MCP Server頂上決戦 CData vs Zapierで実力を比較

Jonathan Hikita , 翻訳:古川えりか

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 本記事はCDataが提供する「CData Software Blog」に掲載された「CData MCP Servers とZapier MCP の実力比較」を再編集したものです。

 AIエージェントが複雑なビジネスワークフローを処理できるようになるにつれて、外部データソースに簡単にアクセスできる機能の重要性が高まっています。私たちのチームは最近、Zapierの新しいMCP(Model Context Protocol)機能と、CDataのAIデータ統合向けMCP Serverを詳細に比較しました。Zapier Salesforce MCP ServerとCData MCP Server for Salesforceを検証した結果、インテリジェントなデータコネクティビティの未来に関する興味深い洞察が得られました。

対照的な2つのアプローチ

Zapierのビジョン:厳選されたシンプルさ

 Zapierは焦点を絞ったアプローチでMCP分野に参入し、「リードを作成」「リードを取引先責任者に変換」「クエリでレコードを検索」などの特定のアクションに直接対応する約22の事前設定済みツールを提供しています。同社の哲学は、最小限のセットアップですぐに使用できる、アクション専用のツールを提供することに重点を置いています。これは、システム間でのタスク実行を調整するZapierの中核的なiPaaS機能を活用しています。

CDataの哲学:インテリジェントな柔軟性

 CDataは根本的に異なるアプローチを採用しています。アクション指向の規範的なツールではなく、AIによるデータ処理に理想的な、システムへのインテリジェントなデータベースライクなアクセスを提供しています。CData MCP Serversは完全なデータモデル(テーブル、リレーションシップ、ストアドプロシージャ)を公開することで、LLMの推論機能があらゆるタスクを達成するための最適なパスを決定できるようにします。CDataがこれを実現できる理由は、350を超えるすべてのデータソースの上に標準化されたSQLレイヤーを構築するコネクタを持っているからです。さらに、これらのコネクタはソースシステムのAPIのすべてのバージョンで利用可能なすべてのエンドポイントにアクセスできるため、制限は何もありません。

実地テスト:真価が問われる時

共通の成果:両ソリューションとも基本操作を処理

 Salesforceをデータソースとして使用したテストでは、どちらのアプローチも基本的な操作を正常に処理しました。

・アップロードされたドキュメントから抽出した情報を使用してリードを作成
・リードを取引先責任者と取引先に変換
・基本的なクエリとデータ取得を実行

 両ソリューションとも、PDFの請求書を読み取って関連情報を抽出し、CRMレコードに入力する機能を実証しました。これにより、AI駆動型データ入力の強力さが明らかになりました。

■明らかになった違い

トークン効率
 リソースの消費に関して、ひとつの重要な違いが見えてきました。Zapierの専用ツールは1回のAPI呼び出しでアクションを完了しますが、CDataの探索的アプローチでは、まずデータモデルを理解してから操作を実行するため、複数のクエリが必要となります。これは、企業におけるトークン使用量とコスト最適化という重要な課題を提起します。

複雑なシナリオの処理
 真の差別化は、エッジケースをテストしたときに現れました。Zapierの事前定義ツールは、ファイル添付を求められた際に実際にファイルを添付するのではなく、リード情報を更新するなど、Claudeを意図しない処理に導くことがありました。CDataのアプローチは、より多くの初期探索が必要でしたが、より体系的で予測可能な結果を提供しました。

ストアドプロシージャの優位性
 特に興味深い瞬間は、リードの変換をテストした際に訪れました。最初に、ClaudeはCDataの手動アプローチ(取引先の作成、取引先責任者の作成、リード状況の更新を個別に実行)を選択しました。しかし、ClaudeはCDataのストアドプロシージャを見つけて利用することができました。そして、SalesforceのネイティブconvertLeadプロシージャをシームレスに活用することで、CDataの包括的アクセスが、Zapierの厳選されたアプローチでは見逃される可能性のあるプラットフォーム固有の最適化をいかに実現できるかを実証しました。

哲学の違いを探る

 冒頭で述べたように、MCP Serverの構築における違いを生み出しているのは、それぞれの基盤となるテクノロジーのコア機能です。Zapierのツールは効率的かつ具体的で、特定のアクションの実行用に設計されています。一方、CDataのツールは柔軟で幅広く適用可能であり、データ処理とクエリに理想的です。 

 カスタムフィールドの処理に関して興味深い技術的詳細が明らかになりました。CDataのコネクタはカスタムフィールドを適切なフィールド名付きの通常のテーブル列として自動的に公開しますが、Zapier のAPIベースのアプローチでは、解読に追加情報が必要な暗号のようなフィールドIDが返されます。

 これは小さな違いのように見えるかもしれませんが、実はより根本的な哲学の違いを表しています。CDataのデータベース抽象化レイヤーは、LLMやAIエージェントにとってなじみのあるSQLライクな体験を提供します。対して、APIベースのアプローチでは、AIの推論を複雑にする内部的な技術詳細をそのまま公開してしまうことが多いのです。

CData のデータ処理優位性をさらに強化

 データ処理の優位性をさらに発展させるため、CDataはLLMの能力をより引き出せるインテリジェントなフィルタリングと優先順位付け機能を探求しています。

1. スマートなテーブルの優先順位付け:リレーションシップ分析と使用パターンから、最も関連性の高いテーブルを最初に表示

2. コンテキストを理解したデータ検出:「営業関連のテーブルを表示してください」のような自然言語クエリにより、データモデルをインテリジェントにフィルタリング

3. 段階的な開示:コアエンティティから開始し、ユーザーのニーズに基づいて拡張

ハイブリッドアプローチの活用

 これを二者択一として捉える必要はありません。最も強力なエンタープライズAI実装では、ハイブリッドアプローチを活用する可能性が高いでしょう。手軽な多機能ツールと本格的な専門工房の両方を持っているようなもので、どんな作業をするかに応じてそれぞれに適した場所があります。

ZapierスタイルのMCPが適しているケース:
・高頻度で標準化された操作
・厳格なガードレールが必要なワークフロー
・トークンの効率が最優先されるシナリオ

CDataスタイルのMCPが適しているケース:
・データの絞り込み、並び替え、結合、集約
・データの探索と分析
・複雑で多段階の操作
・緊密なシステム統合が必要なシナリオ

実際の企業活用例

 ここでは、先進的な企業が両アプローチをどのように組み合わせるかをご紹介します。

セールスオペレーションチーム:Zapierの合理化されたツールを使用して定型的なリード処理とフォローアップシーケンスを行う一方、CDataの包括的なアクセスを活用して取引間の類似性やパターンを発見し、期限切れタスクを特定し、リスクのある案件を洗い出します。

カスタマーサポート: 標準的なケース作成とエスカレーションワークフローにはZapierコネクタを導入し、複雑な顧客問題の調査でエージェントがCRM、請求、製品の利用状況、サポート履歴などの複数システムのデータを結合する必要がある場合は、CDataを活用します。

財務部門: Zapierの事前定義された会計ワークフローで毎月の請求処理を自動化し、CDataの柔軟なクエリ機能をアドホックな財務分析、コンプライアンスレポート、カスタムERP モジュールとの統合に活用します。

エグゼクティブダッシュボードの作成: 標準的なKPIダッシュボードの定期更新はZapierで処理し、役員が取締役会で求める「過去18ヵ月間の製品ライン別・地域別の顧客維持トレンド分析」といった詳細分析はCDataで対応します。

 重要なのは、エンタープライズ環境のAIエージェントには、既知のワークフローのための精密なツールと、ビジネスインサイトを生み出す予期しない質問に対応する探索機能の両方が必要だと認識することです。このバランスを習得した企業は、日常業務においては信頼性が高く、戦略分析においては強力であるAIシステムを利用できるようになるでしょう。

AIのためのデータ基盤を築く

 この比較により、私たちがまだAI駆動型ビジネス自動化の黎明期にあることが明らかになりました。シンプルさと柔軟性、あるいは安全性と機能性の間の根本的なトレードオフ関係が、この分野でのイノベーションを今後も推進していくでしょう。

 明らかなのは、データ接続の品質、つまりAIエージェントが業務システムをどれだけ理解し、アクセスし、操作できるかが、AIを活用する企業における重要な差別化要因になるということです。現在、堅牢でインテリジェントなデータ統合インフラに投資している企業は、今後発展するAI機能を活用する上で最も有利なポジションに立つことになるでしょう。

 未来は、人間の判断とAIの実行をシームレスに融合できる企業のものであり、そしてその未来は、データ接続という基盤を正しく整えることから始まります。

※本記事はCData US ブログHow CData MCP Servers Stack Up Against Zapier MCPの翻訳です。

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