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柳谷智宣の「簡単すぎて驚く生成AIの使い方」 第24回

YouTubeの長時間動画の内容を素早く理解してタイパを高めるには?

2025年07月25日 16時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第24回はNotebookLMを利用してYouTubeに掲載されている動画の内容を素早く理解する方法について解説する。

YouTubeにある動画の内容をすばやく理解するためには

 近年、YouTube動画で情報収集したり、勉強する人が増えている。YouTubeでは無料で専門知識を解説する動画が無数に公開されており、意欲さえあれば誰でも高度な情報を得られるためだ。このトレンドは今でも続いており、コンテンツは充実する一方だ。

 もちろん、動画を視聴できるのであればそれでいいのだが、時間や場所の制約でテキストで内容を理解したいこともあるだろう。そんな時にお勧めなのが、GoogleのAIリサーチアシスタントツール「NotebookLM」だ。

 単に動画を視聴するだけの一方通行なインプットに留まらず、AIとの対話を通じて能動的かつ多角的にコンテンツを深掘りできるのがメリット。効果的なのはやはり、長尺動画の内容把握だ。試しに、アスキーのYouTubeチャンネルから、筆者も出演している「目からウロコのPDF使いこなし術【アクロバット連載100回記念放送】」を読み込ませてみよう。

 NotebookLMを開き、「新規作成」→「リンク」→「YouTube」をクリックし、動画のURLを貼り付け、「挿入」をクリックすればいい。文字起こしされたテキストが自動的にインポートされる。

NotebookLMのソースにYouTube動画のリンクを登録する

 「チャット」タブを開くと、概要が表示されるのでまずはチェック。その上で、欲しい情報をプロンプトで指示すればいい。400文字を超える固い口調の概要を読むのが面倒、というなら「200文字で中学生にもわかるように要約して」と入力してみよう。とてもカジュアルに要約してくれるので、理解しやすい。

まずは、概要をチェック

■プロンプト
200文字で中学生にもわかるように要約して

概要がわかりにくいなら、さらにわかりやすく要約してもらおう

 概要がわかったら、この動画で学べる情報をまとめさせよう。インサイトを聞くのもいいだろう。動画で語られている情報を元に教えてくれるので、しっかりと読み込もう。GeminiやClaudeといった生成AIと比べると日本語が固いが、これはソースだけを元にして回答しているため。逆に、ハルシネーションを起こす可能性が低くなっているのだ。

■プロンプト
この動画で得られるインサイトをまとめて

動画の学びを凝縮し、短時間で読めるようになった

 気になる部分があれば、詳細に解説するように指示してみよう。例えば、ここではAcrobatのファイルの比較機能について、詳しく説明してもらった。すると、約1500文字で概要から使い方、メリット、活用シーンなどが、小見出し付きの詳細なレポートにまとめられた。とてもわかりやすく、動画を見るより、このテキストを読んだ方が理解しやすい、という人もいるのではないだろうか。

■プロンプト
変更点の比較に関して詳しく解説して自分専用の家庭教師に

「ファイルの比較」機能についての詳細な解説が生成された

動画内容から知りたいことを質問して

 次は、5月に開催されたGoogle I/O '25 Keynoteの動画から情報収集してみよう。1時間56分の動画なので、ゆっくりと視聴する時間がないという人や英語&字幕で見るのが面倒に感じる人もいるのではないだろうか。そんな時も生成AIの出番だ。

 NotebookLMにURL(https://www.youtube.com/watch?v=o8NiE3XMPrM)を登録し、要約してもらうと、なんと5000文字以上が生成された。ちょっとした記事のボリュームを超えている。

■プロンプト
動画の内容を要約してください

長尺動画なので要約でも5000文字以上になった

 わからないことがあれば、存分に質問しよう。AI相手なのだから、恥ずかしがることもない。要約が理解できないなら、前出のように「中学生にも理解できるように」と指示すればいい。

 例えば「Arenaリーダーボードで2位の性能」というのが、何を指してどうすごいのかわからないなら、素直に聞いてしまってもOK。あくまでもソースの中から回答するので、期待する内容にならないこともある。そんな時は、そのプロンプトをGeminiやChatGPTに入れれば、膨大な情報を元に噛み砕いて説明してくれる。

 GeminiやChatGPTなどはWeb上の膨大な情報(開かれた世界)を元に、創造的で幅広い回答を生成するのが得意な、博識なアシスタント、NotebookLMは登録したソース(閉じた世界)の情報に忠実で、正確な回答が得意なアシスタントと捉え、ニーズに合わせて使い分けるといいだろう。

 また、複数の動画をソースに入れてもいい。何か勉強したいテーマに関する動画を複数登録すれば、自分専用の家庭教師として何でも質問できるようになる。

■プロンプト
Arenaリーダーボードって何?2位ってどれくらいすごいの?

わからないことがあれば、ガンガン質問しよう

 以上が、YouTube×NotebookLM(Google)で動画の内容を短時間で徹底的に理解する方法となる。驚くほど効率的に情報収集や勉強ができるので、ぜひ試してみることをお勧めする。

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日本の生成AI活用率が3倍になるものの依然世界では低水準

 7月8日、総務省は、令和7年「情報通信に関する現状報告」(令和7年版情報通信白書)を公表。何らかの生成AIサービスを使っているかどうかの調査結果がアップデートされていた。2023年度調査では9.1%だったが、2024年度調査では26.7%となり、大幅に増加した。20代に限れば44.7%に達し、若年層が牽引している。しかし、増加はしたものの、とても低い水準であることは変わりがない。米国は46.3%から68.8%、ドイツは34.6%から59.2%、中国は56.3%からなんと81.2%へ上昇し、世界中で生成AIが活用されるようになった。

 日本のAI未利用者が挙げる理由は「必要ない」「使い方がわからない」「魅力的なサービスがない」などであり、依然として利用障壁が存在する。調べものや要約・翻訳への利用意向は高く、前回調査と同様の傾向が確認された。AI活用で出遅れたら、企業もビジネスパーソンも淘汰されることは必至なのでAI活用は絶対に必要。ChatGPTでもGeminiでもいいので、まずは触ってみるところから始めてほしい。

日本における生成AI活用率は世界的に低い水準

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