「Cybozu Days 2025」キーノートで語られたkintoneの進化まとめ
シュシュッと使えるkintone AIの現在地 グループウェアへのAI実装やMCPサーバーも
2025年10月29日 09時30分更新
2025年10月27日から28日、サイボウズは年次イベント「Cybozu Days 2025」を幕張メッセにて開催した。今年のイベントテーマは、ノーコードとAIを組み合わせた「ノーコードAI(アイ)ランド」である。
ノーコードとAIの象徴ともいえるのが昨年の同イベントで初披露されたkintoneのAI機能だ。初日のプロダクトキーノートでは、この1年の進捗や新機能、MCPサーバーなどのAIエコシステムについて語られた。
さらには、同社のグループウェア「サイボウズ Office」「Garoon」にもAI機能を広げることを発表している。
シュシュッと使えるAI機能の進捗、公式MCPサーバーの公開も
冒頭登壇した代表取締役社長の青野慶久氏は、kintoneを始め、中小企業向けグループウェア「サイボウズ Office」、中堅大企業向けグループウェア「Garoon」、メール共有・管理システム「Mailwise」の主力4製品が共に、順調に成長していると紹介した。
これらのプロダクトの中で同社が最も注力するのが、ノーコードで業務アプリが作成できるkintoneだ。同基盤は、ガートナーが発行した「市民アプリケーション開発プラットフォームのマーケット・ガイド」にて、グローバルの代表的なベンダーのひとつとして掲載されるなど、市民開発の高まりと共に地位を築いている。
毎年、独自の世界観を繰り広げているCybozu Daysだが、今年のテーマは「ノーコードAIランド」である。プロダクトキーノートでは、ノーコードとAIを象徴するkintoneのAI機能についてその現状が語られた。
kintoneのAI機能は、昨年のCybozu Daysで「誰もがシュシュッと使えるAI」として披露され、2025年4月に、スタンダードコース以上であれば無料で試せる「kintone AIラボ」としてスタートを切った。
サイボウズの事業戦略室 マーケティング戦略部長である山田明日香氏は、kintoneのAI機能について、「個人で利用するAIではなく、“チームで活用するAI”」と語る。「kintoneとAIによって、社員が自ら業務アプリを作成し、データを蓄積して、チームや部署間で情報を共有する。こうした業務改善とデータ活用の繰り返しが組織全体のDXにつながり、チームは強く柔軟に進化していく」(山田氏)
こうした方向性のもとで、kintoneのAI機能は、「データ活用」を支援するAIと「市民開発」を支援するAIの2軸で開発・展開されている。
データ活用を支援するAIとして2025年4月に登場したのが、kintoneアプリに蓄積されたデータを検索できる「検索AI」だ。AIに質問するだけで、必要な情報に辿りつくことができ、今ではモバイルにも対応している。
2025年10月に提供開始したのが「レコード一覧分析AI」だ。表示されているレコードの情報を分析・要約する機能で、「kintoneに蓄積された、問い合わせやアンケート結果、議事録といった定性情報を容易に把握でき、データ活用がさらに進む」と山田氏。
市民開発を支援するAIとしては、2025年4月に、AIに相談しながらアプリをつくれる「アプリ作成AI」を、2025年7月には、AIがプロセス管理の設定を提案する「プロセス管理設定AI」を提供している。
しかし、これらのAIで市民開発が広がると、管理者が把握できない「野良アプリ」が増加してしまう。この課題を解決する一手として間もなくリリースされるのが「アプリ設定レビューAI」だ。
予め登録したガイドラインの情報を基にして、AIがアプリの設定内容をレビューする機能であり、アプリ作成のルールを周知する必要がなくなり、設定不備によるセキュリティリスクも低減できる。
こうして、kintoneのAI機能が充実する中で、グループウェアであるサイボウズ OfficeとGaroonにも、待望のAI機能が実装される。日々の業務で利用しやすい「校正AI」「要約AI」「ヘルプAI」の3つだ。
校正AIは、掲示板やメール、スケジュールにおける誤字脱字をチェックする。要約AIは、文書や通知、スケジュールなどを要約し、ヘルプAIには、各機能の使い方を質問できる。サイボウズ Officeは2026年1月、Garoonは2025年11月にこれらの機能が登場予定だ。
最後に紹介されたのが、サービス間のAI連携やAI機能の開発を実現するためのAIエコシステムの拡充だ。
まず、公式のローカルMCPサーバーとして、2025年8月に「kintone MCPサーバー」を、2025年10月に「Garoon MCPサーバー」を提供開始している。これらにより、生成AIアプリケーションやAIエージェントがkintoneやGaroonとやり取りできるようになり、様々なユースケースが開発可能になる。
さらに、2025年内には、AIアプリケーションの開発基盤であるDifyのマーケットプレイスに「kintoneプラグイン」も公開予定であり、JavaScript APIでkintoneのAIを利用できるようにする「AIモデル JavaScript API」も準備中だ。
これらの仕組みによって、対話型AIに「Garoonにある営業メンバーの予定をまとめてkintoneの活用報告アプリに登録して」といった依頼をしたり、他のクラウドストレージに保存されたPDFをAI-OCRを通じてkintoneアプリに登録する仕組みを構築したりと、外部サービスも組み合わせたAI活用を推進することができる。














