アップルは5月1日(現地時間)、2025年会計年度第2四半期(1~3月期)の業績を発表した。売上高は前年同期比5.1%増の954億ドル(約13兆8330億円)、希薄化後の1株当たり利益(EPS)は同7.8%増の1.65ドル(約239円)となり、いずれも市場予想を上回る増収増益となった。特にサービス事業の売上が過去最高を記録し、全体の業績を力強く牽引した。
サービス事業が過去最高、製品カテゴリ別では明暗分かれる
当四半期の業績を牽引したのは、App Store、Apple Music、iCloud、AppleCareなどを含むサービス事業だ。売上高は前年同期比11.6%増と2桁成長を達成し、266億4500万ドル(約3兆8635億円)と四半期として過去最高を記録した。
項目 | 前年同期比増減率 |
---|---|
総売上高 | +5.1% |
EPS(1株当たり利益) | +7.8% |
サービス | +11.6% |
iPhone | +1.9% |
Mac | +6.7% |
iPad | +15.2% |
ウェアラブル・ホームおよびアクセサリ | -5.0% |
製品カテゴリ別に見ると、主力のiPhoneは前年同期比1.9%増の468億4100万ドル(約6兆7919億円)と微増にとどまったものの、Macは同6.7%増の79億4900万ドル(約1兆1526億円)、iPadは同15.2%増の64億200万ドル(約9283億円)とそれぞれ好調だった。
一方で、Apple Watchなどを含むウェアラブル・ホームおよびアクセサリは、同5.0%減の75億2200万ドル(約1兆907億円)となった。
日本市場は16%超の大幅増収、中国市場は唯一の減収
地域別の売上高では、日本市場が前年同期比16.5%増の72億9800万ドル(約1兆582億円)と、他の地域を大きく引き離す突出した伸びを見せたのが注目される。背景としては、円安基調にもかかわらず市場の実勢より有利な為替レートを適用するなどして日本での価格上昇を抑制し、他国と比較して割安感を維持した価格戦略や、根強いiPhone人気などが販売増につながったとみられる。
最大の市場である米州も同8.2%増の403億1500万ドル(約5兆8457億円)と堅調で、欧州は同1.4%増の244億5400万ドル(約3兆5458億円)、その他のアジア太平洋地域も同8.4%増の72億9000万ドル(約1兆571億円)とプラス成長を確保した。その一方で、近年成長の柱と見られていた中国市場は、同2.3%減の160億200万ドル(約2兆3203億円)と、主要5地域の中で唯一のマイナス成長となった。中国経済の減速懸念や、Huaweiなど現地メーカーとの競争激化が影響した可能性がある。
ティム・クックCEO(最高経営責任者)は、「サービス事業での2桁成長を含む、好調な四半期決算を報告できることを嬉しく思う。私たちのラインナップにiPhone 16eを迎えたこと、そしてAppleシリコンの並外れた性能を活かしたパワフルな新しいMacとiPadを発表したことも喜ばしい。また、過去10年間で炭素排出量を60%削減したことを発表でき、誇りに思う」とコメントしている。
ケバン・パレクCFO(最高財務責任者)は、「1~3月期の業績は、EPSの8%成長(※プレスリリース原文ママ、計算上は約7.8%)と240億ドル(約3兆4800億円)の営業キャッシュフローの原動力となり、290億ドル(約4兆2050億円)を株主に還元した。また、高いカスタマーロイヤルティと顧客満足度のおかげで、アクティブデバイスのインストールベースがすべての製品と地域セグメントにおいて再び過去最高を記録した」と述べ、強固な財務基盤と顧客からの高い支持が続いていることを強調した。
株主還元策も強化する。取締役会は、普通株式1株につき前年同期比4%増となる0.26ドル(約38円)の現金配当を宣言した。配当金は、2025年5月12日の市場取引終了時点の株主を対象に、5月15日に支払われる。さらに、最大1000億ドル(約14兆5000億円)の追加自社株買いプログラムも承認した。
アップルは、本決算に関するカンファレンスコールを5月1日14時(米国西部時間、日本時間では5月2日午前6時)よりライブ配信した。このウェブキャストの録音は、同社ウェブサイトにて約2週間聴取可能だ。
