第6回 シン・IoTの教室:ビジネスに活きる つながるモノの世界
新規ビジネスの立ち上げ、新たな価値提供に適した「組み込みIoT」
ビジネスとIoTが出会うとき ― 適しているのは「組み込み」か「後付け」か?

世の中には数え切れないほどの社会課題やビジネス課題が眠っており、その一方で、IoTにもさまざまな技術やソリューションがあります。したがって、課題とIoTをうまく“マッチング”させる必要があります。では、どこから考えればよいのでしょうか。
それを考える手がかりとして知っておきたいのが、IoTのビジネス実装の手法として「組み込みIoT」と「後付けIoT」があることです。
IoTがコアとなる新規ビジネスの立ち上げに適した「組み込みIoT」
組み込みIoTとは、何らかのデバイスやシステムを企画/設計/開発する際に、あらかじめIoT技術を組み込んだかたちで考えるもの。一方で後付けIoTは、既存の装置やシステムに対して、IoT技術を後付けで加えることで課題解決を図るものです。
組み込みIoTは、IoTを前提とした新規ビジネスの立ち上げに適しています。たとえば以下の事例では、新たなシェアサイクルサービスを実現するために、IoTによるスマートロックを新規開発しています。
■シェアサイクル「Charichari」を支えるスマートロックの開発とSORACOM
ただし、必ずしもデバイスを新規開発するパターンばかりではありません。たとえば、既存の製品にIoTのセンサー機能と通信機能を追加することで、新たに「リモート監視」「データ分析」といった付加価値ビジネスを立ち上げる、といったケースも考えられます。
■象印の「みまもりほっとライン」がリニューアル IoTプラットフォームSORACOMが採用される
組み込みIoTのメリットは、専用設計されたIoTデバイスやシステムを通じて、ビジネス課題や社会課題へのまったく新しい解決策(ソリューション)や、これまでにない価値を提供できるチャンスが生まれることです。一方で、デメリットは、デバイスやシステムの設計/開発力が必要であること、そしてそこに時間がかかってしまうことです。
それでは、もうひとつの「後付けIoT」はどんなケースに適しているのでしょうか。次回はそちらを見ていきましょう。
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