新興国はスマホの普及によって、ネット環境が一気に整備
自動翻訳も加わって、他国の文化を知ることが容易になった
あらためてこの10年で、新興国でもネットインフラがモバイルのネットワークによって飛躍的に改善し、そうした国でもスマホアプリを開発できるようになった。
世界のソフトウェア開発者の人口は、2010年の数百万人程度から2020年代半ばには数千万人に増加し、そのうち約40%がモバイル向けに携わっているという。公式の開発ツールのドキュメントだけでなく、ウェブの解説ページやプログラミング教室、YouTubeなどでの解説動画もいくらでもあり、学ぶ選択肢が増えた。配信に関してもGoogle PlayやApp Store、ゲームであればSteamといった世界的なプラットフォームで配信する選択肢ができた。
その点、一昔前は大変だった。外国語のウェブサイトにアクセスしてブラウザー上で楽しんだり、ソフトウェアのダウンロードをしたりすることは理論上はできる。しかし、よほどの嗜好家でないかぎり、気軽にソフトウェアやサービスの存在を知り、サイトにたどり着くことは難しい。そもそもブラウザー上で外国語の自動翻訳がこんなに便利になる前は、ただにらめっこしていただけという読者は多いだろう。
日本には各国の人が経営している本物の外国料理店が多数ある
そこでは異国飯と同時に異国文化も楽しむきっかけになる
かくして各国の人々が自国の文化や伝統をアプリ化した。それは楽器だけではない。日本だけでもさまざまな外国人が暮らすようになり、さまざまな外国料理のレストランや商店では、民族文化のアイデンティティー的なものがそっと置かれ、その中にはボードゲームもある。日本では知られていないそれらの遊びも、本国ではメジャーでアプリでは楽しむことができる。日本で「ガチ外国料理店=異国飯店」が増えたのだからこそ、そういう文化を発見し、調べて、楽しめるようになれば面白いのではないか……。
そんな内容の筆者の新刊が最近世に出た。「異国飯100倍お楽しみマニュアル ご近所で世界に出会う本 (星海社新書) 」という書籍だ。本記事で書いた、日本の異国飯店でのマダル発見からスマホとアプリを生成AIを使って深堀りしていくような事例をケースごとに多数載せた本となっている。興味関心をもったならぜひお手にとっていただければ幸いだ。
■Amazon.co.jpで購入
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)、「移民時代の異国飯」(星海社新書)などを執筆。最新著作は「異国飯100倍お楽しみマニュアル ご近所で世界に出会う本」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)

この連載の記事
-
第220回
トピックス
中国動画サービス「ビリビリ」から広がる、個人による独自ハード開発文化 -
第219回
トピックス
iPhone発売! その製造のために中国では数十万人の労働力が人海戦術で投入されている -
第218回
トピックス
キャッシュレス決済に逆行!? Wi-Fiでも水でもネカフェでも、何でも硬貨投入で買えるフィリピンのコイン文化 -
第217回
トピックス
3Dプリンターで製品を作って商売しまくる中国 「3D打印農場」が増えすぎて早くもバブル崩壊!? -
第216回
トピックス
中国製パーツでノートPCを作ってしまったファーウェイ サプライチェーンを構築した制裁からの6年 -
第215回
トピックス
中国社会でも迷惑がられる転売業者 狙われるのはSwitch 2からライブチケット、病院の整理券まで -
第214回
トピックス
中国でDeepSeek狂奏曲 VRAM96GB(?)の改造4090カードや各種製品が高速で大量登場 -
第213回
トピックス
日本から一番近いアフリカが中国・広州にあった デジタル中古市場の熱気がすごかった! -
第212回
トピックス
中国でも大人気のいらすとや 人気になった理由と中国流スタンプ文化 -
第211回
トピックス
日本のSNSでブレイクの「格付けミーム」は中国発 中国のコンテンツが日本で二次創作に使われる例が生まれる - この連載の一覧へ














