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通信機器中期需要予測[2025-2030年度]を発刊

一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会
2025年12月25日

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一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会
~AIの進化、企業のDX推進、5Gの普及などを背景に、引き続き緩やかに成長~

 一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)は、このたび、「通信機器中期需要予測[2025-2030年度]」を発刊いたしました。

I.概 要

 2025年度の日本経済は、個人消費は実質総雇用者所得が緩やかに持ち直しており、企業の設備投資も緩やかに持ち直しています。この環境下で、テレワークや動画配信サービスなどによる高速大容量データトラフィックや生成AIの普及を背景にした通信トラフィックの増加や5Gの特徴を活かしたサービス拡大への対応が需要を後押しします。一方で、輸出はグローバルの市場競争激化の影響等があり、微減となる見通しです。需要総額は4兆6,938億円(前年度比1.5%増)になると予測しています。
 生成AIの急速な普及と大規模化は、ICT産業に対し、データセンター、クラウドサービス、大容量通信インフラという3つの領域でかつてない規模の需要と変革を迫っております。日本のICT産業がこの機会を捉え、AI時代の爆発的なデータ流通に対応する次世代通信技術(6G)の早期実現に向けた研究開発や、地方に分散配置されるデータセンター群をつなぐ光ファイバー網の高度化や海底ケーブルの増強・整備を加速し、全国的なデータ流通を支えるバックボーンを強靭化するなど、超高速・大容量通信の基盤インフラへの戦略的投資が必須であると考えます。この中で2030年度の需要総額は5兆1,307億円(2024年度比10.9%増、2024-2030年度年平均成長率(以下、CAGR)1.7%)になると予測しています。

図表1. 通信機器市場の予測結果

II.2025年度の見通し

 2025年度の通信機器の需要総額は4兆6,938億円(前年度比1.5%増)、そのうち国内は4兆4,205億円(同1.6%増)、輸出は2,733億円(同0.2%減)と予測しました。

2024年度と比較し増加が予測される主な機器を記載(増加額が大きい順)

注: 国内市場予測では、CIAJ受注出荷統計の過去実績から傾向を分析。全体的な市場規模が捉えきれない上記5機種では、外部調査会社のデータを活用し、CIAJ会員へのヒアリング等を実施して推定。

(1)コンシューマ関連機器の需要総額:3兆2,513億円(2024年度比2.0%増)
- モバイル通信端末は、買い控えや買い替えサイクルの長期化が続いていましたが、2024年度は反動で大幅に需要が拡大し、2025年度も増加が続く見通しです。ただし、世界経済の減速懸念や不安定な国際情勢が続いており、モバイル端末市場に負の影響を与える可能性が依然として存在しています。

(2)ビジネス関連機器の需要総額:4,312億円(2024年度比2.5%減)
- ボタン電話装置・PBX・事業所用コードレスホンは更新需要が中心であり、これらの機器への投資は、ワークスタイルの変化により、新たなコミュニケーションスタイルへの投資にシフトされつつあります。単価は上昇傾向にある中で、企業のコミュニケーション基盤再構築の緩やかな進展による台数減少があるため、減少すると見込んでいます。
- ファクシミリ(複合機を含む)は、ワークスタイルの変化や、企業や省庁でのデジタル化の推進によって需要は減少すると予測しました。需要金額の多くを占める輸出は、国内要因と同様にワークスタイルの変化が需要にマイナスの影響をもたらしているため、2024年度は一時的に増加したものの、2025年度は減少傾向に戻ると見込んでいます。

(3)インフラ関連機器の需要総額:5,674億円(2024年度比2.5%増)
- デジタル伝送装置と基地局通信装置は、トラフィック増加や5Gの特徴を活かしたサービス拡大への対応に向けた需要があるため、国内需要は増加すると予測しました。地上系固定通信装置は、官公庁向け防災関連の予算が一定程度編成されており、加えて基幹系通信向けでは、5Gのエリアカバー率の向上及びSA方式の普及により、無線バックホール、フロントホール向けの需要があることから増加する見通しです。衛星系固定通信装置も、官公庁需要を中心に増加する見込みです。
- 輸出は、地上系固定通信装置は、グローバルの市場競争が激化し海外メーカーの市場シェアが拡大傾向にあることから減少する見込みです。基地局通信装置は、海外キャリアのO-RAN採用率上昇の傾向が続き、増加すると予測しました。

(4)インターネット関連機器の需要総額:3,226億円(2024年度比0.7%増)
- ルーターは、キャリア向けはクラウドサービスをはじめとする各種サービスの拡大によるデータトラフィックの増加に対応するための設備投資の継続を見込んでいます。企業・官公庁向けはワークスタイルの変化とDXの推進、Web会議、5G、Wi-Fi 6/6E、7等の利活用、SOHO向けではネットワークの高速化や高付加価値製品(エッジでのセキュリティ機能強化等)への需要継続を見込んでいます。
- LANスイッチは、トラフィック増加や接続端末の増加によるネットワーク構成変更に対する設備投資が続くと見込んでいます。光アクセス機器は、コロナ禍以降に進んだ高速化投資の一巡による反動減が継続すると見込んでいます。

(5)その他1~その他4と通信機器用部品の需要総額:1,175億円(2024年度比0.1%減)

III.中期展望

 2030年度の通信機器市場の総額は5兆1,307億円(2024年度比10.9%増、CAGR 1.7%)、国内金額4兆8,676億円(同11.9%増、CAGR 1.9%)、輸出金額2,630億円(同4.0%減、CAGR -0.7%)と予測しました。

2024年度と比較し伸びが予測される主な機器を記載(増加額が大きい順)


(1)コンシューマ関連機器の需要総額:3兆6,853億円(2024年度比15.6%増、CAGR 2.4%)
- モバイル通信端末機器の国内需要は、AI機能の訴求とともに5G SA(Stand Alone)方式による多数同時接続、低遅延の実現や5Gならではのサービスが徐々に登場することによって5G端末(新たに5Gサービスに対応した端末が登場した場合はそれも含む)の需要が拡大し、緩やかに増加すると予測しました(図表2.)。
- 世界の携帯電話(スマートフォン含む)市場は、先進国を中心に5Gサービスが普及しており、2025年以降はより広範囲に5Gサービスが展開されるようになると想定されます。通信方式別では、今後発売されるスマートフォンの多くが5G対応になると予測されることから、5G対応のスマートフォン市場は拡大します。一方で、5G非対応のスマートフォン市場は、3Gからの移行需要は一定程度残るものの、5Gへの置き換えが急速に進んでおり、縮小すると予測しました(図表3.)。


図表2. モバイル通信端末の国内金額(Source: Omdia)


図表3. 世界の通信方式別スマートフォン売上台数(Source: Omdia)

(2)ビジネス関連機器の需要総額:3,735億円(2024年度比15.6%減、CAGR -2.8%)
- ボタン電話装置は、中小企業の底堅い需要や、PBX市場からの乗り換え需要があるものの、クラウド化などの影響によって緩やかな減少が継続する見込みです。
- PBXは、大容量化したボタン電話装置への代替や、音声コミュニケーション基盤の再構築(フルクラウド化)が徐々に広がり、減少傾向で推移します。
- 事業所用コードレスホンは、スマートフォンへ代替する動きがあるものの、中小企業や病院・介護施設を中心とした需要の継続が見込まれますが、公衆PHSサービス終了から5年経過後の2028年から2029年頃には端末の部品調達が困難となり、この頃から減少幅が拡大していく可能性があります(以上、図表4.)。
- ファクシミリ(複合機を含む)は、ワークスタイルの変化、企業や省庁のデジタル化推進の方向性が需要動向にマイナスの影響をもたらすと見込んでいます。輸出も、国内と同様の要因によって減少が継続する見込みです(図表5.)。


図表4. ビジネス関連機器の国内金額


図表5. ファクシミリの需要総額

(3)インフラ関連機器の需要総額:6,164億円(2024年度比11.4%増、CAGR 1.8%)
- インフラ関連機器は、5G、IoTを活用したサービス、生成AIを活用したサービスの普及によるトラフィックの増大などにより、ネットワーク設備の増強が進み、デジタル伝送装置と基地局通信装置が緩やかに増加すると見込んでいます。
- 基地局通信装置は、2028年度~2029年度には5G向けの投資が一段落して減少するものの、2030年度以降は6G向けの投資により増加すると予測しました。
- 固定通信装置は、地上系が引き続き防災関連、5Gの無線バックホール、フロントホール向けの需要、衛星系が官公庁の需要により増加すると予測しました(以上、図表6.)。
- 輸出は、新興国の5G向け設備投資、企業や工場向けの専用線構築等に伴う需要拡大が見込まれます。


図表6. インフラ関連機器の国内金額


図表7. インターネット関連機器の国内金額

(4)インターネット関連機器の需要総額:3,327億円(2024年度比3.9%増、CAGR 0.6%)
- インターネット関連機器市場では、ルーターは、Web会議の普及、動画コンテンツの構成差異化、生成AI・大規模言語モデル(LLM)の普及等を背景にしたトラフィック増加、アクセス回線の高速化、セキュリティ面の機能強化等に伴う設備投資増加等の影響が継続し、増加が見込まれます。
- LANスイッチは、トラフィック増加や接続端末の増加によるネットワーク構成変更に対する設備投資で、増加が見込まれます。
- 光アクセス機器は、大容量コンテンツの需要拡大に伴う高速サービス利用増加やモバイルデータのオフロード需要などが増加をけん引すると予測しました(以上、図表7.)。


(5)その他1~その他4と部品の需要総額:1,182億円(2024年度比0.5%増、CAGR 0.1%)

【予測手法】
- 国内市場予測では、CIAJ受注出荷統計の過去実績から傾向を分析し、全体的な市場規模が捉えきれない機種では、(株)情報通信総合研究所の協力により、CIAJ会員へのヒアリング等を実施して推定しています。
- グローバル市場予測では、調査会社Omdiaのデータと動向解説を引用し、動向分析を行っています。

【予測対象機種】

国内市場の予測対象機種(CIAJ受注出荷統計に基づく)


世界の通信機器市場

【購入申し込み】
 ◆「CIAJ iSチャネル」サイトの以下のページよりお申し込みください。
https://ischannel.ciaj.or.jp/publications/13
*購入にはユーザー登録が必要となります。

【本リリース内容に関する問い合わせ先】
 ◆一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 市場調査部 前野剛
  E-mail: g-maeno@ciaj.or.jp Tel:03-5962-3451 Fax:03-5962-3455
【広報に関する問い合わせ先】
 ◆一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 広報部   佐藤靖夫
  E-mail: y-sato@ciaj.or.jp Tel:03-5962-3450 Fax:03-5962-3455

【一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 概要】

以上

2024年度実績、新規ビジネスに向けた市場動向調査、AIを活用した通信技術の動向などの
補足資料はこちら[PDF:400KB]
d175159-2-83e202151a35618335f46277250c5f61.pdf

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