストなしの海外ローミングもメリット
1NCEの採用は、ほかにも多くのメリットをもたらしている。
住宅用PPA向けのスマートメーターには、メンテナンスコストを抑えるために、長期にわたって故障しない信頼性が求められる。西川氏によると、MAスマートメーターは「20年の運用期間で故障率0.5%以内」という基準で設計されており、実際の製品ではさらに高い「故障率0.1%未満」の信頼性を実現しているという。
1NCEのラインアップからチップ型SIM(eSIM)を採用したのも、長期間利用する際の信頼性を高めるためだ。両氏のこれまでの経験上、スロットにカードを差し込むタイプの物理SIMは、20年という長期で見ると「よく壊れる」という。
「屋外に長期間設置される製品ですから、振動、温度、湿度など、さまざまな故障要因があります。(基板上にチップを固定する)eSIMにすれば、ポッティング樹脂を充填して基板まですべて固めてしまうこともできますから、信頼性がものすごく上がります」(西川氏)
eSIMの組み込みに関しては、ソフトバンクのIoTチームからの技術サポートも受けた。開発拠点は海外だったが、技術的な相談やアドバイスをソフトバンクから得ながら進められたため「とてもスムーズでした」と振り返る。
1NCEが追加コストなしで海外ローミング(世界170カ国・地域以上)に対応していることも、オペレーションコストを軽減する効果をもたらしているという。従来は、海外の工場からスマートメーターが届いた段階で、1台ずつ日本のキャリアSIMを挿入して、検品作業を行う必要があった。
「現在は、海外の工場でeSIMを組み込んだらアクティベートして、動作検証まで行った状態で出荷されます。日本に輸入されたら、もう通信ができる状態になっていますので、すぐに検品ができます。かつては大変だった工程が、かなり簡素化されました」(森上氏)
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エナジー・ソリューションズの顧客である住宅用PPA事業者の中には、すでに1万軒を超える契約を持つ事業者も出てきているという。これから市場が拡大すれば、10万軒、20万軒規模での管理と運用も必要になるはずだ。事業者には、これまで以上に「運用コスト」の課題が重くのしかかることになる。
森上氏は「10万軒、20万軒の規模になったとき、いかに効率良く運用ができるのかが鍵です。われわれのEMSサービスも機能追加を進めていきます」と語った。管理効率の良いエナジー・ソリューションズのEMSサービス、信頼性の高いあすかソリューションのスマートメーター、そしてコストパフォーマンスの高い1NCEのIoT SIMが、太陽光発電の普及期という新たなステージの実現を支えることになるだろう。
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