フィリップ モリス ジャパン(PMJ)は8月27日、避難生活支援ネットワーク「EDAN」の設立を発表した。
EDANは、簡易トイレ、キッチンカー、段ボールベッドなど、避難生活に不可欠な物資を平時から備蓄し、災害時に迅速に被災地へ届けることを目的としたネットワーク。PMJが本ネットワークの発起人となり、特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で設立。事務局は公益社団法人 ピースボート災害支援センター(PBV)が担い、同センターを含む、これまで避難生活の支援を実践してきた4つの民間団体が加盟している。
ここからは、発表会で披露された支援物資を具体的に紹介していく。
避難所の生活を支える「TKB」の備え
EDANは、災害発生前と発生後の両面から被災地を支援することを特徴としている。発災後の避難生活で特に重要となるのが「TKB」(トイレ・キッチン・ベッド)の確保。これらを災害直後に迅速に支援し、その後の継続支援まで実行することを目指している。
・T(簡易トイレ)
支援物資の一つとして注目されたのが、ラップポンの簡易トイレ「TREKKER WT-4」。重量は約12kgと持ち運び可能なサイズで、アルミボディーによる堅牢な構造が特徴だ。排泄時は専用の凝固剤で処理した後、ボタン操作によって熱圧着で密封されるため、中身や臭いが外に漏れることはない。誰でも扱いやすく、清潔さを維持できる仕組みになっている。
会場では水洗式のトイレトレーラーも見られた。高速バスや新幹線で使用されるものに近い印象で、排泄物を水で流せるうえ、手洗いも可能である。天井部分には空気口も備えられており、衛生面や快適性を確保。トイレ環境は避難所において健康直結する重要な問題。こうした設備が災害時の二次被害を防ぐ大きな要素になると実感した。
・K(キッチンカー)
食の支援として、ピースボート災害支援センターが導入したキッチンカー「FOOBOUR(フーバー)」が紹介された。十分な広さの内部には保存食やインスタント食品を積み込めるだけでなく、冷蔵庫を搭載しているため要冷蔵の食材も扱える。平常時と災害時の両方で活用できる「フェーズフリー」な仕組みにより、継続的かつ柔軟な食の支援が可能になっている。
・B(段ボールベッド)
避難生活において重要な休息環境を支えるのが、VAN(ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク)が提供する「紙の間仕切りシステム」と「段ボールベッド」。間仕切りは紙管フレームに布をかけるだけで簡単に設営でき、避難所内で最低限のプライバシーを確保する。
段ボールベッドは、無印良品を展開する「良品計画」と共同開発されたもので、組み立てが容易なうえにベッド下は収納スペースとしても活用できる。軽量で安価、かつ十分な強度を備えた段ボールの特性を活かした製品であり、限られた環境下で安心して休める空間を提供する工夫が見られる。
民間が担う新しい災害支援のかたち
フィリップ モリス ジャパンは「リスクを完全になくすことはできなくても、その害を減らす」という企業理念を掲げている。この取り組みもその延長線上にあり、民間企業が防災分野で積極的に役割を果たす姿勢を示したものといえる。
発表会で同社の副社長・小林氏は「民間の災害支援のファーストペンギンになれたらいい」と語った。企業の社会的責任を超え、先駆者として災害支援の現場に踏み出す姿勢が印象的であった。





















