TEAC「NT-505X」価格20万6800円
1機種目はティアック(TEAC)の「NT-505X」だ。
麻倉 「Cheek to Cheekでは、前向きで、くっきりとして、力があるサウンドです。ボーカルがとてもしなやかで艶と伸びがいい。エッジも極端に立てず、描き方が優しく、その輪郭だけでなくディティールも緻密。個性的ではないが、滑らかな表面性があります。
日本製だけあって、特定部分を強調することなく、レンジ感とか質感とかのびの良さとかビビッドさがうまくバランスしています。
ウルトラハイエンド機に比べると質感はいまひとつですが、明確かつ明瞭で力感があって、音が前へ前へと出てきます。「道化師の朝の歌」では、音像がはっきり、ピチカートも繊細さよりも明瞭さやくっきり度が高い方向です。楽器をフィーチャーしつつ、音像をしっかりと出しますね。
響きには繊細さがもう少しあってもいいと思いますが、力強く、前向きに積極的に音を押し出す、元気さと明瞭さがとてもいいと思いました。音場が良くてクリアですし、日本製の良さも感じられました。つまり、バランス感が優れていて、楽器の音の関係もそうだし、Tuttiも量感があるが情報量も多い。清々しい音と整ったバランスの良さがいい製品です」
Volumio「Primo」(実売13万円台前半)
2機種目はイタリアのブランドVolumioの製品「Primo」だ。
麻倉 「おしゃれ心を感じさせるデザインですが、出る音も同様におしゃれな感じがします。最初はACアダプターを床に電源につないで取っていましたが、メタリックな質感があってイマイチでした。そこで私の試聴室で標準にしているシナノのレギュレーターにつないだところダントツに良くなった。ACアダプターを使うオーディオ機器はどこから電源を取るかに加えて、ACアダプター自体のクオリティも影響がある点は注意したいですね。
Cheek to Cheekの音はくっきりとして、明瞭です。ボーカルも力はあるけど粗くはありません。ジェントルなところは優しく出て、声を張るところはくっきりと出す。音源への忠実度が高い。同時にイタリアメーカーらしい艶っぽさ、ボーカルの余裕感、ベースの安定感、ピアノのリフのおしゃれ感なども印象的でした。「道化師の朝の歌」は、音場感がリッチで、会場の広さ、空気感をよく出していました。オーボエなど木管系の楽器の活躍が感じられるのも、音色感がいいからでしょう。Tuttiでは荒さも目立つ面もありますが、価格を考えるとコストパフォーマンスに優れる機種ですね」
Eversolo「DMP-A8」(実売30万円台後半)
最後が、多機能でデザイン性に優れながらリーズナブルな価格で買えるのが評価されている中国のブランドEversoloの「DMP-A8」だ。
麻倉 「Cheek to Cheekでは、しっかりと地に足のついた、安定感のある音が楽しめました。ベースやドラムスの安定感もいいのですが、ボーカルのチャーミングさも飛び抜けていました。細身だが色気がたっぷりと出ています。清潔な色気と言ってもいいかもしれませんね。ジャズボーカルの魅力を良く引き出してくれていました。道化師の朝の歌では、透明感があって、スッキリと抜けのいい音場でした。各楽器の表情も濃い。ピチカートの弦楽器をはじめ、木簡のクラリネットやオーボエの音色も綺麗にきけます。Tuttiには爆発的な量感があるけど、きちんとした質感も伴っています。全体のバランスがいいし、音楽性も十分に発揮されているのが印象的でした」
まとめ
第1回の冒頭でも述べたように、Qobuzの登場などもあって、Hi-Fiオーディオの世界ではネットワークプレーヤーへの関心が改めて高まっている。その過程では、再生機器の機能や音質はもちろんだが、デジタル再生につきもののノイズが音に与える影響についても関心が高まっており、ノイズ対策のための製品が多く登場するようになった。
こうしたアクセサリーを提供するブランドはオーディオの分野では比較的新しいものが多いが、市場で注目されているだけあって使ってみるとなかなか面白い。高価なものが多いため、マニア度が高くなる面はあるのだが、すでにネットワークオーディオを実践していて、環境改善に取り組んでみたいという方は安価なものからでも活用してみてはどうだろうか。
機器の組み合わせでネットワークオーディオの音は大きく変わる。そんなことを感じさせてくれる試聴企画だった。

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