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山谷剛史の「アジアIT小話」 第221回

インド・ネパールカレー店によくある楽器から、未知の世界をスマホで知った

2025年12月02日 12時00分更新

文● 山谷剛史 編集● ASCII

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新興国はスマホの普及によって、ネット環境が一気に整備
自動翻訳も加わって、他国の文化を知ることが容易になった

 あらためてこの10年で、新興国でもネットインフラがモバイルのネットワークによって飛躍的に改善し、そうした国でもスマホアプリを開発できるようになった。

 世界のソフトウェア開発者の人口は、2010年の数百万人程度から2020年代半ばには数千万人に増加し、そのうち約40%がモバイル向けに携わっているという。公式の開発ツールのドキュメントだけでなく、ウェブの解説ページやプログラミング教室、YouTubeなどでの解説動画もいくらでもあり、学ぶ選択肢が増えた。配信に関してもGoogle PlayやApp Store、ゲームであればSteamといった世界的なプラットフォームで配信する選択肢ができた。

 その点、一昔前は大変だった。外国語のウェブサイトにアクセスしてブラウザー上で楽しんだり、ソフトウェアのダウンロードをしたりすることは理論上はできる。しかし、よほどの嗜好家でないかぎり、気軽にソフトウェアやサービスの存在を知り、サイトにたどり着くことは難しい。そもそもブラウザー上で外国語の自動翻訳がこんなに便利になる前は、ただにらめっこしていただけという読者は多いだろう。

日本には各国の人が経営している本物の外国料理店が多数ある
そこでは異国飯と同時に異国文化も楽しむきっかけになる

 かくして各国の人々が自国の文化や伝統をアプリ化した。それは楽器だけではない。日本だけでもさまざまな外国人が暮らすようになり、さまざまな外国料理のレストランや商店では、民族文化のアイデンティティー的なものがそっと置かれ、その中にはボードゲームもある。日本では知られていないそれらの遊びも、本国ではメジャーでアプリでは楽しむことができる。日本で「ガチ外国料理店=異国飯店」が増えたのだからこそ、そういう文化を発見し、調べて、楽しめるようになれば面白いのではないか……。

ネパール

 そんな内容の筆者の新刊が最近世に出た。「異国飯100倍お楽しみマニュアル ご近所で世界に出会う本 (星海社新書) 」という書籍だ。本記事で書いた、日本の異国飯店でのマダル発見からスマホとアプリを生成AIを使って深堀りしていくような事例をケースごとに多数載せた本となっている。興味関心をもったならぜひお手にとっていただければ幸いだ。

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山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)、「移民時代の異国飯」(星海社新書)などを執筆。最新著作は「異国飯100倍お楽しみマニュアル ご近所で世界に出会う本」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク

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