グーグルは4月22日(現地時間)、ウェブブラウザー「Chrome」におけるサードパーティCookieの廃止に関する今後の方針を公表した。Chromeを通じたオンラインプライバシーの強化と、広告を介した持続可能なウェブエコシステムの実現を目指す「プライバシーサンドボックス」構想の一環として、これまで試験的に進められてきたユーザー保護機能が新たな段階に入る。
広告とプライバシーの両立を目指す次世代ウェブの入口
今回の発表では、ChromeにおけるサードパーティCookieの扱いについて、現時点では「ユーザー自身が設定から管理できる方式を維持」する方針が示された。従来予定されていた強制的なプロンプトによる選択は導入されず、引き続きユーザーの意思が優先される。一方で追跡をしない新しい広告技術として、業界内で導入が進む「プライバシーサンドボックスAPI」のさらなる活用が想定されている。
同社は、2019年にこの構想を初めて公表し、2022年からは英国の競争・市場庁(CMA)および情報コミッショナーオフィス(ICO)と連携して正式なコミットメントを交わしている。今回の方針更新は、AI技術の進展や世界各国の規制動向の変化を踏まえたものであり、これにより今後の広告やユーザー体験はより安全かつ透明性の高いものへと移行する可能性がある。
Chromeでは今後、シークレットモードにおけるトラッキング保護をさらに強化するほか、2025年第3四半期にはIPアドレスの匿名化を図る「IP Protection」の導入も予定されている。また、セーフブラウジングやAIを活用したセキュリティ機能の充実も進められており、ユーザーにとって最も信頼されるブラウザの地位を目指す姿勢がうかがえる。
ただし、サードパーティCookieの廃止には広告業界の一部から懸念の声も上がっている。とくに中小の広告主やパブリッシャーにとっては、これまでのようなターゲティング広告が難しくなり、コンバージョン測定などの効果分析が不透明になるという課題が指摘されている。一方で、大手企業は独自のデータ資産を生かして新たな広告手法に取り組み始めており、業界全体の「二極化」が進む可能性もある。
グーグルは今後数ヵ月をかけて業界からのフィードバックを収集し、プライバシーサンドボックス関連の技術に関する新たなロードマップを発表する方針だ。広告に頼りながらもユーザーのプライバシーを尊重するバランスの取れたウェブの実現に向けて、同社がどのように道筋を描くのかが注目される。













