SilverStoneにまんまとやられた

この「レトロ風」は信用できる　当時を知るライターが90年代っぽいPCケース「FLP02」に悶える

3. ターボボタン＆ディスプレー

　リセットボタンの右には、ターボボタンとLEDディスプレーを装備。本来のターボボタンはトグル動作のボタンで、ソフトの互換性を維持するためのもの。CPUが速すぎて正常な動作にならないソフトでも、ターボモードを解除して動作クロックを落とせば、正常な動作を実行できるようになる。

　横にある7セグ2桁のLEDディスプレーは、このモードを表示するためのものだ。動作クロックやHI/LO表示で、モードの違いを確認できた。任意の数値や文字に変更できた記憶もあるが、それもPCケースによるだろう。

　といっても、このボタンが役に立つシーンは、DOS時代の古いソフトだけ。日本でPC/AT互換機が注目され、PC自作ブームが到来したころにはすでに使われることはなく、謎の存在になっていた。そのため、存在すら忘れかけていたのだが……、FLP02を見てひさしぶりに思い出した。

記憶から薄れかけていたターボスイッチ。FLP02では別の機能がある

　FLP02のターボスイッチは動作クロックではなく、ファンの回転速度を変更できる。実はこのコントロールパネル部は、電源スイッチだけでなくファンコン機能を内蔵。ターボスイッチがオフの時は通常回転、オンの時はフル回転と手動で使い分けることができるのだ。

裏を見るとファンの接続端子が並んでおり、ファンコン機能があるとわかる

　ターボボタンとディスプレーの表示をファン用とすることで、当時のデザインのまま、中身は今風に進化している。ここがFLP02の真骨頂だろう。

4. ほぼ正方形のエンブレム

　エンブレムシールが正方形になっているという意匠もいい。表面がぷっくりふくらんだようなコーティングは、当時よく見かけたシールそのものだ。

樹脂でコーティングした正方形のエンブレムシール

　少し気になって、SilverStoneのサイトでほかのタワー型PCケースをチェックしてまわったのだが、正方形のエンブレムシールを採用する製品は見当たらなかった。本当に、このFLP02のためだけに作ったのだろう。

　最初に「レトロ風デザインは中途半端だとコレジャナイ感が強くなり、まったく魅力を感じない」と書いたが、チェックすればするほど、当時のPCケースらしさが見つかった。このコダワリの強さは、さすがとしか言いようがない。