クマによる被害が深刻化している。住宅街や都市近郊でも出没が相次ぎ、東京都でも例年以上の目撃が報告されるなど、首都圏でも市民生活への影響が広がっている。日本郵便がクマの出没を受けて配達を一時中止する事態となり、物流にも支障が生じている。そのなかで注目されているのがクマ対策のハイテク化だ。
自治体で進む「出没マップ」整備
各自治体は目撃情報を集約した地図サービスを提供しており、東京都は「ツキノワグマ目撃等情報マップ(TOKYOくまっぷ)」を公開。出没日時、場所、痕跡や捕獲の有無を地図上で確認できる。秋田県では、県全域で情報を共有する「クマダス」を運用し、メール通知や、住民同士の情報交換にも活用している。
AIカメラで自動検知「クマミるAI」
民間企業によるサービスも拡大している。アイムービックは10月29日、Core-Supportと共同で、電源不要のAIカメラを使った「クマミるAI」を発表した。AIがクマを検知するとLINEで通知し、出没傾向を地図で可視化するもの。ソーラー給電式カメラを使用し、電源確保が難しい山間部でも設置できる。
国内初「クマよけドローン」
Terra Droneが11月7日に発売したのは、国内初となるクマよけスプレー搭載ドローンだ。唐辛子成分を含むスプレーを上空から遠隔噴射でき、操縦者は500m〜1km離れた場所から対応できるという。長時間飛行モデルの開発も予定され、山間部での捜索や警戒活動での応用が期待されている。
ハイテク技術が補完する新たなクマ対策
背景にあるのは従来型対応の限界だ。これまでクマの移動経路は体系的に把握されにくく、広域的な追跡が難しいという課題があった。また、クマの追い払いには現場に行く必要があり、リスクも高かった。そのなかで、AIカメラによる自動検知、地図上での情報共有、ドローンによる遠隔威嚇など、危険を避けながら対処できるテクノロジーが、従来型の対策を補う手段として注目されている。
















