『トップ5%』シリーズの越川氏が語る、チーム・イノベーションのつくり方
できるチームで7.5倍使われる“声掛け”とは? 17万人のAI分析からわかったリーダーの勘所
対話のための時間をつくる“フィードフォワード”のススメ
最後に語られたのは、日々忙しい中で、こうした対話の時間をどうつくっていくかだ。
越川氏は、「よかれと思ってやっていることを見直すべき」と指摘する。派手なプレゼン資料やグラフ、確認のためだけのメールは、すべて意味がないという。代わりに勧められたのが、パフォーマンスを内省することだ。例えば、金曜日の午後3時に15分間だけ時間をとり、1週間を振り返る。そうすると、ムダなタスクが見つかり、翌週から実践できる。
「今やるべきなのは、やめることを決めること。成果や信頼関係に影響がなければ、止め続ける。17万3000人に、何に時間を使っているか聞くと、39%が社内会議、12%が資料作成、8%がメール処理。この中に贅肉があるので、体重計に乗ってみて欲しい」(越川氏)
もうひとつ越川氏が提案するのが、未来を焦点に対話をする「フィードフォワード」だ。日本で作られるパワーポイントの23%は、上司や顧客への過剰な気遣いでできているという。しかも、そうした忖度ページの8割は開かれてすらいない。
「だからこそフィードフォワード。フィードバックは忖度ページが含まれているので手遅れ。進捗20%で『このイメージあっていますか』と提出先に聞くだけで、差戻しは74%も減少する。皆さんの残業の23%は、差戻しの修正」だと越川氏。
加えて、トップ5%のチームの資料は、スライド1枚の平均文字数が120文字で、全体平均の385文字よりも半分以下だという。「感情共有ができれば、短い言葉でも伝わり、作成負担も少なくすむ。そして、もちろんAIも使いこなしており、今日の私のプレゼンもAIが作っています」(越川氏)
今日話をしたことは、参加者がすぐにできるものばかりだと越川氏。「うなずきを深くしたり、今ちょっといいですか?と言われるようにしたり、フィードフォワードをしたりする行動こそが、皆さんのチームを変える」とセッションを締めくくった。


