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MWC Barcelona 2025レポート 第17回

世界のモバイル関係者を前にKDDI髙橋社長が登壇 携帯キャリアがコンビニを持つ理由を説明

2025年03月06日 08時00分更新

文● 中山 智 編集●ASCII

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 KDDI 代表取締役社長CEOの高橋誠氏は3日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催中のMWC Barcelonaの基調講演に登壇。同社の新たな戦略ビジョンと、AIとデータを中心とした事業展開について語った。

KDDI髙橋社長

MWC Barcelonaの基調講演に登壇したKDDIの高橋誠社長。4月1日は社長交代を予定しているため、最後の大舞台の可能性がある

日本の通信事業者は通信事業だけではない点を実例でアピール

 髙橋氏は、「3100万のモバイル契約者と5000万のIoT接続を持つ。世界中で45のデータセンターを運営し、『Telehouse』というブランド名で知られている」と説明。さらに「KDDIが単なる通信事業者から、顧客の生活を豊かにする『ライフプラットフォーム』へと進化することを目指している」と同社を説明し、その事実として、付加価値サービスが2023年には同社収益の24%を占めるまでに成長したことを示した。

KDDI髙橋社長
KDDI髙橋社長

 2030年に向けた同社のビジョンは、「人々の生活、日々の暮らし、心、そして夢を豊かにする」である。このビジョンを実現するために、「5G、データ、AIを戦略の中心に据えている」と説明。5Gは、5G SAを日本全国で展開しており、3万9000局以上のサブ6基地局を設置していること、OpenSignalの調査ではネットワーク品質で日本1位、世界でもトップクラスの評価を獲得していることをアピールした。

KDDI髙橋社長
KDDI髙橋社長
KDDI髙橋社長

 また、国内でもよく知られるように、KDDIはSpaceXとの関係が深く、Starlink回線を活用したサービスを提供している点に触れ、これにより災害時や山間部などの通信困難な場所でもインターネットへの接続を可能なことを紹介した。

 Starlinkに関しては、建設現場での活用事例も紹介され、トンネル内でのロボットによるデータ収集や、ドローンによるデータ転送がリアルタイムで可能という。

KDDI髙橋社長

 KDDIは、GSMA Open Gatewayの創設メンバーの一員であり、共通APIを通じて通信事業者の能力をパートナーに提供。さらに、Adunaに加盟し、他のモバイルネットワーク事業者との関係を強化することで、アプリケーション開発者との連携を進めている。

KDDI髙橋社長

ローソンに出資したKDDI
日本におけるコンビニの重要性や位置について海外に説明

 リテール分野では、KDDIはローソンに出資し、1万4600以上の店舗を顧客との重要な接点と位置付けている。これらの店舗にデジタルサイネージによるおすすめ商品の表示や、AIを活用した省人化、ロボットによる清掃や商品配送といった技術を導入し、顧客体験の向上を目指している。

KDDI髙橋社長

 髙橋氏は「日本のコンビニエンスストアは24時間営業であり、アイスクリームやスイーツなどの商品が人気。しかも都市部だけでなく地方にも店舗があり、重要な食料品店としての役割も果たしている」とコンビニの重要性を解説。

KDDI髙橋社長

 そこでKDDIの出展ブースも一部をコンビニエンスストアのようなイメージで設計。残念ながら今回の展示ブースではアイスやスイーツの提供はないものの、高橋社長は「もし本当にアイスやスイーツを味わいたい場合は、ぜひ日本に来てほしい」と話していた。

KDDI髙橋社長

 スマートシティ分野では、JR東日本高輪ゲートウェイエリアに本社を移転し、スマートシティの開発に実践的に貢献。高輪エリアから収集される人口フローや店舗情報などのデータを活用し、都市運営の効率化や人々の生活の質の向上を目指すと言う。また、AIデータセンターの建設も進めており、シャープの堺工場を転換し、最新のNVIDIA AIサーバーを導入する予定であることを紹介した。

KDDI髙橋社長
KDDI髙橋社長
KDDI髙橋社長

髙橋氏は、KDDIが今後も通信を基盤とし、AIとデータを活用して、人々の生活を豊かにするサービスを提供していくとして、話を締めた。

 

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