「ELITE PRO P800J」「SOUND STATION KRYSTAL」国内発売へ
平面磁界型を武器にNakamichiブランドが再始動
2025年12月16日 16時30分更新
香港のSigneo Design Internationalは12月16日、都内で記者説明会を開催した。Nakamichiブランドを掲げ、2026年に展開する新製品2機種が紹介された。
Nakamichiはかつて「カセットデッキのナカミチ」として世界的な名声を博した日本のオーディオブランドだが、現在は香港のSigneo Design Internationalがブランドの利用権を保有しており、グローバルに製品を展開している。新製品ではかつての「カセットデッキ」などの復刻ではなく、「This is not nostalgia. It's rebirth.(懐古ではなく、再生)」を掲げ、新しいNakamichi像を打ち出すという。
ブランド再構築の鍵は「平面磁界型(Planar)」技術だ。Signeo Design InternationalのKevin So社長は、日本市場でのリブランディングにあたり、「単なるブランドライセンスビジネスではなく、しっかりとした要素技術に基づいた製品作り」を掲げている。かつてのエンジニアが不在の中で、無理に過去の製品を模倣するのではなく、自社で研究開発を進めてきた0.006mmの極薄皮膜を用いた平面振動板を採用したPlanerドライバーなど独自性を前面に押し出し、透明感のある高域と、優れた空間表現力を持つオーディオ製品群を展開していく方針だという。
Signeo Design InternationalのKevin So社長。やりたいことはいろいろあるが、ステップを踏んで実現していきたいとした。様々なサイズのプラナードライバーの研究開発を進めているそうだ。
日本市場に投入される2つの新製品は、開放型ヘッドホンの「ELITE PRO P800J」と2.1chスピーカーシステム「SOUND STATION KRYSTAL」だ。
ELITE PRO P800Jは、かつてのNakamichiのイメージにも合う無骨さを感じさせるデザインに最新技術を融合させた開放型ヘッドホン。
80mmと大口径の平面磁界型ドライバーを採用することで、空気が心地よく震えるような自然な音質、演者がそこにいるかのような高い空間表現、高域の再現性に優れた透明感を実現したとしている。4.4mm-3極Mini XLRケーブルによるリケーブルにも対応。主要パーツは中国での生産となるが、最終的な組み立てやパッケージングは日本国内で行う体制としている。
音質や装着性については2月と11月に開催されたヘッドフォン祭の会場で得たフィードバックなどを反映して改善。発売は1月を予定しており、価格は12万8000円になる見込みだ。
SOUND STATION KRYSTALは、インテリアに馴染む白と黒の2色展開で、上質なライフスタイルに寄り添う高音質な2.1chスピーカーシステムとなっている。中高域を担当するサテライトスピーカーには15cm口径の平面磁界型ドライバーを使用。これに120Hz以下の低域を担当する60Wの5.25インチサブウーファーを組み合わせたハイブリッド構成となっており、繊細さと音の迫力を両立させている。
機能面ではBluetooth接続(LDAC対応予定)を基本とし、スピーカー同士もワイヤレス接続され、電源ケーブルのみで設置が可能だ。また、USB、光デジタル、3.5mmアナログ入力も備えている。本製品はGREEN FUNDINGでの先行販売を経て、市場投入する計画。これに先行して渋谷にあるTSUTAYAのポップアップスペースや、二子玉川の蔦屋家電(12月23日以降)での展示も予定されている。正式な発売は3月になり、価格は24万8000円となる見込み。
Signeo Design Internationalでは、15cm口径と大型の平面磁界型ドライバーを手掛けられるメーカーは少ないと説明する。Kevin氏は、通常4000ドルから5000ドルほどと高価になりがちなプラナー型の製品を20万円台の価格で提供できる点に価値があり、上質な生活を送る人々に届けたいとコメントした。Signeo Design Internationalでは、将来的には20Hzの低音再生が可能なフルレンジ・プラナースピーカーを実現したいとし、研究開発を進めているという。
Nakamichi製品の国内販売代理店は今後ピクセルが担当する予定。日本のオーディオファンの期待に応える品質管理とサポート体制を構築するとしている。
会場では紹介した2製品以外にも新製品が紹介されており、2万8800円で購入可能なBluetoothスピーカー「ELITE N-POWER ULTRA」や1万9800円でデュアル同軸ドライバーやANC機能なども搭載した「Elite OE2100 ANC」が展示されていた。Elite OE2100 ANCは、OTAI RECORDのターンテーブル「HAKU」とのコラボレーションを通じて音質の最適化を実施しているという。
























