実際の性能はどのくらい?
定番ベンチで軽くチェック
いくらスペックが高くても、冷却性能が足りずに性能が発揮できないようでは意味がない。そこで、CPUに大きな負荷をかける「CINEBENCH 2024」を使い、どのくらいのスコアが出るのか、そしてCPU温度はどこまで上昇するのかをチェックしてみよう。
Core Ultra 7 255HXは、プロセッサーのベースパワーが55WとなるCPU。この電力制限があるため、デスクトップCPUほど高クロックで動作しない。とはいえ、高性能なPコア×8、電力効率の高Eコア×12という20コアCPUとなっているので、マルチスレッド性能はそれなりに期待できる。ということで、ベンチ結果を見てみよう。
結果は、全コアを使用するMulti Coreが1403pts、1つだけ使用するSingle Coreが133ptsとなった。
CPUに高負荷がかかると、最大ターボパワーで短時間動作した後、プロセッサーのベースパワーへと移行する。これは、短時間で終わる処理は全力で行なってレスポンスを高め、長時間かかる場合は電力効率(ワットパフォーマンス)を重視するためだ。
今回の結果を見るとMulti Coreのスコアが若干低めだが、これは、最大ターボパワーが69Wに制限されている影響があるのだろう。とはいえ、Single Coreは期待通りの結果となっていることからもわかる通り、ほとんどの用途で影響は少ない。コンパクトな筐体だが、CPUの性能を引き出せているといって問題ないだろう。
もうひとつは、ゲームベンチとなる「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下FF14ベンチ)を試してみよう。やや軽めのMMORPGで、登場こそ古いものの、今でもアップデートが続く人気タイトルだ。
GeForce RTX 5060 Tiは、多くのタイトルを高画質・フルHDで遊べるだけの実力があるもの。そこで、軽めのFF14ベンチなら、WQHDでもいいスコアが出せるのではないかと思い、試してみた。具体的には、解像度をWQHD(2560×1440ドット)とし、画質はプリセットの最大となる「最高品質」を選んだ。
結果は見ての通りで、スコアが14610。評価は「とても快適」で、よゆうで遊べるレベルだ。レポート出力でフレームレートをチェックしてみると、平均で約103.8fps、最低で61fpsと、文句なしの結果となっていた。
これだけのフレームレートが出せるなら、スムーズな動きでゲームが楽しめそうだ。
ただし、ファンの回転音は常時聞こえるし、負荷に合わせて騒音が変化し、気になるくらいにはウルサイ。ゲーミングノートPCくらいの騒音となるため、気になる人は少し離れた場所に本体を設置するといいだろう。
荷物に埋まってしまうのが
コンパクトサイズの悩み
コンパクトなPCはスペースを取らないため、好きな場所に設置できるというのがメリット。しかし、これが悪い方向に働くことがある。それが、他の荷物に埋まってしまうことだ。
「何を言ってるんだ」と思った人は、机の上を片付けられるし、荷物もあまり増えないちゃんとした人だろう。しかし、世の中には「すぐに使うから」とか、「手元に置いておくと便利」とか、「あとで読むから」といった理由で、なんでもかんでもスグ横に積み上げていく人がいるのだ。
タワー型PCであれば、いくら周囲に物を積んでもPCへの影響はほとんどない。しかし、コンパクトなPC、しかも背が低くて上面から吸気するようなPCではどうだろうか。最初こそPCを避けるだろうが、スグに周囲が荷物でPCと同じ高さになり、さらにPCの上にまで荷物を置いてしまう……そんな未来が容易に想像できる。
PCの吸排気口を荷物でふさいでしまえば温度が上昇し、本来の性能が発揮できないどころか、熱による故障の原因にもなりかねない。もちろん、常に机の上を片付けていればいいだけの話だが、それができるなら最初から悩まないだろう。
こんな人にオススメなのが、付属の壁掛けブラケットを使って壁に固定してしまうこと。PCが机の上になければ、荷物で吸排気口をふさいでしまう危険もない。しかも、少し離れた場所に設置することになるため、騒音対策としても効果的だ。実際、ZOTACの公式サイトにあるイメージにも、壁掛けが例として出されている。
とはいえ、賃貸物件では壁に傷をつけてしまうのはもってのほか。また、万が一ネジが外れPC本体が落ちてしまえば大惨事になる、というリスクもある。
壁への固定はなかなか難しいものの、せめて縦置きになってくれれば、荷物で吸排気口をふさいでしまう可能性が激減する。しかし、PC本体を見るとわかるのだが、天面は吸気口、左右側面と背面には排気口があり、縦置きにするなら前面を下にするしかない。とはいえグラグラして不安定だし、なにより、前面インターフェースがすべて使えなくなってしまうのが痛い。
そこで、壁掛けできる小さい壁を自作し、近くに置ける壁掛けPCにできないか、チャレンジしてみた。
















