ふかふかのイヤーパッド、着脱式ケーブル
レコーディング、ミキシングといった制作用途に幅広く対応できるモデルとして、長時間の使用に向いた装着感などにこだわっている点も特徴だ。
イヤーパッドは、同社のクリエイター向け密閉型モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」などと比較して、分厚く、柔らかい素材を採用。さまざまな形状の耳にフィットしやすく、また重量もおよそ216gと軽量設計に仕上げているため、長時間の使用でも快適に使用できるとする。
さらにメンテナンス性も重視し、着脱式のケーブルを採用。ケーブルはヘッドホンとねじ込み式で固定する仕様なので、作業中に不意に外れてしまう心配もない。長さ2.5mの6.3mmプラグケーブル、長さ1.2mの3.5mmミニプラグケーブルが標準で付属し、3.5mm/6.3mm変換アダプターも同梱する。また、交換用のイヤーパッドなどもオプションとして販売される。
現代のレコーディング環境に向いたモデルへと進化
内覧会で、前述のMDR-CD900STなどと比較しながら試聴した。
MDR-CD900STは1989年発売のモデルだが、現在でも数多くのレコーディングスタジオで、レコーディング用ヘッドフォンとしてアーティスト側のモニタリング用途などで運用されている、定番中の定番とも言える商品。再生可能帯域は5Hz〜30kHzで、今回のMDR-M1の5Hz〜80kHzと比較すると、さすがに数値からも大幅な性能の向上が読み取れる。
実際に両者を聴き比べてみると、明確な音の変化が感じ取れる。特に音が消え入っていく際のごく小さな余韻や、録音時の空間の響きなどが詳細にわかるようにチューニングされており、ハイレゾ品質など、高い音質で録音することも多い現代のレコーディング環境に、より一層向いた仕様へと進化したことがわかる。
ちなみに、ハイレゾ品質の再生に対応するモニターヘッドホンとして、ソニーは2018年に「MDR-M1ST」というモデルも発売しているが、こちらと比較すると、MDR-M1STのインピーダンスが24Ωだったのに対し、MDR-M1は50Ωというスペックになっている。
イヤーパッドの厚みも、今回のMDR-M1の方が厚くなっているほか、音質のチューニングに使ったスタジオも、MDR-M1STがソニー・ミュージックスタジオ東京、今回のMDR-M1はPower Station at BerkleeNYCと異なっており、仕様は近くとも、異なる特徴を持ったモデルと言えるだろう。プロの現場向けにはもちろん、「音楽制作のプロと同じ環境で音楽を楽しみたい」という、こだわりを持つ音楽ファンにも向いたモデルだ。














