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米国 Automation NTH社、医療機器組立に「XPlanar」を採用

ベッコフオートメーション株式会社
2025年09月11日

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ベッコフオートメーション株式会社
― 磁気浮遊式搬送で設置面積90%削減・処理時間60倍短縮を実現 ―

ベッコフオートメーション(ドイツ・フェアル)の製品と技術は、世界各国の多様な業界で活用されています。今回は、ライフサイエンス分野に特化したソリューションを展開する米国のインテグレータ、Automation NTH社(以下、NTH社)による、医療機器アセンブリの事例をご紹介します。従来は手作業で行われていた診断機器の組立工程において、ベッコフの磁気浮遊式搬送システム「XPlanar」を導入することにより、設置面積を10分の1に削減し、処理時間を5分から5秒へ短縮するという大幅な効率改善を実現しました。

柔軟性の高い診断機器組立機は、XPlanar可動子が搬送する3種類の機器に対し、50種類の試薬の中から配合に応じて充填、検査を実施します。(写真提供:ベッコフオートメーション)


ライフサイエンス分野で高まる自動化ニーズ
一般的にライフサイエンスの分野では、変動の多い製品品種を搬送し、将来的なさまざまな変更に柔軟に対応できる生産体制が求められています。こうした背景から、複雑でデータ量の多いアプリケーションを自動化するために、新しい制御技術の導入が進んでいます。

NTH社の営業部長ピーター・サーヴェイ氏は、「特に医療機器アセンブリの分野では、自動化機器をカスタマイズするためにソフトウェアが重要視されています。」と述べています。その一例として、NTH社は、ベッコフのPC制御技術と磁気浮遊式搬送システムXPlanarを活用した診断機器組立機を開発しました。

XPlanar採用の決め手は「柔軟性と将来的な拡張能力」
XPlanarは、磁気浮遊する可動子が6自由度で動作し、搬送・回転・傾斜・持ち上げなどを自在に実現する平面モータシステムです。従来のコンベアや直線的な搬送システムでは難しかった複雑な動作も、非接触かつ高精度に制御できる点が大きな特長です。

これにより、およそ50種類の試薬に対応できる分注装置を備え、3つの機器タイプごとに異なる分注位置に対応できる自動組立システムが誕生しました。

サーヴィー氏はXPlanar採用の背景を次のように説明しています。
「コンベアやロボット、その他のマテハン技術を使って分注ヘッドを製品まで移動させれば、膨大な費用とスペースが必要になります。そのためには、分注ヘッドではなく、製品自体を移動させるべきだと気づいたのです。」

▶ XPlanar 詳細: https://www.beckhoff.com/ja-jp/products/motion/xplanar-planar-motor-system/

XPlanarによる組立工程と導入効果
新しい組立機では、オペレータが手作業で特定の機器を引き出しから取り出して投入します。その後、ロボットがXPlanar可動子のうち1台に機器を搭載し、特注工具で固定したうえで360度回転による画像検査を受けます。

機器を載せた可動子はレシピに応じた分注ステーションで停止します。試薬の充填時には機器を回転させ、正確な分注位置に配置します。分注の合間に2度目の画像検査が実施されます。分注・検査工程の完了後、プラスチックキャップで封止された完成品はオペレータのステーションに搬送されます。可動子は機器を放出後、停止し、オペレータはライトカーテン越しに安全に機器を取り出すことができます。

▶ Automation NTH 医療機器組立機 紹介動画(出典:Beckhoff Automation USA / YouTube)