このページの本文へ

映画『クスノキの番人』監督・伊藤智彦氏インタビュー

「泣けます」と、言われたアニメ映画があります。伊藤智彦監督に「クスノキの番人」の見どころを聞きました

2026年01月31日 09時00分更新

文● ドリブルまつなが/ASCII 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

映画「クスノキの番人」制作の裏話

――東野圭吾さんの作品がアニメになるのは本作が初めてとのことですが、伊藤監督自身は、もともと原作の読者だったのでしょうか?

 そこまでヘビーな読者というわけではありませんでした。ただ、これまで本で読んだ東野さんの作品は実写化されているものも多くて、ドラマや映画の映像を見返して「こういう表現だったんだ」と思うことはありました。そんな中で、アニプレックスで「東野圭吾さんの作品をやろう」というプロジェクトが立ち上がったんです。「興味あります」と軽い気持ちで手を挙げたのが始まりです(笑)。

伊藤智彦

「東野圭吾さんの作品をやろう」と、立ち上がった本作。伊藤監督は「興味あります」と手を挙げて立候補したようです

――アニメ化にそんな経緯があったんですね! 最初から『クスノキの番人』に決まっていたのですか?

 いくつか別のタイトルも検討したのですが、「もうやられているな」とか、「アニメにするにはちょっとピンとこないな」とか、そう感じるものも多くて。その中で本作の話が出たときに「これならアニメでできるかもしれない」と思ったんです。

――本作の第一印象は?

 正直に言うと「地味な話だな」と思いました。今のアニメファンが喜ぶタイプの物語では、多分ない。でも、そういう作品もたくさんあっていいと思いますし、俺自身はどちらかというとそっちの方が好きです。アクションや派手な展開がない作品だからこそ、あえてやる価値があると思いました。

 本作は年を重ねた人ほど響く物語、という感じだと思います。ある程度の年齢の方ならグッとくる部分は多いと思いますよ。

クスノキの番人

年を重ねた人ほど響く物語という本作

――主人公・直井玲斗が多くの時間を過ごす、クスノキのある神社は幻想的な印象を受けます。アニメでどう表現しようと考えていましたか?

 そのあたりは、美術監督の滝口比呂志さんの力が大きいですね。かなり初期の段階で「クスノキのある場所は少し現実感を薄くして、街に戻ったら現実感があるという描き分けができるといいですよね」という話をしていました。クスノキだけは、浮世離れしている存在に見せたかったんです。

 舞台は一応、東京・あきる野市あたりという設定ではあるんですが、東野先生も具体的な場所までは決めていなかったようで。現実には作品のような大きなクスノキはありませんでしたが、リアリティーをベースにしつつアニメならではの表現として組み立てていった、という感じです。

クスノキの番人

幻想的なクスノキのある神社が背景のポイント

――そのほか、アニメで表現する際に意識したことありますか?

 原作はテーマがとても普遍的で芯がしっかりしているんです。だからこそ、アニメ映画では絵で暴れてもいい、むしろ暴れないといけないと思いました。キャラクターデザインも漫画っぽいキャラクターが混ざっていても許される世界にしたかった。銭湯で会うやたら背の低いおじさんがいたり、年齢を重ねた女性がハイヒールで山を歩いていたり、「それが普通です」と成立する世界にしたかったんです。

クスノキの番人

漫画のようなキャラの立った個性的な人物たち

――確かにキャラクターがとても個性的ですよね。アフレコ現場ではどのようなやりとりがあったのでしょうか?

 今回は俺が音響監督も兼任しているので、打ち合わせをして、一言テストをして、ブースに入ってあれこれ話すという、いわゆる細田守スタイルで進行しました(笑)。キャストは普段俳優をされている方が多いので、ブースの中で「動いていいです」とも伝えました。

 玲斗と伯母である柳澤千舟の会話も、俳優の高橋文哉さんと天海祐希さんは身振り手振りをしたり、お互いの顔を見ながら対面で収録したり、そんな場面もありました。

――演技のディレクションで意識したことは?

 「作った感じにしないでください」ということですね。普段のトーンで話してほしい、と。もちろん各シーンでほしい演技はありますが、作りすぎると嘘っぽく聞こえてしまうこともあるので、それは避けたかったです。

クスノキの番人

普段のトーンで繰り広げるキャストたちの演技に注目

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

  • 角川アスキー総合研究所

クルマ情報byASCII

ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中