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Zoomビジネスアップデート

人と人をつなぎ、さらには人とAIもつなぐ ― Zoomが社会に提供する価値とは

「気がつけばそこにある」を目指すZoom AI時代に変わるもの、変わらないもの

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: ZVC JAPAN

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変えていくもの:「日常生活に溶け込み、便利さや楽しさを実現していく」

 時代の流れで自然に変わるものだけでなく、意識的、主体的に「変えていくもの」もあるはずだ。日本法人を率いる立場の下垣氏に、日本で新たに取り組みたいことを尋ねたところ、大きく2つを挙げた。

 ひとつは「気がつけばそこにZoomがある」世界の実現だという。ふだんの生活の中で、Zoomのテクノロジーが使われていることを意識させることなく、人と人、あるいは人とAIをつないで便利さや楽しさを実現していく。そうした世界観だ。

 「たとえば、銀行や役所の窓口に行ったときに、人ではなく画面越しにAIアバターがいろいろな対応をしてくれる。あるいは住民課の窓口だけれども、アバターが納税課に関する返答もできる。これも『人と人との接点で、世の中を便利にする』ことの1つだと考え、その実現をサポートしていきたいと考えています」

 そうした一例として、KDDIとローソンが高輪ゲートウェイシティで展開する“未来コンビニ”の「Real×Tech LAWSON」を挙げた。その店内では、コンタクトセンターにいる専門家に金融や保険のリモート相談ができるサービスを提供しているが、そこにはZoom Contact Centerが採用されているという。

 「別の例を挙げれば、Zoomがテスラやソニーホンダモビリティの自動車(車載インフォテインメントシステム)に搭載される計画があります。これなども、人とコンタクトセンターやAIエージェントとをつなぐことで、たとえばドライバーが口頭で頼めば、レストラン予約を代行してくれるようなサービスが実現できるかもしれません」

 もうひとつ、日本で取り組みたいことに挙げたのは、「ユーザー視点でZoomのさまざまな使い方を提案する」ことだ。ここでは、今年発足した日本のZoomユーザーコミュニティに対する強い期待を語った。

 「いまの技術は“やるかやらないか”の違いだけだと思います」と下垣氏は説明する。スマートフォンでも生成AIでも、いったん使い始めてしまえば、使い続けるための障壁は小さい。むしろ、最初に「とにかくやってみよう」と触れてみる、その第一歩を踏み出すことのほうがハードルは高いと言える。

 「Zoomの基本的な使い方は簡単ですが、機能が増えた分『そんな使い方もあったのか!』ということも増えていると思います。ユーザーコミュニティには、お客さまどうしで『こんな使い方もできるよ』と教え合うような、そこに行けば何か面白いZoomの使い方が発見できて『自分もやってみよう』と一歩踏み出せるような、そんな情報発信のハブになることを期待しています」

5月に東京で開催されたZoom Phoneユーザー限定のコミュニティイベント(関連記事)

* * *

 下垣氏はさまざまなZoom導入事例を紹介してくれたが、その中でも「本当の意味での成功事例」と触れたのが、食品メーカーである井村屋の導入事例だ。

 井村屋では、2018年のZoom Meetings導入から、Zoom Rooms、Zoom Phone、Zoom Webinersと、段階的にコミュニケーション基盤をZoomプラットフォームに統合してきた。そして今年春には、メールやカレンダーもZoom Workplaceに統合し、AICの積極的な活用も始めている。

 ただし、下垣氏が井村屋のZoom導入を「本当の意味での成功事例」だと評価するのは、同社が多数のZoomツールを使っているからではないという。

 「先日、わたしが井村屋さんを訪問したとき、ITの方だけでなく工場のラインの方も『俺はZoomをこう使ってるんだ』と、いきいきと話をしてくださいました。井村屋さんがもともとお持ちの企業カルチャーとZoomのサービスとが相まって、社員がより良く働き、より良い商品をマーケットに提供されている。そのことをご支援できていると思える瞬間は、やはりわれわれにとって一番の喜びですし、本当の意味での成功事例だと思います」

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