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Googleウォレット、年齢・本人確認機能が進化 英国・米国でデジタルID利用拡大へ

2025年04月30日 17時00分更新

文● サクラダ 編集●飯島恵里子/ASCII

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 グーグルは4月29日(現地時間)、デジタルウォレットサービス「Googleウォレット」において、スマートフォンを使った年齢および身元証明を安全かつ確実に実施するためのアップデートを発表した。

スマホが身分証に、英国・米国でデジタルID本格導入へ

 今回のアップデートにより、英国の居住者は、自身の英国パスポートを用いてデジタルIDパスを作成し、Googleウォレット内に安全かつ便利に保管できるようになる。提供開始時には、鉄道運行会社の団体であるRail Delivery Groupと提携し、同社の鉄道割引カード販売プラットフォーム「railcard.co.uk」において、利用者が特定のRailcardの資格基準を満たしているかどうかの確認に、このデジタルIDを利用できる機会を提供する。

 さらに同社は、英国科学・イノベーション・技術省(DSIT)のデジタルアイデンティティ信頼フレームワーク内での認証取得も目指しており、これにより将来的にはアルコール購入時など、より多くの場面でGoogleウォレットのIDパスを利用可能にすることを見据えている。

 米国においても、アーカンソー州、モンタナ州、プエルトリコ、ウェストバージニア州の居住者が、州(またはそれに準ずる地域)の政府機関が発行したデジタルIDをGoogleウォレットに保存できるようになる。また、アリゾナ州、ジョージア州、メリーランド州、ニューメキシコ州では、DMV(車両管理局)での手続きにおいてモバイルIDを利用可能とし、顧客体験の向上と効率化を図る。

 2025年5月7日に迫るREAL ID法の施行期限に関連し、REAL ID対応の運転免許証や州発行IDを持っていない場合でも、米国パスポートから作成したIDパスを、対応する空港での国内線におけるTSA(運輸保安庁)のセキュリティチェックで利用できるようになる点は注目だ。ただし、英国パスポートから作成されたIDパスは現在TSAでの利用には対応しておらず、また、デジタルIDは物理的なIDの完全な代替ではないため、必要に応じて物理IDも携帯することが推奨される。

 グーグルは強力なパートナーエコシステムとの連携により、新たなユースケースも準備中である。間もなく、Amazonアカウントの復旧、CVSやEpic社のMyChartを通じたオンラインヘルスサービスへのアクセス、Uberなどのプラットフォームでのプロフィール認証などにデジタルIDを利用できるようになる見込みだ。

 多くのサイトやサービスで年齢確認が求められる中、グーグルは年齢を確認するだけでなく、プライバシーを保護する方法でそれを行うシステムの開発を目指してきた。その答えが、ゼロ知識証明(ZKP)技術のGoogleウォレットへの統合である。この技術は、年齢情報とその個人の身元情報を紐付けることを不可能にし、プライバシーをさらに強固に保護する。この実装により、同社のDigital Credential APIを使用する広範なモバイルデバイス、アプリ、ウェブサイトで、迅速な年齢確認を提供できるようになる。

 グーグルは今後、他のグーグル製品においてもZKPを適切に利用していく方針であり、マッチングアプリのBumbleなどとも提携する。Bumbleでは、GoogleウォレットのデジタルIDを用いた本人確認と、ZKPを用いた年齢確認を導入する予定だ。さらに、より安全でセキュアな環境を誰もが享受できるよう、このZKP技術をオープンソース化し、他のウォレットサービスやオンラインサービスでの利用も促進していく考えを示している。

 加えて、Googleウォレットの提供国を新たに50ヵ国拡大することも発表された。これにより、NFCによるタッチ決済機能がまだ利用できない国々においても、ユーザーはアプリやウェブ上でデジタルパスを表示・利用できるようになり、Googleウォレットのセキュリティと利便性を享受できるようになる。

 

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