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日本市場の声を反映したカスタマイズも

アップル愛に満ちた開発者が手掛けた「子供のため」のiPadケース、日本の教育市場に向けて展開

2025年11月27日 11時00分更新

文● MOVIEW 清水 編集●ASCII

提供: アーキサイト

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日本市場の声を聞いて改良したスタイラス収納部

 日本市場向けとしてキーに日本語表記を施した日本語JIS配列キーボードを採用しているほか、スタイラスの収納スペースに日本市場独自のシリコンリングを追加している。

 アメリカでは幅広のスタイラスが人気だが、日本では細くて小さなスタイラスが一般的であり、それに合わせて製品を調整したという。スタイラスは磁石でくっつき、細いスタイラスでも外れないが、日本のユーザーはしっかりしたフィット感を好むため、より確実にフィットするようにシリコンリングが用意された。

日本人が好む細いスタイラスが外れないように追加されたシリコンリング

シリコンリングがない状態でもスタイラスは磁石で止められている

 なお、「STM Dux」の保証期間は5年間(シリコンリングは初期不良のみ対応)となっており、使い始めて卒業するまでの期間をカバーできる。

「STM Dux」の特徴を動画で紹介

 「STM Dux」はアーキサイトを通してすでに21万台以上を出荷。年内には5万台超が追加出荷される予定となっており、今後さらに国内で使用される数が増えると見込まれている。

パソコンのアクセサリーは武骨で無味乾燥
そんな物足りなさから生まれたSTMのビジネス

 STMの創業は共同創業者のイーサン氏(現グローバルCEO)が購入したノートPCを安全に持ち運べるバックパックがなかったことに由来する。

 大学や職場に自転車で通っていたイーサン氏がアパレルブランドなどでの経験を持つアディーナ氏に相談したところ「なければ自分たちで作ろう」という話が盛り上がり、最初の製品が生まれた。

 その頃、アップルの「PowerBook」が流行していたこともあり、機能性やデザイン性に優れたSTMの製品が広く受けれられた。さらにアップル製品を取り扱う専門店がバックパックを気に入り、販売してくれたというのがSTMの原点となっている。

 その後10年間、STMはアップルエコシステム向けに様々なアイテムを開発。ウェイン氏が「アップルの美しいデザインを保護するアイテムが必要だ」と感じ、最初に開発した成形ケースはiPod用だったという。その後もアップルデバイス向けに、リュックサック、ショルダーバッグ、スリーブなどを作り続ける。

「私たちはアップルが開発する新しいデバイスをユーザーが使う様子を見て、ビジネスの可能性を見出しました。デバイスの保護とユーザーがどのように使用しているかを考え、そのライフスタイルに合ったアクセサリーをデザインしていきました」(アディーナ氏)

 このように、STMはアップルのエコシステムの中で成長を続けた。アップル製品に向けた製品の開発も継続、アップルが直営の小売店「アップルストア」を通じて直接ユーザーへと製品を販売し始める前からアップルとの関係を築き、アップルの信頼できるパートナーとしてエコシステムの拡大に貢献してきた。

 アップルとの関係は27年間にもおよび、創業してからずっと良好な関係を築いているというウェイン氏は「私たちはアップルとの仕事を心から愛している」と語る。STMは現在、アップルブランドの店舗として販売を行い、修理などのサービスも提供するスペシャリスト・マーケティング・コーポレーションに認定されている。

 「アップルユーザーにとってアップルのデバイスは単なる道具ではなく、アップルがライフスタイルの一部です。アップルエコシステムにいる人がアップルを愛するようにSTM製品も同じように考えてほしい。それが、私たちがアップルブランドと歩みを共にする理由の一つなのです」(ウェイン氏)

STMの最高執行責任者であるウェイン氏はアメリカと日本を担当している。STMがアメリカ市場に進出するきっかけを作った人物だという

 アップルデバイスのデザインを保護しながら、ユーザーのライフスタイルに寄り添ったデザインを考え、アップル製品のために可能な限り多くのソリューションを創出することがSTMの目的だとアディーナ氏は語る。この考え方はキーボード一体型ケース「STM Dux」にも反映されている。

教育市場はスマート製品への需要が高い領域

 STMはオーストラリア市場を経てアメリカ進出を決定。そのときにパートナーとなったのがウェイン氏で、アメリカでSTMブランドを立ち上げ、グローバルに参画するなど、事業の中核的存在となった。

 他地域への進出は、その地域のユーザーに確実にサービスを提供できる体制を整えることが重要だというアディーナ氏は現地で積極的に活動し、パートナーとの関係を構築していく役割を担った。

 その過程で「教育市場は最も革新性が乏しい分野でありながら、既存製品を凌駕する技術的に優れたスマート製品への需要が最も高い領域だ」と気づいたという。そしてウェイン氏の築いた人脈を背景に、教育市場への展開を加速させていく。

 アップルも教育分野で大きな役割を果たしており、STMもその方針に沿って活動している。教育市場へのアプローチは、STMのバックパックをスクールバッグとして使用したことから始まり、教師からのSTMバックパックの外側に名札を付けられるようにしてほしいというリクエストを受け、名札用スペースを追加するといった改善も加えた。その後、教育市場向けに特化した製品開発を進めている。

 「教育市場はとても有益なフィードバックと知識を提供してくれます。なぜなら、彼らは自分に合った製品を求めているからです」(アディーナ氏)

アディーナ氏が共同創業者のイーサン氏から相談を受けたのがSTMの始まり

 iPadOS以外にも教育市場のはChrome OSやWindowsの端末が使われている。アメリカでもiPadとChromebookが競合しており、日本でも大きな競合相手であることは間違いないというウェイン氏は「教育市場ではSTMが最適と考えるiPadOSに注力している」という。

「アップルのiPadOSは使いやすさの面で、子供やテクノロジーを学びたい一般ユーザーに最適です。そしてそれはSTMの強みでもあるので、そこに集中しています。STMは常に品質を基盤にしており、アップル製品が最高品質の環境を提供すると確信しています」(ウェイン氏)

 オーストラリアやアメリカでは学校や代理店の協力で、生徒が必要とするもの、教師が指導しやすくなる要素について多くの知見を得て、製品に実装しており、日本市場への進出にもその豊富な運営実績が反映されている。

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