「Cybozu Days 2025」キーノートで語られたkintoneの進化まとめ
シュシュッと使えるkintone AIの現在地 グループウェアへのAI実装やMCPサーバーも
2025年10月29日 09時30分更新
データ民主化を加速する“外部アプリ化”などワイドコースも機能強化
最後に紹介されたのが、大規模ユーザー向けのkintoneのアップデートだ。
サイボウズのエンタープライズ事業本部 エンタープライズプロモーション部長である池田陽介氏は、エンタープライズ向け機能の開発方針として、全社的な「市民開発」「データ活用」の基盤としての機能充実に加え、「ガバナンス」の強化や「グローバル」対応を挙げた。
kintoneでは、「ワイドコース」という上位プランで大規模利用のニーズに応えており、同プランにおける3つの新機能が発表された。
ひとつ目の機能は、「外部システムのアプリ化」だ。kintoneを通して、外部システムのデータを参照したり、更新したりするアプリを作成できる。ポイントはkintoneにデータを保存しないことで、使いやすいアプリを通じて誰もがデータを安全に扱えるようにする。
先行利用する朝日新聞社では、社内システム内の約500万件の個人情報を取得する外部アプリを作成し、全国の販売店が高速かつ安全に情報を照会する仕組みを構築したという。さらに、三菱重工業では、AWS上のマスタデータベースと接続する外部アプリにより、kintoneアプリ上でマスタ情報のメンテナンスを行っている。
2つ目は「性能ダッシュボード」だ。何千個ものアプリを作成するエンタープライズ向けに、アプリやシステム全体の稼働状況を可視化して、運用改善を支援する。
先行利用する沖縄電力(3700名がkintoneを利用)では、ダッシュボードを利用して、運用を停止していたアプリに負荷が生じているのを発見、原因の特定にまでつなげているという。
3つ目は「性能カスタマイズオプション」だ。高負荷な処理に対して適切なチューニングを適用できる機能である。例えば、kintoneアプリにWebフォームからの大量登録があった際に、レコードの連番保証を解除して処理性能を確保するといったカスタマイズが可能だ。
今後は、用途に応じて処理能力やデータ量を最適化する「アプリタイプ」を選択できる仕組みも構想中だという。
また、ワイドコースでは、「複数ドメイン管理」の開発も進められている。部門や拠点、子会社単位でユーザー管理やセキュリティ設定が可能になり、運用管理コストの低減につなげられる。
最後に、開発本部長である佐藤氏は、「ノーコードとAIは、サイボウズにとって重要な技術。ただAIは、まだまだ新しい技術で、どう使ってよいのか、安全に使えるのかなど不安に感じるユーザーも多い。我々は、AIを違和感なくプロダクトに融合して、安心してAIにチャレンジしてもらえるような進化を続けていく」とプロダクトキーノートを締めくくった。










