全国高等学校ラグビーフットボール大会向け、AIスロー・テロップ制作機能をデータセンターに集約したIOWN APN活用リモートプロダクションを実証
NTTビジネスソリューションズ
NTT西日本グループ※1は、2025年12月に開催された「第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会」において、株式会社毎日放送(以下、毎日放送)に対し、IOWNオールフォトニクス・ネットワーク(以下、IOWN APN)※2※3を活用したリモートプロダクション※4環境を提供しました。
本取り組みは、AIスロー映像生成やテロップ制作などの高度な制作機能をデータセンターへ集約することで、将来的な制作人材の効率化や映像制作の高度化に寄与するものです。本環境は、毎日放送が実際の放送制作と並行して取り組む、高付加価値映像制作機能の遠隔運用を目的とした技術実証に活用されました。
実証では、IOWN APNの大容量・超低遅延・ゆらぎなしのネットワークを通じて、制作システムを毎日放送本社から遠隔操作し、中継車レス環境においても高品質な映像制作が行えることを確認しました。これにより、スポーツ中継制作におけるリモートプロダクションの可能性と付加価値をさらに拡大する機会となりました。
1. 背景
現在、イベント会場での映像制作については各種制作機器を搭載した中継車を使うのが一般的です。しかし、この方式では、機材や人員を物理的に配置する場所の確保に制約があるほか、また中継車の維持コストや、スタッフ派遣コストに加え、都度発生する制作環境構築のためのリードタイムも課題となっていました。このため、制作ワークフロー全体の効率化と、放送局内の充実した制作機能を活用したより高度で快適な制作環境へのシフトが求められています。
NTT西日本グループは、次世代のコミュニケーション基盤IOWN構想の主要技術であるIOWN APNの大容量・低遅延・ゆらぎなしの特徴を活用することで、この課題解決をめざしています。さらに、制作環境の効率化に加え、リアルタイムCG合成や高精度なスーパースロー映像生成といった高付加価値な映像制作機能のリモート運用が求められており、IOWN APNの特性がこの高度化を支える基盤となりました。
2. 取り組み概要
本取り組みでは、NTTスマートコネクトのデータセンターと東大阪市花園ラグビー場および毎日放送本社を、IOWN APNの技術を活用した「All-Photonics Connect powered by IOWN」※5にて接続した上で、中継制作の核となる主要な制作機能(IPスイッチャー※6、PTPグランドマスター※7)をデータセンターに集約しました。この環境を用いて毎日放送本社から、IOWN APNの超低遅延ネットワークを通じてデータセンター上の制作システムを遠隔操作することで、スイッチャーやミキサー担当者が現場にいなくとも地上波放送向けの高品質な番組制作が可能であることを実証しました。
さらに今回は以下の高付加価値映像制作システム2種をデータセンターに設置し、毎日放送本社から遠隔操作する検証を行い、問題なく運用できることを確認しました。
・ AIスロー映像生成機器※8:AIによる高負荷な映像処理システムをデータセンターに集約し、IOWN APNの安定した通信品質下で遅延なく遠隔操作・利用できることを確認しました。
・ テロップ制作・送出機器※9:IOWN APNの低遅延環境下で、高度なテロップ制作・送出システムをデータセンターに集約し、遠隔からの運用に関する課題を洗い出すことができました。

図1:提供イメージ
■取り組みのポイント
「ラグビーコンテンツ」制作へのIOWN APN適用に加え、これらの高度な制作システムをデータセンターに集約し、超低遅延ネットワーク経由で放送局のサブから操作できるという、高付加価値化と効率化を両立する次世代の制作ワークフローの有効性を実証
3. 本取り組みに関するコメント
■株式会社毎日放送
IOWN APNを活用したリモートプロダクションの実証は、前回の「1万人の第九EXPO2025」制作に続き、今回で2回目となります。今回は更なるステップとして、AIスローやスポーツコーダのリモート制作という新たな試みに挑戦しました。MoIP(Media over IP)環境の構築や、今後の設備計画を具体化するうえで技術的な課題を洗い出すことができ、非常に有意義な機会となりました。社内設備更新に向けて、引き続き運用面や費用面での具体的な検討を進めていきたいと考えています。
4. 今後の展開
NTT西日本グループは、今回の取り組み結果をいかし、放送制作におけるIOWN APN活用の領域をさらに広げてまいります。
具体的には、今回実証したAIスローやテロップ制作機能といった高度な制作リソースをNTTスマートコネクトのデータセンターに集約し、誰もが利用できる「高付加価値機能の標準サービス化」を推進します。これにより、中継車レスによる効率化に加えて、コンテンツの種類や制作規模に依存せず、常に高品質で付加価値の高い映像を低コストで制作できる環境を整備します。
今後も、野球、ラグビーに続く新たなスポーツジャンルやイベントへの適用を積極的に展開し、放送業界全体のDXと、魅力的な映像コンテンツの創出に貢献してまいります。
5. 本件に関するお問い合わせ先
NTTビジネスソリューションズ株式会社
バリューデザイン部 ソーシャルイノベーション部門 吉田、松永、平田
Email:ipbc@west.ntt.co.jp
NTTスマートコネクト株式会社
メディアビジネス部 放送DX 安永、清木場、井上
Email:mb-cdp@nttsmc.com
※お問い合わせの際は、メールアドレスをお確かめのうえ、お間違えのないようお願いいたします。
※1 NTT西日本グループは、NTT西日本(株)、NTTビジネスソリューションズ(株)、NTTスマートコネクト(株)、が対象です。
※2 IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、光を中心とした革新的技術を活用し、高速・大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。 ・IOWN構想とは:https://www.rd.ntt/iown/index.html
※3 APN(All-Photonics Network)とは、ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入し、これにより現在のエレクトロニクス(電子)ベースの技術では困難な、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、低遅延の伝送を実現します。オールフォトニクス・ネットワークとは:https://www.rd.ntt/iown/0002.html
※4 イベント会場等の中継先と放送局をIPネットワークで接続し、放送局から中継先のカメラ等の機材を遠隔操作することで、リモートで番組制作を行う手法です。
※5 All-Photonics Connect powered by IOWN:All-Photonics Connectとは、お客さまの指定する拠点間をPoint to Pointで接続し、800Gbpsまでの、高速・大容量、低遅延・ゆらぎのない通信を実現します。All-Photonics Connect powered by IOWNとは:https://business.ntt-west.co.jp/service/network/iown/
※6 IPスイッチャー:パナソニック コネクト社製品KAIROS「AT-KC200T」(ST2110対応)を利用
※7 PTPグランドマスター:PTP(Precision Time Protocol)は、高精度な時刻同期を実現するためのネットワークプロトコルです。PTPグランドマスターは、そのPTPにおいて、ネットワーク全体に高精度な時刻情報を供給する起点となる装置(マスタークロック)をさします。
※8 AIスロー映像生成機器:フォトロン社取扱品EVS社製XtraMotionを利用
※9 ラグビーテロップ制作機器(スポーツコーダー):朋栄社製品VWS on ceacaaを利用
※ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。













