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SilverStoneにまんまとやられた

この「レトロ風」は信用できる 当時を知るライターが90年代っぽいPCケース「FLP02」に悶える

2025年12月13日 10時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ドリブルまつなが/ASCII

提供: テックウインド

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1. コダワリ過ぎの5インチベイカバー

 誰もがまず最初に気になるだろうポイントが、5インチベイのカバー。当時のPCケースを意識するなら、ここはフラットであるべきなのだが、5.25インチFDD(ミニフロッピーディスクドライブ)を模したデザインとなっている。

FLP02

この形のFDDを見たことない、という人も多そう

 FDは古いリムーバブルディスクの代名詞といえる存在で、レトロ感を表現するのにわかりやすいアイコンとなる。FLP02では3.5インチFDD(マイクロフロッピーディスク)ではなく、5.25インチFDDとすることで、さらに古の時代を連想させているのだろう。

 こういった強く時代を感じさせるものは、扱いを間違えると途端に嘘くさくなる。実際、自分がFLP02を初めて見たときに感じたのは、FDDが3台あるという不自然さだ。FDDのコントローラーは2台までしか扱えないし、あくまでFDDはAドライブとBドライブ。CドライブはHDDなのだ。

 古いオタクは細かいことにウルサイ。たったこれだけのことで、むしろ再現性を下げる残念ポイントとすら思ってしまう。「ああ、これも表面だけをマネたものなのね。どうせこのカバーも適当にそれっぽく見せてるだけでしょ?ほら、レバーだってただのデザインで……」と思いつつレバーに指をかけた瞬間、驚いた。

 「え?動くのコレ?」

FLP02

まさか動くと思っていなかったので、レバーが回って驚いた

 困惑。ただの飾りのハズなのに、どうして動く必要があるのかわからない。そんなことを考えていたところ、ベイカバーがパカッと外れた。カバーの裏を見てさらに驚いたのが、このレバーはただ回るのではなく、カバーをロックする実用的なギミックになっていたのだ。

FLP02

カバーを裏返すと、レバーのロック機構があった

 そう、レバーを回してメディアを取り出すかのように、レバーを回してカバーを取り外せるのだ。正直、PCケースの機能には1ミリも関係ないし、わざわざコストをかけて作る意味がわからない。当時のPCケースを再現するとしても、まったくいらない部分だ。それなのにこのこだわりよう。リスペクト以外のなにものでもない。

 これに気づいた瞬間、この「レトロ風」は信用できると確信した。そうなると、ベイカバーが3つともFDDな理由は、ロック部が壊れたときの予備だと思えてきた。再現性が下がるポイントではなく、むしろ親切心じゃないかと。古いオタクは案外チョロイのだ。

FLP02

手持ちの5.25インチFDD「FD-55GFR」とのデザインの違い。再現性はそれなりに高い

 1段は5.25インチFDDのダミーを残し、残りの2段は入手しやすい3.5インチFDDと光学ドライブを入れる、といったように楽しめるだろう。

2. 電源スイッチ&キーロック

 現在のATX仕様では、電源の操作までマザーボードから実行するようになっている。そのため、電源は押しボタンスイッチだ。対して、古いAT仕様ではスイッチの物理的な切り替えで直接電源のオン/オフを行なっていた。

 FLP02はこれを意識しているかのように、電源スイッチにロッカースイッチ風のデザインを採用している。オン(「1」のほう)を押して放すと自動でオフ(「0」のほう)に戻る押しボタンスイッチで、ちゃんと電源が入る。

FLP02

押してもすぐに戻ってくる電源スイッチ

 ユニークな点は、この電源スイッチとリセットボタンの動作を止めるキーロック機構があること。電源オン時にロックすれば電源スイッチによるオフができなくなり、電源オフ時にロックすれば電源をオンにできなくなる。事故防止用として実用的だ。

 なお、当時のPCケースにキーロック機構があった記憶はない。しかし、エプソンのPC-9801互換機やHDDのリムーバブルケースには付いていた。ゆえに、キーロック機構を備えることに違和感はない。

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