ボトムアップ型のツールとして現場のデジタル活用にも寄与
現場主導のkintoneアプリは500個越え 約半年で1万時間を業務短縮したartience
2025年03月11日 16時30分更新
サイボウズは、artienceのkintone活用事例を公表した。artienceは、グループの垣根を超えた情報共有基盤の整備を目指し、kintoneを全社的なDX推進のプラットフォームとして展開中だ。
artienceは、ファインケミカル素材などを手掛ける化学メーカーであり、2024年1月に東洋インキSCホールディングスから社名変更している。同社は、2030年に向けた経営計画の中で、DX推進を掲げており、その全社的なDX基盤としてkintoneを採用した。簡便なUIと現場でも開発しやすい設計、セキュリティやガバナンスの観点でkintoneを評価すると共に、事業会社で蓄積されたデータをグループ全体で活用できる点が採用の決め手となっている。
現在、事業会社で先行して利用されたkintoneとのドメイン統合を経て、グループ全体での業務改善プラットフォームとして利用が拡大。約10社のグループ会社で1400名を超えるユーザーがkintoneを活用する。kintoneの普及を第一に、自由にアプリを作成できる権限を現場に付与したことで、多くのアプリが現場主体で作成され、実際に稼働しているアプリは530個を超えてるという。
定量的な効果としては、2024年4月から10月までの実績で、“1万1000時間”の業務削減を実現しており、個別システムを構築した場合に比べて“4000万円”ほどのコスト圧縮効果を見込んでいる。 また、業務を変える意識変革ツールとしてもkintoneが大きく寄与しており、現場から寄せられる要望の質が向上し、デジタル活用の意識が広がっているという。
kintone普及の一例が、基幹システムと連携する「価格登録アプリ」による業務自動化である。基幹システムから製品情報をCSVで出力し、そのデータをRPAにてkintoneに投入。その後、現場で営業担当者が価格をkintoneに登録した後、再びRPAでkintoneのデータを基幹システムに戻す仕組みとなっている。営業担当者の業務を時短化・省力化できる仕組みとして、複数の事業会社で一気に導入され、これを契機にkintone活用が広がった。
現在はPoC的に業務アプリを自由に作成できる環境としており、加えて、基幹システム周辺の全社共通の業務を、kintoneに移管し始めている。今後は利活用の促進とガバナンスを両立できるような運用体制の整備を進める。また、グローバルに事業展開をする上で、海外拠点も含めた現場の課題解決につながる基盤として、kintoneの展開を検討するという。







