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【燃えない電池】いま注目の“準個体モバイルバッテリー”とは

2025年04月22日 09時00分更新

文● @sumire_kon

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 スマートフォンの周辺機器などを手がけるエアージェイが、準固体電池を採用したモバイルバッテリー「MB-SS10000」を発表した。価格は7980円。近日中の発売を予定している。

期待の新技術「準固体電池」とは

 本製品に使われている準固体電池は、リチウムイオン電池内部の電解質に半固体(ゲル状)の素材を採用することで、安全性を高めた物。具体的には、液体の電解質を使う従来型のリチウムイオン電池と比較して、以下の点で優れているとされる。

●発火しにくい構造

 液体電解質のリチウムイオン電池では、過充電などが原因で電池内部に発生したリチウムの結晶がショートを引き起こし、電池の発火や破裂といった事故に繋がることがある。

 一方、準固体電池のゲル状電解質では、リチウム結晶の成長が抑制されるため、液体電解質と比べてショート発生のリスクが低い。つまり、発火や破裂といった事故が起きにくく、より安全性が高いということだ。

 同社は安全性の裏付けとして、本体に釘を刺すテストの様子も公開。こちらも液漏れや発火などの事故はなかったとしている。

釘を刺しても発火しない

釘を刺しても発火しない

●長寿命

 充電池は充電を重ねるほど劣化が進み、取り出せる電力が低下していく。準固体電池はこの現象に比較的強く、液体電解質の充電池が一般的に300〜500回程度の充電で寿命を迎える一方、準固体電池は4倍以上の約2000回の充電サイクルに耐えることが可能だ。

本製品と一般的なモバイルバッテリーとの比較表

 価格は液体電解質のモバイルバッテリーより割高だが、長い目で見たときのコストパフォーマンスは、決して悪くない。

●動作温度の幅が広い

 一般的なモバイルバッテリーの動作温度は0度から45度程度で、暑さ寒さが厳しい環境では使えないこともある。

 対して、本製品の動作温度は−20度から60度。一般的なモバイルバッテリーより暑さ、寒さに強いので、空調服の電源や、ウィンタースポーツ用のモバイルバッテリーのような、寒暖の厳しいシーンとも相性が良い。

動作温度の広さを説明する画像

 そんな新世代の充電池を搭載した本製品は、容量1万mAhで、USB-AとUSB-Cのポートを1個ずつ搭載。単ポート時の最大出力は22.5Wで、2つのポートを使った2台同時充電にも対応する。

 カラーはブラックとホワイトの2色展開。安全性や寿命の長さを重視するなら、検討に価する製品といえそうだ。

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