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gamescom 2025のNVIDIAデモセッションを見たら一瞬で得心

描画性能も画質も進化したGeForce NOWは魂の救済ツールに、Steam Deckでも重量級ゲームが余裕で遊べる

2025年08月20日 13時15分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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 2025年8月19日、NVIDIAはドイツで開催している巨大ゲームイベント「gamescom 2025」に連動していくつかの発表を行った。前回は「Smooth Motion」の対応GPU追加や「NVIDIA App」の機能強化など、自作erと接点の多い領域についてまとめたが、今回はNVIDIAが10年に渡り育て続けているクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」に注目してみたい。

 まずGeForce NOWって何? という人のために軽く説明しておくと、GeForce NOWはゲームにおける「リモートデスクトップ」を実現するサービスだ。ゲームのレンダリングは強力なGPUを備えたNVIDIAのサーバーで実行し、その映像だけをインターネットを通じて手元のデバイスに送信する。

 操作するデバイスはそのストリームを表示し、ゲーム操作の情報を送り返すだけで済むため、グラフィック性能が高くないデバイスでもリッチなゲームが遊べるようになる。GeForce NOWの利用にあたり、インターネットの回線速度が40Mbps以上必要という制約はあるが、そこさえクリアーすればNVIDIAのGeForce NOWサーバーが大型ビデオカードを備えた高価なゲーミングPCの代わりになる。

 ユーザー側から見ればビデオカードが高いと嘆くこともなくなるし、電源ユニットやCPUのスペックが足りるか心配する必要もない。重いゲームを攻略する期間だけ上位ティアで使い、遊ばなくなったらFreeティアへという運用も可能だ。ちなみに、GeForce NOWで遊ぶゲームはNVIDIAが提供してくれるわけではない。自分がEpicやSteamなどで購入したゲームのうち、GeForce NOW対応のものが遊べる、というシステムである(無料で遊べるゲームは別の話となる)。

Steam DeckでもRTX 5080が使えるようになる

 GeForce NOWでは上位のティアになるほど、パワーのあるCPUやGPUが利用できるようになる。無料で使えるFreeティアもあるが、ゲームを始めるまでまでに待ち時間があり、長時間ゲームを楽しむのであればPerformanceまたはUltimateティアの2択になる。

 これまでUltimateティアではGeForce RTX 4080が使われてきたが、9月からは価格据え置きで同RTX 5080に変更される。つまり、UltimateティアならGPUがDLSS MFG(Multi Frame Generation:マルチフレーム生成)が使えるようになるわけだ。この変更により、「RTX 4080と比較し、RTX 5080は最大2.8倍のフレームレートが出せる」という。

 言うまでもないが、この「最大2.8倍」とはDLSS MFGを利用した数値である。フレームレートは接続しているディスプレー環境によっても変化するが、解像度が5Kでは60fpsないし120fps、WQHDでは240fps、フルHDでは360fpsプレイを可能にする。Steam Deckのようなゲーミングデバイスでも最高90fpsでプレイできる(これはSteam Deck OLEDのリフレッシュレートでもある)という。

GeForce NOWには3段階のティア(=メンバーシッププラン)があり、上位のティアになるほど、より強力かつ付加価値の高いゲーミング環境になる。Performanceティアは月額1780円、Ultimateティアは月額3580円。30万円でゲーミングPCを買い、3年間使い続けたと仮定した場合、月額に換算すれば約8333円となる(電気代は無視するものとする)。そう考えると、Ultimateティアの費用対効果も悪くない

 さらに、Steam Deckのようなポータブルゲーミングデバイスの場合、自前でレンダリングさせると描画処理だけでバッテリー相当ぶんの電力を消費してしまうが、GeForce NOWを利用すれば消費電力はずっと低くて済む。NVIDIAいわく、バッテリー駆動時間が2倍も夢ではないという。

これまでのUltimateティア(グレー、RTX 4080)と9月以降のUltimateティア(緑、RTX 5080)の性能比較。パストレーシングを使った重いゲームも含まれているが、RTX 5080の新UltimateティアはDLSS MFGが効くのでフレームレートがしっかり伸びる、という主張

GeForce NOWはSteam Deckのようなポータブルゲーミングデバイスでも動作する。デバイス上で普通にゲームを遊ぶ場合と比較すればフレームレートは2倍、バッテリー駆動時間も2倍。画質も格段に向上する

レノボ「Legion Go S」を使い、新作タイトル「Borderlands 4」をGeForce NOWでプレイし、4KのTVに外部出力するというデモ(Legion Go Sは右手に置かれているのが見えるだろうか?)。まだ発売前のビルドだったため、軽微なラグを感じたものの、ストリーミング上のフレームレートは120fpsで快適に遊べた

こちらは「Cyberpunk 2077」を4K&120fpsで動かしているところだが、左はPlayStation 5 Pro(以下、PS5 Proと略記)、右はLGのTV上で動作しているGeForce NOW(RTX 5080)でレンダリングしたもの。画質は一見同等だが、操作に対するレスポンスはGeForce NOWのほうが軽快だった。回線速度が安定しているという条件付きだが、クラウドゲーミングでも現行家庭用ゲームコンソール以上のポテンシャルが得られるのだ

GeForce NOWのRTX 5080はVRAMが48GB使えるという。無論、こんなRTX 5080はないので仮想化されたデータセンター用GPUのパワーを切り出してRTX 5080相当にしている、ということになる

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